授業科目紹介

「マーケティング戦略」 マーケティング学科専門科目2年次・後学期開講

担当:経営学部 マーケティング学科 木村 剛 教授(本科目主務者)

どのようなことを学ぶ授業?

必修科目の『マーケティング』では、マーケティングの基本やフレームワークを学びます。そうした基本は不可欠ですが、それが現実のビジネスではどのように活用されているのかを考えてみることを通じて、理論と実践のつながりを理解してもらうことをねらいにしています。本科目では理論に基づいた企業の対応例を確認してもらうために、ケース(事例)を多く取り入れて説明するようにしています。資料を提示し状況を説明して、この時、どのような戦略が考えられますか、と問いかけて考えてもらっています。

この授業の面白さや、学生に学んでほしい、興味をもってもらいたいポイントは?

本講義では、なるべく最近ヒットした製品やサービスを取り上げるようにしています。日本の市場はそのほとんどが成熟化していて、差別化が難しくなってきています。そうした状況の中でヒットしている製品やサービスはどこが良かったのか、その戦略のポイントについて考えてもらっています。またその逆に、市場調査を行い、その結果に基づいて市場に送り出した製品も数多く失敗しています。なぜ失敗したのかを考察してもらい、競争戦略の視点からマーケティングを考えてもらうようにしています。ここで学んだ考え方や視点などを、自分の興味のある業界や企業に当てはめて考えられるようになってくれると嬉しいです。

授業内容に関する近年のトレンドは?

マーケティングはその概念を拡張することで、その領域を広げてきています。地方自治体や病院、大学などといった非営利団体やブランド、サービス、スポーツなどにも活用されるようになってきました。そうした拡がりについても説明するために、改めてマーケティングの基本や本質を押さえつつ、プラスアルファの要素についても言及するようにしています。最近は学生にアイデアを出してもらうこともあります。例えば、昨年の講義では、「歌舞伎」や「大相撲」という日本の伝統的なビジネス(興行)の新規顧客の獲得方法について考えてもらいました。ユニークな意見や考え方が出てくることも多く、そうした学習を繰り返していくことで、実践的なマーケティングを考えるようになっていくと思います。

授業内での工夫は?

理論を教えるのはもちろんですが、一度問題を出して、一旦考えてもらってから動画などを見てもらい、自分の考え方が正しいのかを判断してもらうような試みをしています。そのため、動画や新聞、雑誌等の特集などはチェックするようにしています。また、講義中に、毎回、提出してもらう小レポートを設定しました。その中で、ちょっとしたクイズというか、自分はどう考えるのかを書いてもらったり、講義後に、自分で調べてみないとわからないような課題を出したりしています。ただ「用意された資料を読んで、ポイントをまとめて終わり」というのではなく、自分で調べたり自身の考えを導き出すような情報を検索してもらう課題を出すことで、色々な視点から考えるクセをつけてくれたら良いなと思います。さらに、自分で課題を設定し、それについて記述してもらう設問をするなどして、徐々にですが、難易度をあげるようにしています。思った以上に反応があり、記述量が多いレポートが提出されているため、手応えのようなものを感じています。

これまで受講した学生で、印象に残っているエピソードは?

大企業だけでなく、優良な中小企業の事例を紹介していますが、そこで中小企業に対する考え方が変わったと言ってくれた学生が結構いました。また完成品を作るメーカーではない「素材メーカー」や「卸売業者」、「小売業者」についても事例でよく取り上げますが、その後、この講義がきっかけで、これまで視野に入っていなかった業界に興味を持ち、実際に就職したという報告をしに来てくれた学生がいて、そのことが記憶に残っています。

授業で学ぶことが、卒業後にどのように役に立つ?

学生は理論を学び実践の場に出ていく訳ですが、卒業したゼミ生の話を聞いてみると、「実践」の場での「理論」の活用の仕方がよくわかっていないようです。学生時代に学ぶのは、ビジネスの成功法ではなく、基本をしっかり学び、考え方の視点を増やし、論理的に考える方法を学んでほしいです。どの方法が良いのかは環境によって変わります。環境が変わった時に柔軟かつ臨機応変に考えられるようになってくれれば良いなと思っています。

授業に関連して、併せて受講してほしい科目、習得してほしい知識は?

難しいですが、ビジネスを理解するうえで、数値データを取り扱えるようになってほしいので、統計の基礎とか、企業に関わる数値の見方がもう少し分かってくれると理解が深まるのではないかと思います。あと出来れば、経営やマーケティングは法律と密接に関連しており社会に出ると役に立ちますので、ほんの少し法律についても学んでくれると良いかなと思います。

授業を通じて学生に伝えたい事

この講義を受けて、テレビや雑誌などを見たときに、この商品はどのようなコンセプトで何を狙っているのか、他社との差別化はどうか、などマーケティング戦略の視点から考えるようになってくれるとうれしいです。