授業科目紹介

「簿記入門」 情報マネジメント学部1年次・前学期開講

担当:情報マネジメント学部 友寄 隆哉 教授(本科目主務者)

どのようなことを学ぶ授業?

仕事上、簿記の必要性を痛感し簿記・会計を学び始める社会人が多くいます。企業活動は、簿記という言語で表現され、記録され、公表されるので、その知識があるととても役に立つからです。「簿記入門」では、簿記を初めて学ぶ人を対象に日商簿記3級の範囲の80%程度を学びます。検定試験対策として試験合格のテクニックを身に付けるのではなく、将来仕事で活用するために本当に必要な重要事項に絞って繰り返し学習します(検定対策は別講座を設けています)。将来役に立つ簿記の土台をつくる大切な授業です。

この授業の面白さや、学生に学んでほしい、興味をもってもらいたいポイントは?

簿記は、めんどくさくて面白くない科目の代表として扱われることも多いのが現実です。私は機会あるごとに学生に次のような例え話をします。
「自転車に乗れなかったときのことを思い出してください。転びながら練習しましたね。一度乗れるようになるととても快適ですよね。簿記もそれと一緒です。基本を理解すると企業活動を見る目が養われ、将来を見通す力もついてきます。これはとても素晴らしいことです。」と。
忍耐が必要な科目であることは確かなので、修得後の有用性を意識して根気強く取り組んでほしいと願っています。

授業内容に関する近年のトレンドは?

ここ数年日商簿記検定(特に3級と2級)の試験範囲・試験方法が大幅に変化しています。会計実務を意識して、これまでは上位級で扱っていた内容が下位級に降りてきているという現象です。社会は常に変化していますので、この傾向は今後も続くと予想されます。「簿記入門」で基本原理をしっかりと理解し、反復練習することで、このような変化にも対応できるようになります。

授業内での工夫は?

簿記は最初が肝心です。簿記学習の初期段階で苦手意識を持ってしまうと、その払拭には多くの時間とエネルギーが必要となってしまいます。その苦手意識を生み出す原因の最たるものが「覚えることが多すぎること」です。授業では無味乾燥な暗記を極力排す工夫をしています。それが「宝物プリント」と「復習動画」です。
まず「宝物プリント」です。簿記の学習のはじめに「現金」「普通預金」「借入金」「資本金」「給料」「売上」など大量の勘定科目がいきなり出てきます。そしてそれらを「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」といったグループに適切に分類できないと後が続きません。初めて簿記を勉強する人にとってこれは苦痛です。勘定科目名も分類も一発では覚えられないからです。そして簿記の学習が苦痛で嫌いになってしまうという悪循環に陥ります。「宝物プリント」はこの暗記するという作業を極力減らし問題を解きながら簿記の原理・原則を一つ一つ確認して次に進めるように工夫したプリントです。学生は少しでも自信のない問題に出会うとこのプリントでルールを確認します。暗記するのではなく確認をするのです。これを繰り返すことで自然とルールが体に染み込みます。これが本当の実力です。幸いこの「宝物プリント」は多くの学生の好評を得ています。
宝物プリント見本
次は「復習動画」です。テキストの活字情報だけではやはり、理解に限界があります。そこで演習問題を解説した動画をmanaba(学生が学習に利用するポータルサイト)にあげ、復習の便宜を図っています。多くの学生が視聴し復習に役立てています。

これまで受講した学生で、印象に残っているエピソードは?

数年前のこと、中間テストで100点満点中8点をとった学生がいました。普通なら諦めてしまいそうなところ、この学生は逆に奮起し私の研究室に何度も質問に来ました。そして「できるようになると楽しいです」といえるようにまでになりました。もちろん期末テストはびっくりするような高得点でした。教員としてはこれほど嬉しいことはありませんでした。

授業に関連して、併せて受講してほしい科目、習得してほしい知識は?

「簿記入門」は簿記の土台を作る科目です。社会人として仕事で活用できるようになるためには日商簿記3級から2級の知識が必要です。必ずしも検定試験に合格する必要はありませんが、日商簿記3・2級の知識があるのとないのとでは同じ経済現象をみても捉え方の深さが違います。その意味で、「簿記応用」や「原価計算」、「管理会計」「会計学の基礎」などの上位科目を履修し知識を増やしてほしいと思います。