高校の先生向け 進路コラム 第4回 <2024年度連載>
探究学習の指導に、大学の力を借りよう
【プロの研究者は、探究学習での頼れるパートナー】
これまで3回にわたり、探究学習にフォーカスしたコラムをお送りしました。
・探究学習と進路指導を繋げて、希望進路を見つけるヒントに
・こんなに増えた「探究型入試」
・探究学習をやっていたら国公立大学に受からない、という誤解
探究学習のプロセスや成果をいかに活用するか……というのが上記3回のテーマですが、「そもそも探究学習の実施において課題が多い」という声もよく聞かれます。たとえば探究テーマの設定から具体的なリサーチの仕方、グループワークを行う上でのポイント。そして最終的な研究結果に対するフィードバックまで、探究学習には従来型の授業とはまた異なる、様々な指導が求められます。
でもこうした指導に慣れている、あるいは十分なリソースを割けている現場もあれば、そうでない現場もありますよね。そこで期待がかかるのが、プロの「研究者」である大学教員からのサポート。実際、(あまり知られていないケースも多いのですが)多くの大学が高校側に対し、探究学習の支援を行いますと表明しています。
大学側からの支援のあり方は様々のようです。高校側の相談を受けながら必要なところだけ関与するという事例もありますし、探究学習に役立つコンテンツやプログラムをある程度、パッケージとして提供している事例もあります。連携協定校にしか協力できないという大学もあれば、協定を結んでいない高校からの相談にも広く対応するという大学も。このあたりは、求める支援の内容や程度にもよりますね。より長期的、専門的な関わりを願えば、当然ながら大学側にかかる負担も大きくなります。かかる費用をどうするかといった話も出てきますので、連携協定を結んでしまった方がお互いにラクということもあるでしょう。
う言葉を打ち出している国公立大学も増えています。前回の記事で使用した区分①、②、④に合わせてご紹介しましょう。
・探究学習と進路指導を繋げて、希望進路を見つけるヒントに
・こんなに増えた「探究型入試」
・探究学習をやっていたら国公立大学に受からない、という誤解
探究学習のプロセスや成果をいかに活用するか……というのが上記3回のテーマですが、「そもそも探究学習の実施において課題が多い」という声もよく聞かれます。たとえば探究テーマの設定から具体的なリサーチの仕方、グループワークを行う上でのポイント。そして最終的な研究結果に対するフィードバックまで、探究学習には従来型の授業とはまた異なる、様々な指導が求められます。
でもこうした指導に慣れている、あるいは十分なリソースを割けている現場もあれば、そうでない現場もありますよね。そこで期待がかかるのが、プロの「研究者」である大学教員からのサポート。実際、(あまり知られていないケースも多いのですが)多くの大学が高校側に対し、探究学習の支援を行いますと表明しています。
大学側からの支援のあり方は様々のようです。高校側の相談を受けながら必要なところだけ関与するという事例もありますし、探究学習に役立つコンテンツやプログラムをある程度、パッケージとして提供している事例もあります。連携協定校にしか協力できないという大学もあれば、協定を結んでいない高校からの相談にも広く対応するという大学も。このあたりは、求める支援の内容や程度にもよりますね。より長期的、専門的な関わりを願えば、当然ながら大学側にかかる負担も大きくなります。かかる費用をどうするかといった話も出てきますので、連携協定を結んでしまった方がお互いにラクということもあるでしょう。
う言葉を打ち出している国公立大学も増えています。前回の記事で使用した区分①、②、④に合わせてご紹介しましょう。
【充実したパッケージを用意している大学も】
多くの高校教員が抱える悩みはずばり、「探究のテーマを主体的に決められない生徒が多い」というものではないでしょうか。これ、そのまま協定校の教職員へ相談してみて良いと思います。大学レベルの授業を生徒に提供する、実際の研究の流れや作法を解説する等、可能な範囲で力を貸してくれるはず。教員や学生が高校へ派遣されることもあれば、大学に生徒を招いてくれることもあるでしょう。身近な疑問を研究テーマに繋げるコツなどをわかりやすく教えてもらえた、なんて話もよく聞きます。卒業論文のテーマ設定に悩む大学生は少なくありませんので、そうした指導に慣れている大学教員は少なくありません。
「問いの立て方を教えて欲しい」「グループでリサーチや議論を進める上でのポイントを教えて欲しい」といった、探究のプロセスに関するご相談も多そうですね。「調べ学習」のレベルで終わらせない、深い探究にするためには、様々なポイントがあります。このあたりも、相談しちゃいましょう。
