工場の成長を支える、学び続ける社員たち ~品質・改善・安定供給を支える人材育成の取り組み
ベックマン・コールター・三島株式会社
2026/06/25
2026/06/25
ベックマン・コールター・三島株式会社では、高卒社員を対象に、働きながら学ぶ機会を支援する制度を設けています。その学びの場として活用されているのが、自由が丘産能短期大学 通信教育課程です。分析装置の開発・製造を手掛ける同社にとって、品質向上や安定供給、生産性向上は重要な課題です。その実現を支える人材育成を、同社は成長戦略の柱と位置づけています。今回は、代表取締役兼工場長の太田宏氏、製造サポートグループの鈴木希昌氏、卒業生の庄司拓海氏、在学生の飯塚礼奈氏に、制度導入の背景や学びを通じた成長について伺いました。
会社概要
米国に本社を置くベックマン・コールター社の日本における重要な製造拠点として、分析装置の開発、品質保証、製造、カスタマーサポートを一貫して担う。2011年にダナハーグループへ参画後は、グローバルな発想や最新技術を取り入れながら、日本の高い品質を世界へ発信。海外拠点からの訪問や改善活動のワークショップも活発に行われ、グループ内でも高い評価を受ける。
プロフィール
太田 宏 氏 (取材当時)代表取締役兼工場長
(現在)戦略・プロジェクトマネジメントオフィス シニアプロジェクトマネージャー
1984年入社。代表取締役兼工場長として、品質、納期、安定供給を重視した工場運営を担う。定年を迎えた後もシニアプロジェクトマネージャーとして引き続き工場を支える。
鈴木 希昌 氏
製造サポートグループ スーパーバイザー
2003年入社。製造サポートグループに所属し、BCP(事業継続計画)、安全衛生管理、採用業務など、製造を支える幅広い業務を担当。
庄司 拓海 氏
計画グループ 調達チーム
2019年入社。製造部署での勤務を経て、現在は計画グループ調達チームで部品調達業務を担当。2026年3月、自由が丘産能短期大学通信教育課程を卒業。
飯塚 礼奈 氏
加工チーム ラインリーダー
2006年入社。装置に使用される消耗品パーツを製造する加工チームでラインリーダーを務める。現在、自由が丘産能短期大学 通信教育課程に在学中。
ダナハーグループで評価される改善力
ー貴社の事業内容や特徴について教えてください。
太田氏:
弊社では、生化学分析装置をはじめとする医療機器や関連製品を製造しています。製品の多くを海外へ出荷しており、ベックマン・コールター社の日本における重要な製造拠点です。2011年にダナハーグループの一員となりました。グループには約22社、約200の製造拠点がありますが、当社は品質向上や生産性向上、在庫削減などの改善活動が評価され、「ベストプラント」を受賞しました。また、EHS(環境・健康・安全)分野でも表彰を受けています。日本のものづくりの強みは、人材の高い技術力と意識にあります。その力を結集して製品をつくり上げる点は、世界に誇れる部分だと実感しています。
ー工場長として大切にされていることを教えてください。
太田氏:
医療機器メーカーとして、品質第一は絶対条件です。納期や品質を守り、お客様に迷惑をかけないこと、そして医療現場への供給を止めないことを最も重視しています。そのためには、工場内だけでなく営業やサービス部門との連携も欠かせません。日々コミュニケーションを取りながら取り組んでいます。
ー現場ではどのようなことを重視されていますか。
庄司氏:
調達業務では、国際情勢や災害の影響で部品調達が難しくなることがあります。そのため、迅速かつ柔軟な対応を心掛けています。私は製造現場を経験しているため、どの部品がどの工程に影響するかを理解していますので、その経験が現在の業務にも役立っていると感じています。
鈴木氏:
私は製造サポートグループに所属しており、BCPや安全衛生管理、採用業務を担当しています。BCPとは事業継続計画のことで、災害などが起きた場合に、どのように事業を継続していくかを事前に考えておくものです。例えば、三島というロケーションでは南海トラフ地震なども懸念されますので、いざという時にも生産を継続できるよう、事前に計画を立てておくことを重視しています。
成長戦略の中心にある人材育成
ー人材育成をどのように位置づけていますか
太田氏:
品質や安定供給を支えるのは、現場で働く社員一人ひとりです。そのため、体系的に学ぶ機会を持つことは非常に重要です。当社の2024~2028年の成長戦略を具体化していくと、その多くが人材育成に関わる内容になります。ベテランにはベテランの、若手には若手の学びがあります。自由が丘産能短期大学 通信教育課程への入学を含め、さまざまな学習機会を活用してほしいと考えています。社員の成長が会社の成長につながる――その思いを「Growing with you」という言葉に込め全社で取り組んでいます。
ー短大進学の支援制度について導入の背景や内容を教えてください。
鈴木氏:
社員が働きながら学べる仕組みとして、約30年前に導入しました。導入の目的は大きく二つあります。一つは、社員の基礎力を高めること。もう一つは、自律的に学ぶ姿勢を育てることです。特に、現場で経験を重ねた社員が、これまでの知識や経験を体系的に整理し、理論と結びつけることで、より広い視点で仕事に取り組めるようになることを期待しています。現場には、生産計画、工程管理、改善活動など、さまざまな業務があります。短大で学んだ理論的な理解が加わることで、業務を見る視点が広がり、より説得力のある提案や改善につなげられると考えています。
太田氏:
