学生・役場と共に考える地域活動のかたち

情報マネジメント学部 准教授 矢田 木綿子
 私の実践ゼミでは、2017年から本学の情報マネジメント学部が「連携・協力に関する協定」を結ぶ神奈川県二宮町での活動を中心に、学生の学びについて考えてきました。地域活動をスタートした当初と現在では、ゼミ活動には変化がありました。
① 地域イベントへの参加 ~マネジメントの学びにつながると確信~
 ゼミ一期生の活動は、毎年11月に行われる「湘南にのみやふるさとまつり」内で「フェイスペイント」を実施することからスタートしました。学外のイベントに参加することで、学生が準備や本番から多くを学ぶことができるとわかり、今ではゼミ活動に地域活動は欠かせないと考えています。
 イベントに向けては、学生の統括グループが中心となり、町役場の方と直接連絡をとりながら準備を進めます。学外の方との直接のコミュニケーションは、学生にとって大きな成長となります。また、学生がメンバーをマネジメントすることは壁にぶつかることが多いですが、こういったことがマネジメントの経験に繋がると感じています。
(二宮町「湘南にのみやふるさとまつり」内のフェイスペイントブース 2019.11)
(フェイスペイントのデザイン考案と練習 2019.10)
② 地域の役に立つには ~学生の声から生まれた変化~
 複数のイベントに参加を続けるうちに、「参加しているだけの自己満足になっていないか」と考えるようになりました。そのようなとき、学生から「今年はフェイスペイントブースを出店するだけでなく、イベントの運営にも携わりたい。ふるさとまつりにはゼミ生がいないと困るよ!と町役場から言われるようになりたい」という声があがりました。役場の方にこのことをお話しすると、イベント内で人が不足している場所や時間帯などで、学生がお手伝いをさせていただけるようになりました。こちらから発信することで、役場の方の考えを聞くことができるきっかけとなったのです。
(二宮町の商品販売「にの屋」で販売担当をする学生 2019.11)
(列の整理係を担当する学生 2019.11)
③ 試行錯誤の連続 ~活動を通じて得た学生の自信~
 その後、コロナ禍でイベントが中止になるなどゼミ活動でも試行錯誤が続きましたが、2021年度には二宮町から観光アンケートに関わるご依頼をいただき、学生によるアンケートフォーム作成、QRコードのチラシ作成、アンケート実施についてご協力をすることができました。
 また、結果のとりまとめと学生の考察、アンケート結果から考えられるイベント企画の提案もしたことで、学生が1年次から授業で学んできた内容を総合的に活かすことができ、学生の自信にも繋がったと考えています。
④ まとめとして
 地域の特徴、大学や学生の特徴、教員の専門がそれぞれありますが、地域活動を通じて、その地域と大学にあった独自のより良い関係に変化させることができると感じています。まだまだ、「自己満足」になっているかもしれませんが、今後も「ゼミ生の学びの質」「ゼミで可能な地域貢献」の両方に進歩があるよう、活動していきたいと考えています。