なお産業能率大学は、ずばり「探究学習支援シリーズ」という、高校向けの支援プログラムを提供しています。生徒向けの「主体的学習者育成プログラム」「協働的学習者育成プログラム」や、教員向けの「課題設定コーチング研修」など、大学が独自に開発したラインナップを、目的に合わせて利用できるようです。生徒が行うワークの内容なども動画などで詳細に紹介されていますので、ぜひ見てみてください。
■「探究学習支援シリーズ」(産業能率大学)
かなり練り上げられた内容で、高校生が興味を持って取り組んでくれそう、かつ探究に必要な各種の能力を伸ばすことに役立ちそうなワークで構成されています。こうしたコンテンツも上手に活用しながら、高校側の事情に合わせた相談を大学の方にされるのが良いでしょう。
なお大学によっては教員だけでなく、学生を高校生達のサポート役として活用されていることもあります。身の回りの社会問題に対する目線、日々の生活で感じる疑問や不安など、年齢的に高校生に近い学生達の方が、探究活動を自然に支えられるというケースもあるでしょう。リサーチやフィールドワークなどを大学生と一緒に進めることで、高校生達が大学での学びのあり方を体験できる、なんて効果も期待できそうです。
高大連携協定を締結した機関では、専門の大学教員が高校側の探究学習全体に伴走支援を行うような例もあります。こと探究においては、高校側だけですべての指導体制を整えるのは大変です。まずはぜひ、関係の深い大学に相談してみてください。
「問いの立て方を教えて欲しい」「グループでリサーチや議論を進める上でのポイントを教えて欲しい」といった、探究のプロセスに関するご相談も多そうですね。「調べ学習」のレベルで終わらせない、深い探究にするためには、様々なポイントがあります。このあたりも、相談しちゃいましょう。
なお産業能率大学は、ずばり「探究学習支援シリーズ」という、高校向けの支援プログラムを提供しています。生徒向けの「主体的学習者育成プログラム」「協働的学習者育成プログラム」や、教員向けの「課題設定コーチング研修」など、大学が独自に開発したラインナップを、目的に合わせて利用できるようです。生徒が行うワークの内容なども動画などで詳細に紹介されていますので、ぜひ見てみてください。
■「探究学習支援シリーズ」(産業能率大学)
かなり練り上げられた内容で、高校生が興味を持って取り組んでくれそう、かつ探究に必要な各種の能力を伸ばすことに役立ちそうなワークで構成されています。こうしたコンテンツも上手に活用しながら、高校側の事情に合わせた相談を大学の方にされるのが良いでしょう。
なお大学によっては教員だけでなく、学生を高校生達のサポート役として活用されていることもあります。身の回りの社会問題に対する目線、日々の生活で感じる疑問や不安など、年齢的に高校生に近い学生達の方が、探究活動を自然に支えられるというケースもあるでしょう。リサーチやフィールドワークなどを大学生と一緒に進めることで、高校生達が大学での学びのあり方を体験できる、なんて効果も期待できそうです。
高大連携協定を締結した機関では、専門の大学教員が高校側の探究学習全体に伴走支援を行うような例もあります。こと探究においては、高校側だけですべての指導体制を整えるのは大変です。まずはぜひ、関係の深い大学に相談してみてください。
倉部 史記
進路指導アドバイザー。北海道から沖縄まで全国200校の高校で生徒・保護者向けの進路講演を実施。各都道府県の進路指導協議会にて、高校の進路指導担当教員に対する研修も行う。多くの大学で入試設計や中退予防、高大接続についての取り組みを手がける。三重県立看護大学高大接続事業・外部評価委員、文部科学省「大学教育再生加速プログラム(入試改革・高大接続)」ペーパーレフェリーなど、公的実績も多数。
日本大学理工学部建築学科卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。私立大学専任職員、予備校の総合研究所主任研究員などを経て独立。著書に『大学入試改革対応! ミスマッチをなくす進路指導』(ぎょうせい)など。
(ウェブサイト)https://kurabeshiki.com/
日本大学理工学部建築学科卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。私立大学専任職員、予備校の総合研究所主任研究員などを経て独立。著書に『大学入試改革対応! ミスマッチをなくす進路指導』(ぎょうせい)など。
(ウェブサイト)https://kurabeshiki.com/