開設3年目を迎えたコース横断科目「地域ブランド創造プロジェクト」の現状と今後

情報マネジメント学部 教授  松岡 俊

トップ 地域創生・産学連携研究所

開設3年目を迎えたコース横断科目「地域ブランド創造プロジェクト」の現状と今後

  • 情報マネジメント学部現代マネジメント学科
  • 専門ゼミ
  • 地域・企業との連携
  • #地方創生・産学連携
  • #商品企画
  • #地域
  • #フィールドワーク
はじめに
 「地域ブランド創造プロジェクト」は2022年4月に情報マネジメント学部の2年生を対象に開講されたコース横断科目です。近年、コース横断プロジェクトの人気が上昇しており、そうした学生の要望に応えるための開講でした。科目の目的は「地域ブランド」としての「湘南オリーブ」の認知度向上を様々な活動を通じて実現させるというものでした。
 幸いなことに湘南地域の2つのオリーブ園と二宮町、本学とで地域連携協定を締結することができ、本格的な活動を開始する環境は当初から様々な方々のご尽力により整っていました。
 しかしながら、開講にあたっては不明な部分も多く、2021年より1年間の準備期間を設けオリーブ園でのオリーブの栽培、土壌調査、収穫作業などを実施し、授業の活動内容を精査しました。
 その結果、オリーブ園のあるエリアで無理なく履修する学生が頻繁に通えて活動できること、栽培実習にあたっては公用車による送り迎えなど移動手段の提供を二宮町から得られること、オリーブ栽培に関するアドバイスを小豆島のオリーブ専門家などから得られることなどの条件が揃い、最終的に開講に漕ぎつけることができました。
 以下では、そうした環境で始まった科目がこれまでに達成してきたことや課題などについて触れていきます。
1.履修する学生の特徴
 初年度から科目の履修定員を24名としていますが、3年間募集人員通りの人数が履修しています。履修する学生の特徴としては、GPAが高いことや宮城県、岩手県、島根県、静岡県などの地方出身者が多いことがあげられます。また、オリーブ栽培、アグリビジネスはとにかく天候に左右されやすい商品です。そのため、オリーブ栽培に関する実習日時は直前に案内するのですが、ほぼ全員が日程調整をして参加してくれるなど実習優先で活動してくれています。その点は毎年、同じ傾向で大変頼もしい限りです。
2.「湘南オリーブ」の基礎的な知識を習得するための活動
 学生に湘南オリーブの認知度向上策を考えてもらう前にオリーブそのものを知ってもらうため、栽培実習を年4回設けています。1年間を通じて活動する通年科目のため、オリーブの成長を時期ごとに観察できて学生には好評です。実習は5月の開花期・受粉期、7月の台風の暴風対策期、10月の第1次収穫期、11月の第2次収穫期の4回実施しています。
 そのほか、4月~6月の間でオリーブの専門家に特別講師として授業にお越しいただき、ワークショップを実施してオリーブの特性を学ぶ機会を設けています。ワークショップはNHKの趣味の園芸でおなじみの岡井路子さんに科目開設以来お願いしています。
 また、2022年に伊勢原市内の耕作放棄地に30本のオリーブを植樹し、履修する学生が1人1本責任栽培制として防虫対策、水やり、草刈りなどを実施しています。この活動も、学生が自分事としてオリーブ栽培を捉える一助となり、認知度向上を含む様々な活動に深みを加えてくれています。
3.「湘南オリーブ」の認知度向上のための活動
・オリジナルの「オリーブの新漬け」販売
 10月に収穫が始まるオリーブですが、2022年から初収穫のオリーブを使った「オリーブの新漬け」を二宮町の食品企業と協同して販売しています。2024年にも「バモリーブ」(バモ+オリーブ)として11月の二宮ふるさと祭りにて200個販売いたしました。今回はピクアルという品種で、毎年品種を変えて販売しています。収穫から食品企業への納品、パッケージデザインまで全て学生たちが行っています。
 また、平塚市内のワインバーや飲食店などで「オリーブの新漬け」を取り扱っていただいており、湘南オリーブの認知度を飲食店を通じて広める活動も行っています。

・湘南オリーブを使った「湘南オリーブベーグル」の販売
 2024年6月、本学のスペシャルデー開催日、湘南ベルマーレの試合会場にて「湘南オリーブベーグル」を400個販売いたしました。また、11月の二宮ふるさと祭りにおいても「湘南オリーブベーグル」を300個販売しています。いずれも完売しており販売を通じて湘南オリーブの良さをアピールしています。
4.3年間の成果
 2022年から活動してきた「湘南オリーブの認知度向上」を目的とした活動ですが、関係者を含む様々な方々との協働的活動もあって、2024年4月には特許庁の認定する「地域団体商標」を「湘南オリーブオイル」として取得することができました。過去2度の申請は却下されていましたが、我々の活動もわずかながら貢献できたと思っています。
5.おわりに 今後の課題
 「オリーブの新漬け」は小豆島では販売の解禁日が決まっており、年中行事になっています。来年度は湘南でも解禁日を設け、オリーブ生産者とも協力して実施し、さらなる認知度の向上を目指していく予定です。