
私の視点 2023 Vol.2
人生を変える入試ってなんだろう??「キャリア教育接続方式」を卒業生と在学生が語ってみた
産業能率大学ではさまざまな総合型選抜方式を導入しています。2007年度に設置した「キャリア教育接続方式」は、自己のキャリア構想に基づく課題解決プランのプレゼンテーションと面接を通して、多面的・総合的に評価する方式で、全国的にも個性的な入試となっています。今回はそんなキャリア教育接続方式を経験した在学生と卒業生2名が入試の苦労や意義、その後のキャリアとのつながりについて語りました。
ハードル高い入試…それでも挑んだ理由とは

経営学部4年の豊田純怜です。今日は私も経験したキャリア教育接続方式(以下、キャリア方式)について先輩おふたりと一緒にお話ししたいなと思っています。よろしくお願いします。
よろしくお願いします!


よろしくお願いします!
早速ですが、おふたりがキャリア方式を選んだ理由は?


SANNOのオープンキャンパスに来た時に、キャリア方式のガイダンスに参加してプレゼンする先輩の姿に感動したのがきっかけです。私、昔からちょっと難しいこととかハードルが高いことにチャレンジするのが好きなんです。
私も、オーキャンで先輩たちが堂々とプレゼンする姿を見て、私もあんな風に人前で話せるようになりたいなって。それに商品開発とかそういう仕事に興味があったので、入試で企画の提案やプレゼンができるのは楽しいかもとワクワクしました。


“チャレンジ”とか“ワクワク”という言葉が出て、すごいです。私はおふたりとはちょっと違って、プレゼンとか人前で話すことがとにかく苦手で…。

へえ、意外!


授業で発表するのも苦手でしたし、高校時代、チアダンス部の部長をしていたんですが、全校生徒の前で感謝の言葉を伝える場面で頭が真っ白になってしまったことがあって…もうトラウマで(笑)。
それなのに、どうしてキャリア方式を選んだの?


苦手とばかり言っててもいけないので、人前で話せるようになりたい、克服したい!と思って挑戦したんです。
すごいね。でも、最初からプレゼンの得意な子ってあまりいないよね。私もプレゼン経験はなかったし、わからない中でとにかくプレゼンの本を買って付箋をつけまくって(笑)。めちゃくちゃ勉強したな。


そうそう、高校3年の夏休みはパソコンとずっとにらめっこ。最初は私には無理!って思っていたけど、オーキャンで先輩たちとお話しさせてもらう機会もあって、プレゼンつくりのステップだとかアドバイスをもらえたりして、だんだんと気持ちが盛り上がったんだよね。

感極まって泣いている子もいたよね。先輩たちの凄さに圧倒されて(笑)。


それだけインパクトが強かったんですよね。チャレンジングな入試ではあるけど、きっと成長できるだろうなって感じて、だからこの入試を受けようって思う人も多いのかもしれないです。
入試に取り組むことで見えてくる“その先”
入試に向けてどんな準備をしましたか?


ホテルのおもてなしをテーマにプレゼンしたので、ホテル業界の課題を見つけて仮説を立て、現状調査を踏まえつつ解決策を見つけるという内容でした。Power Pointで資料を作っては高校の先生に見てもらい、クラスのみんなの前で発表練習を繰り返したかな。

齋藤さんのテーマは?


「キャラメル革命」というタイトルで、お菓子の商品企画についてプレゼンしました。
革命?


はい(笑)。将来は商品企画をしたいなと漠然とは思っていたけど、キャリア方式を受験するのを機に将来何をしたいのか具体的に考えていくなかで、プレゼンはキャラメルの商品企画でいこうと考えたんだよね。
私もたくさん自分の将来について考えたんですけど、どうしてもテーマが決まらなくて…。でも、そんな中で、オーキャンでスタッフの先輩に相談したら「夢じゃなくても、自分が好きなものでもいいんだよ」という言葉をもらって。そこから動物がすごく好きなので、ペットショップの現状をテーマに考えてみました。


キャリア方式で合格した先輩学生からアドバイスもらえるのも、この入試のいいところだよね。
私もたくさん先輩に質問しました。マーケティング学科志望だったので、マーケティング要素もプレゼンに入れたいなとか、キャリア開発プログラムで学んだことも入れたいなとかいろいろ考えて。テーマは決まったけど、どう落とし込むかにすごく時間を割いたかな。


