地域創生ユニットでの横瀬町活性化

はじめに
全国で地域活性化が叫ばれる中、産業能率大学経営学部の地域創生ユニットは、地域活性化を担う人材育成を目的として2021年に発足しました。
地域活性化人材の育成は通常、様々な自治体や地域の事例やケーススタディを通じて行います。しかしながら、事例やケーススタディだけでは学びを再現することが難しく、他の地域や自治体の活性化に活用できるか不明です。
そこで本ユニットにおける講義科目では“地域活性化を科学する”を目標に地域活性化の先進事例・失敗事例を経済学・経営学・社会学・心理学的な観点から分析します。
前例を学ぶ
前学期の授業では、離島や中山間から商店街、海外までの様々な地域活性化の事例を分析し、「なぜ成功したか」を学びます。地域活性化の成功要因を科学的に捉えることで、他の地域や自治体でも地域活性化の施策を考えられるようになるでしょう。
後学期の授業では、地域活性化の失敗事例を挙げて、「なぜ失敗したか」を科学的に分析します。分析すると、失敗する理由は「認知バイアスによる合理的で論理的な意思決定ができなかった」、「組織論として間違った意思決定をした」など多くの理由があることが分かります。それらを学び、失敗に繋がる間違いに気づくことができると、失敗を回避できるかもしれません。
成功する理由を分析し、言語化できれば成功を再現できます。失敗する理由を分析し、言語化できれば失敗を回避できます。つまり、成功要因と失敗要因の両方を分析することで、成功を論理的に導くことができると信じて講義を行っています。
図1:地域創生ユニットで取り上げる地域活性化成功事例
図2:地域創生ユニットで取り上げる地域活性化失敗事例
学びを実践する
学んだ理論は、実践してこそ意味があります。講義科目で学んだ知見や理論は演習科目で実践に移します。埼玉県の横瀬町役場と産業能率大学で提携し、横瀬町を舞台に学生はチームを組み現地でのフィールドワークを実施します。そして、システムシンキングやロジック分析など、経営コンサルタントが活用する思考ツールを活用して、地域の問題発見と課題解決を行います。
図3:学生たちがシステムシンキングを活用し横瀬町の問題をまとめたループ図
学生たちはコロナ禍の中、オンラインでのヒアリングで横瀬町の課題について仮説を立て、万全の感染対策をした上で横瀬町に訪問。フィールドワークを通じて、仮説を立てた問題・課題について理解を深めました。
最終的に学生チームは、教育・子育て、医療、暮らし、仕事などの分野において横瀬町活性化のための政策を町長や横瀬町役場の職員に発表しました。横瀬町の富田町長は「大学生とは思えない地域活性化の施策・政策ばかりで素晴らしい提案を頂いた。どの提案も学生たちが自分ごとで考えており、素晴らしい。提案のうち半数は今すぐやりたい。やりませんか?」とのお言葉をいただきました。
こうした成果もあり、今年も横瀬町を舞台に学生たちが地域活性化への政策提案を練っています。
図4:横瀬町でのフィールドワークの後、町長や町役場、教育委員会とディスカッション
図5:最終発表会には横瀬町の富田町長が直々に来学、学生たちの政策提言を受けた
まとめとして
地域活性化は行政だけではなく、今後は官民連携により民間企業が行政と連携しまちづくりをビジネスとして実施するケースが増えるでしょう。
みなさんも地域創生ユニットで地域活性化や官民連携のプロになりませんか。