プロが教える「進路づくり」 第2回 <2020年度連載>

第2回 オンラインの情報で大学の実力を見極めるためのポイント

オンラインコンテンツが充実!でも視聴の際はこんな点に気をつけて

コロナ禍の影響で、進路検討が十分に進んでいないというご家庭も多いと思います。特に新3年生をお持ちのご家庭は、様々な不安をお持ちなのではないでしょうか。こんな社会状況ですので、各大学はウェブ上のコンテンツを例年以上に充実させています。オンライン・オープンキャンパスのような企画も増え始めました。そこで今回は、オンラインの情報を活用して大学を検証する方法について解説します。

オンラインコンテンツの活用にあたり、保護者の皆様にお伝えしたい大事な原則が2点あります。

第一は「消費者としてではなく、学習者として見よ」です。オンラインのコンテンツ、特に映像は、お金をかければかけただけ見栄えが良くなります。タレントなどの有名人を起用したり、凝った映像を数十本も用意したり。でも大切なのは、学びと成長ですよね。日々の授業のレベルや、ウリとなる教育プログラムの内容、それらの結果としての就職実績など、学習者としての判断に必要なコンテンツを意識的に探していただければと思います。

第二は「様々な角度で総合的に見よ」です。皆様もYouTubeなどで実感されていると思いますが、オンラインのコンテンツは、本人が関心のあるものだけを選んで視聴できます。テキストよりも写真や映像、地味なものより派手なものの方が私達の関心を惹きやすいのは事実です。でも往々にして、目立たないページの地味なグラフが重要な教育成果を示していたり、ビジュアルの少ないページに大切なカリキュラムの情報が隠れていたりするもの。保護者の方は、そうした点に注目してあげてください。

オンラインで大学を読み解くうえでのポイント

以下、具体的なチェックポイントをご紹介します。

(1)外部からの評価はぜひチェックを
各種メディアなどがまとめた大学ランキングの結果などを、自校の広報活動で紹介している大学は少なくありません。メディアごとに、一定の評価基準を設けてランキングした結果ですので、こうした数字はチェックしてみると良いでしょう。ただし「その評価が本人にとって意味を持つなら」です。たとえば経営を学ぶ学生にとっては、水産分野の研究ランキングはほぼ意味を持ちませんよね。冷静に情報を取捨選択することも大事です。

(2)まずは文字情報をじっくり読み込むこと
オンラインコンテンツ=映像と思いがちですが、大学の教育力を示す情報の多くはテキストや図表で表現されています。学科紹介などの映像も概要を掴むには良いのですが、保護者の方ならその学科のウェブサイトに記載されたテキストや図表などを見た方が、多くの場合、詳細な情報をより早く把握できるのではと思います。特に就職についての情報は、パーセンテージだけではなく実数も含めてぜひチェックを

(3)動画は、大学が自信を持っている部分を知るヒントに
たとえば学生や卒業生の成長ストーリーなどの動画を用意している大学は少なくありません。そこには多くの場合、その大学がウリにしている教育の取り組みや、特徴的な施策などが盛り込まれています。こんな人に学びに来て欲しい、といったメッセージが反映されているケースもあるでしょう。大学の「3つの方針(プロが教える「進路づくり」2019年度連載 第6回にリンク)」を理解するヒントにもなると思います。

(4)個別相談や双方向の企画で、ホンネを聞きだそう
 大学が用意するコンテンツは、基本的には良い点しか伝えません。かつ不特定多数の高校生に向けて作成されていますので、必ずしも「あなた」が知りたいことに答えてくれていなかったりします。不安を解消するためには、疑問や質問をぶつけながらホンネの話を聞く場も大切。現在はオンラインで質問や相談を受けてくれる大学も増えているようです。むしろオープンキャンパスの相談ブースより、人目を気にせずじっくり話を聞けるかもしれませんね。学生スタッフなどを中心に、双方向の座談会などをオンラインで企画する大学もあります。こうした企画もオススメです。

以上、特に緊急度が高いであろう、新3年生向けのアドバイスを中心にご紹介しました。
まだ1〜2年生なので、模擬授業を通じて学部や学科のイメージを広げたい……なんて方もいらっしゃると思いますが、各大学が少しずつ、学問領域について紹介する映像などを用意し始めています。「JMOOC(外部リンク)」といって、大学の講義の映像を無料で視聴できるサイトなどもありますので、まずはこうしたものを活用しながら、イメージを膨らませてみるのも手です。

色々と制約が多い現状ではありますが、だからこそ各大学とも様々な工夫をし、オンラインでの情報発信に務めています。保護者の方もぜひ、大人だから気づきやすい点など、お子様へアドバイスしていただければと思います。

(ご参考)産業能率大学のオンラインでの情報発信

産業能率大学では、学びやキャンパスライフを紹介する「ONLINE CAMPUS VISIT」、プロジェクト授業に取り組む学生に密着したドキュメンタリー動画やビデオ会議ツール「Zoom(ズーム)」を使ったオンライン相談画など、オオンラインで自宅にいながらキャンパスを体験ができるWEBコンテンツを公開しています。
倉部 史記
「高大共創」のアプローチで高校生の進路開発などに取り組む。日本大学理工学部建築学科卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。私立大学専任職員、予備校の総合研究所主任研究員などを経て独立。進路選びではなく進路づくり、入試広報ではなく高大接続が重要という観点から様々な団体やメディアと連携し、企画・情報発信を行う。全国の高校や進路指導協議会等で、進路に関する講演も多数努める。著書に『看板学部と看板倒れ学部 大学教育は玉石混合』(中公新書ラクレ)『文学部がなくなる日 誰も書かなかった大学の「いま」』(主婦の友新書)など。
(ウェブサイト)http://kurabeshiki.com/