みんなそれぞれ、壁にぶち当たるタイミングがありますよね。

私は、リサーチやインタビューは全然苦ではなかったんだけど、論理的に考えることが苦手で。ちゃんと仮説を立てて、それからリサーチして分析し、どういうストーリーにしていくかっていうプレゼン全体の設計や自分の行動計画を考えていくのは苦労したな…。


私も高校では経験したことのないことばかりでとても苦労しました。
課題が与えられてそれに取り組むっていう単純なことじゃなく、課題も含めて自分で一から考えるからハードルが高く感じるんだと思うよね。



だからこそ後から振り返ると、とても大きな経験になったなって。高校時代にも文化祭や部活で企画をする経験はあったけど、それって自分達が楽しむためにやることで。本来ビジネスの現場では、サービスを利用する人の満足や利益とか考えるから、文化祭とは全然性質が違うと気づきました。
そうそう。入試だけじゃなくその先も見据えて。


なるほど!その先のキャリアにつながる視点もこの入試を経験して得られることの一つですよね。
あらためて振り返ると、自分たちよくやったよなって思うよね(笑)。

入試とキャリア、そこにはつながるものがある

おふたりは卒業してそれぞれキャリアを築かれていると思うんですけど、今はどんな仕事をされているんですか?
私は、空間デザインの会社で主に商業施設や公共施設の内装設計や施工の営業企画をしています。キャリア方式を経て、入学してからもいろんな授業を受けて、本当に視野が拡がりました。企画がしたいという想いは変わらなかったけれど、じゃあ何の企画をしたいんだろうとなった時に、様々な業界と関われる仕事ということでディスプレイ業界を選びました。


どんなところにやりがいを感じますか?
いろんな業界のお客様がいて、その先にはお店やその空間にくる人がいて、その人たちに満足してもらうために、より良い空間を一緒に考えて作っていくプロセスはとてもやりがいがあります。


谷山さんは、今、山形県米沢市に在住ですよね?
はい、ご縁があって米沢で働いています。キーワードで言うと地方創生とか地域活性化に携わることが多くて。実は今、3つの組織に所属して仕事をしているんです。



3つも!!
一つは米沢市役所で、地域おこし協力隊として米沢市へ移住定住する方々へ向けた情報発信やコンテンツづくり、相談窓口をやっています。2つめは米沢市内の企業で、米沢エリアの移住定住促進に向けた求人メディアで記事を書いたり、あとは米沢の観光関係のお仕事にも関わらせてもらっています。


3つもの組織で仕事をしているなんてすごいね。
とはいえ全てつながっていて、それぞれの仕事がお互いの仕事にとって活かせる経験になるなって。


素晴らしいですね。

もともと感動しやすい性格だから、自分が感動したものを発信したい!という気持ちが強いんだよね。だから、移住定住を考えている人たちにどう米沢のことを知ってもらって、好きになってもらうか。移住って人生そのものの変化に繋がることなので、その転機に立ち会えるって、すごくおもしろいです。


私も来春から人材系の企業で働く予定なんですが、入試当時に思い描いていたキャリアと今のキャリアって何かつながる部分はありますか?
高校生の時はホテルのコンシェルジュになることが目標だったから、結果的には別のキャリアを選んだけれど、実はつながっているところもあって。


それはどんなところですか?
キャリア方式のプレゼンでは、最終的に利用者側もホテル側もみんながハッピーになるような企画に落とし込みました。今の仕事は移住者を増やすというミッションはあるものの、米沢を好きになってこの地で幸せに暮らしてほしいという想いがあるので、受け入れる側も移住者もwin-winになれるという考え方を目指して企画やイベントを考えています。そういう「みんなハッピーに」という視点は、入試でつくったプレゼンでのゴールといまの仕事も通じているかなと。


仕事の根底にある考えや価値観は当時も今も変わらないんですね。齋藤さんは?
私は「企画」という軸はずっとつながっていますね。営業なのでもちろん会社の利益を追い求める部分はあるんですけど、コンペに参加することもあるので、そういう時にコンセプトの提案やプレゼン資料作成に関わらせてもらいました。実際にプレゼンもさせてもらったので、キャリア方式で培った経験はかなり活きていると思います。



おふたりの話を聞いて、キャリア方式での経験が自分の将来にどうつながるのか、楽しみになってきました!
入学後、就職後、そして人生の選択が変わっていく
改めて振り返ってみて、キャリア教育接続方式についてどう思いますか?