支援の対象は、高校卒業資格を持つ社員とし、短大の学費は会社が全額補助しています。対象者の選定は、「短大での学びを仕事にどう生かすか」というテーマでプレゼンテーションを行い決定します。働く中で「もっと成長したい」と考える社員を後押しすることは大切です。採用時から学び続ける重要性を伝え、短大進学支援制度だけではなく人材開発の全体像を示すようにしています。
仕事と学びの両立が、実務力を高める
ー庄司さんが入学を決めた動機を教えてください。
庄司氏:
短期大学士の学位取得に加え、マネジメント力、情報分析力、コミュニケーション力を身につけたいと考えたことが入学のきっかけです。選考時のプレゼンテーションでは、将来的に上位職や間接部門でも活躍できる人材を目指したいと説明しました。
ー仕事と学習をどのように両立しましたか。
庄司氏:
入学当初は製造部署で二交代勤務をしており、夜勤明けでスクーリングに参加することもありました。睡眠時間が十分に取れない中での学習は大変でした。2年目に現在の部署へ異動して日勤となり、学習時間を確保しやすくなりました。夜勤があった時期は、勤務後帰宅し、食事や入浴を済ませたあと、朝方まで学習することもありました。無理して続けるのではなく、集中して学ぶ週と休む週を分けながら進めました。スクーリングや試験の日程に合わせて計画を立て、学習とリフレッシュのバランスを意識して取り組みました。
ー実務に役立った学びはありましたか。
庄司氏:
仕事で使っている考え方と結びつく内容を学べたことは大きな収穫でした。例えば、他社の取り組みやかんばん方式について学ぶ機会がありました。当社でも採用している仕組みであり、調達業務とも関わりが深いため、実務とのつながりを強く感じました。
子育て・仕事・学びのバランスで、リーダーとして成長する
ー飯塚さんが入学を決めたきっかけを教えてください。
飯塚氏:
チームでさらに活躍したいと思った時に、学ぶ機会が少ないことを感じていました。以前の上司だった鈴木さんから勧められたこともきっかけの一つです。卒業生の話を聞く中で、忙しい中でも学び続けている方がいることを知り、「自分にもできるかもしれない」と思い入学を決めました。
ー学習時間はどのように確保していますか。
飯塚氏:
子どもが2人おり、朝から夜まで慌ただしい毎日です。夜は子どもと一緒に寝てしまうことも多いため、朝4時に起きて学習しています。朝の準備が終わった後に2時間ほど学び、土日は子どもたちがまだ寝ている時間を利用して3時間ほど勉強することもあります。体調に合わせながら、できる範囲で継続しています。
ー学び始めて良かったと感じることはありますか。
飯塚氏:
以前、上司と話をしている時に、自分にはマネジメントの視点が足りないと感じたことがありました。本で学ぼうとも考えましたが、何を学べばよいのか分かりませんでした。その点、短大の教材は必要な内容が体系的に整理されており、とても理解しやすいと感じています。コミュニケーションについても、学んだ内容をすぐに職場で実践できる場面があります。仕事や家庭との両立は大変ですが、学ぶこと自体は楽しく、限られた時間だからこそ集中して取り組めていると感じています。
社員の成長が、工場の未来をつくる
ー進学制度を通じて社員の変化を感じることはありますか。
鈴木氏:
卒業した社員を見ると、考え方や物事の捉え方が大きく変わったと感じます。学びを通じて視野が広がり、俯瞰して物事を考える力が身についているように思います。社員の成長を実感できることは、会社にとっても大きな喜びです。
太田氏:
庄司さんの卒業は、他の社員にも良い刺激になっています。在学生が庄司さんに学習について相談し、「挑戦した方がいい」という言葉に背中を押されて入学を志望した例もあります。学びの輪が広がる良い循環が生まれていると感じています。
ー入学を検討している社員へメッセージをお願いします。
太田氏:
これまで多くの先輩が制度を活用して卒業してきました。その姿を見て、自分にも成長できる可能性があると感じてほしいと思います。私たちが掲げる「Growing with you」に年齢は関係ありません。人はいつからでも成長できます。短大での学びは、自身の成長につながる有効な手段です。皆さんには大いに期待しています。
鈴木氏:
働きながら学ぶことは簡単ではありません。しかし、実務と結びついた学びだからこそ、「そういうことだったのか」と仕事の中で理解が深まる瞬間があります。この制度は、学びたい、成長したいという意欲を会社が応援する仕組みです。挑戦すること自体に価値がありますし、その経験は必ず自信につながります。会社としても業務面での配慮やフォローを行いますので、ぜひ一歩を踏み出してほしいと思います。
庄司氏:
在学中は大変だと感じることもありますが、卒業後には知識や学位、そして達成感が残ります。私自身、入学して本当に良かったと感じています。学んだことは仕事にも生かされていますし、自分自身の成長にもつながったと実感しています。その一歩が、将来の可能性を広げるきっかけになると思います。
飯塚氏:
会社の支援制度もありますので、興味があればぜひ挑戦してみてほしいと思います。時間をつくったり、学んだことを身につけたりするのは簡単ではありませんが、その経験は必ず自分の力になります。私自身も、学びを通じて新しい視点や考え方に触れることができ、仕事にも生かせる場面が増えてきました。少しでも学びたいという気持ちがあるなら、ぜひチャレンジしてほしいです。
(2026年4月16日取材・撮影)

入学相談フォーム
入学FAQでも解決できない場合は、入学相談フォームよりお問い合わせください。
お問い合わせはこちら
お問い合わせ
入学をご検討の方や専門学校の先生方および企業のご担当者、在学生の方のお問い合わせはこちらから。
お問い合わせはこちら


















