地域に根ざす科学実験教室とゼミ活動

 私の専門ゼミ(以下、ゼミという)では、2022年後学期から、自由が丘に教室を構える幼稚園年中から小中学生向けの科学実験を主とする「サイエンス倶楽部」と連携して、子どもたちの科学への関心を高めるためのプロモーション施策などを考える活動を行っている。

 サイエンス倶楽部は、株式会社サイエンス倶楽部が運営し、首都圏に14教室を展開している。同社は創業35年、サイエンス倶楽部を展開して30年の業歴がある。ゼミで連携している自由が丘教室は同社の中でも規模が大きく、自由が丘地域のみならず、東急各沿線から子どもたちが通っている。実験講座は土日祝日を中心に集中的に行われ、特別講座などもスポット的に行われている。同社の創立以来の理念は「科学教育を通して未来を担う子どもたちの創造性、社会性を育み、社会的価値を最大限に発揮できる人材を輩出することをもって社会に貢献する」ことであり、ゼミの活動においては、この企業理念を理解して取り組んでいる。

 自由が丘教室は古くからこの地に教室を構えているものの、地元において知名度が高くない。この現実を踏まえて、ゼミ活動では、自由が丘教室に通う子どもたちを増やす施策を考えているが、サイエンス倶楽部という名前から難しい学習を行っているのではないか、あるいは科学実験に特化しているのではないかなどというイメージを払拭することから始めている。ゼミ生は経営学部生であり、いわゆる「文系学生」である。文系学生として理系学生ではない発想や目線をもって、子どもたちに理科や自然科学に興味を持ってもらい、誰でも気軽に来てもらうには何が有効であるか思考をめぐらせている。

 このゼミ活動で学生たちは、サイエンス倶楽部という外部組織と直接接点をもって、企業との協議の進め方や企業の組織の動きなどを学んでおり、これは実社会に近いところで得難い経験となっている。また、同社を通して教育に携わることで、未来を担う子どもたちを育てる一端を担う経験ができている。具体的な施策はこれからであるが、自由が丘教室の情報発信へのアイデア提供、地域のイベントへの参加、教室内外のリフォームなどを行うことで、自由が丘教室の知名度を向上させて、子どもたちが多く集う科学実験教室となるように活動を進めたい。「地域に根ざす」、「子どもたち」、そして「教育」と、キーワードが多く含まれる地域連携の活動を大切に運営したいと考えている。
サイエンス倶楽部に関わる話し合いをする川並ゼミの学生たちの様子