一言で言うと、とても良い経験だったと感謝しています。高校3年生という時期に将来のキャリアについてじっくりと向き合う機会があったからこそ、その後、入学して授業を選択する時にもこんな力を身につけたいとか、自分の伸ばしたいスキルや興味をもとに自分で体系的に選択していける視点を持てました。
それはあるね。わたしのまわりもキャリア方式を受けた子は、自分の考えや軸がしっかりしている人が多い印象。


たしかに、大学入学時点で自分には何が足りていて、何が足りていないかがわかっているからでしょうか。
そうそう。自分の理想とする姿と今の姿を比較して、そのギャップを埋めるにはどうしたらいいか、というのが大学入試の時点でちゃんと考えられているよね。それがあるかないかでその後の選択が大きく変わってきたなというのを実感しています。



“自分で自分の人生を主体的に生きていく”ってことだよね。
かっこいい!そこまで人生を変える入試って他にはないかもしれないですよね。これからキャリア方式を受ける子にアドバイスとかってありますか?


とにかく全力で頑張って、と(笑)。もちろん不安はあると思うけど、全力でやったらそのプロセスが自分の財産になるので。全力で取り組むことに意味がある。そのことで自分の力を100%信じることが出来るようになると思います。
あと、オープンキャンパスは有効活用した方がいいですね。入試のガイダンスを受けることはもちろん、先輩たちへ質問して、プレゼンや入試全般について有益なアドバイスをもらうこともできるので、ぜひそのチャンスは逃さないでほしいです。
私は自分の“こうしたい”って気持ちを大切にしてほしいな。こんなに自由に取り組める入試ってなかなかないので、自分でテーマを決めて全ての構成を考えて、その先のキャリアを考える。大変だけど、こういう経験ができる機会はなかなかないので、まずは楽しんで自分のやりたいように取り組んでみてください!


キャリア方式は大学に入った後、そして将来までつながりそうだなとは思っていたんですけど、今日おふたりの話を聞いて、就職してからさらにその先の人生にも関わっているんだなと改めて気づけました。ありがとうございます!
ありがとうございました!


ありがとうございました!

産業能率大学総合型選抜「キャリア教育接続方式」が
文部科学省「令和4年度大学入学者選抜における好事例」に選ばれました
プロフィール
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谷山 紀佳 NORIKA TANIYAMA
山形県米沢市役所 地域おこし協力隊移住定住担当
2021年産業能率大学 経営学部 経営学科卒業。在学中は自由が丘イベントコラボレーションやゼミ活動で青山ファーマーズマーケットでのコーヒー豆販売プロジェクトに参加。卒業後、山形県米沢市で移住定住担当の専門員として情報発信やプログラムづくり、個別相談を担う。現在は地域おこし協力隊インターンプログラムの設計や移住プログラムのツアー企画などに従事している。
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齋藤 美咲 MISAKI SAITO
株式会社船場 EAST事業本部 営業企画
2021年産業能率大学 経営学部 マーケティング学科卒業。在学中はエディター養成プログラムやブランドプロデュースなどを学び、卒業後にディスプレイ業界へ進む。現在はコスメショップやキッチン雑貨など専門店の営業企画を担当し、設計施工からオープンまでの全体的なスケジュール管理、クライアントや社内部署と連携しながら契約までの手続きを担当している。
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豊田 純怜 SUMIRE TOYOTA
産業能率大学 経営学部 マーケティング学科 4年
2020年産業能率大学入学。高校時代まで人前で話すことが苦手だった自分を変えるためキャリア教育接続方式に挑戦し、合格。入学後はブランドプロデュース、クリティカルシンキング、アサーティブコミュニケーションなどを学び、横井ゼミでは論理的思考を磨いている。卒業後は大手人材系企業へ就職予定。