授業力向上フォーラム(静岡開催)講座概要

講演セッション

session1「AI時代の社会、人材、教育  ~VUCA時代に必要な学びと能力~」
ChatGPTなどテクノロジー、AIの発展によって、社会が変化するスピードは年々早くなっている。それに伴い仕事や働き方も変化し、必要な能力も変わりつつある。2020年初頭のコロナはその変化を加速させ、ニューノーマルの時代に突入した。これまで日本ではICTを用いた教育環境整備が他国と比較して遅れていたが、コロナをきっかけに一気に整備されることになった。コロナを契機に多くの領域でDXが行われているが、教育も小手先の改善ではなく学び自体の改革が求められている。この講演では、社会や求められる人材の変化とともにここ数年の学びの変化を共有しながら、これからの学びはどのようなものになるのか、そして教員の役割はどのようなものに変化していくのか各々で考える機会となれば幸いである。
session2「我がこととしての問いを、協創的に深めることができる学校づくり ~「競争を通して人材育成する機関」ではない学校を~」
本セッションでは、これまでの自身の研究成果をふまえ、「2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成」という観点から、「誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出す」ために、高等学校において「どのようなカリキュラム」を、「どのように構築」していくことが、我がこととしての問いを、協創的に深めることができる学校づくりにつながるのか、
・将来、社会的・職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現するために必要な力(キャリア形成力)を育むためのカリキュラム
・普通科系高校の総合的な探究の時間や職業系高校の課題研究の3年間カリキュラム
・各教科で探究的に取り組む際の課題となる評価のあり方
・各学校が実践的にカリキュラム研究を行うために必要な組織・システムづくり
等について、具体的な事例を挙げながら、フロアの皆様と対話的に議論を深めていきたい。
session3「高大接続・トランジションを実現する主体的・探究的に学ぶ力-進むDXをにらんで」
最先端の知識・技能が、オンライン上ですさまじい量と速さで情報提供されている。残念であるが、必ずしも大学(学校教育機関)は人のライフ形成に必要な知の最先端の場ではなくなっている現実を直視する必要がある。大学の下位に位置して構造化されている高校教育も同様である。生徒学生は、学校で教えられる知識・技能を基礎としながら、利用できるものは大いに利用しながらも、他方で自身のライフに必要な知識・技能は、学校で教えられなくても主体的に、探究的に学んでいくことが求められる。近代社会で体系化してきた知の構造と、今日爆発的に発展する知が必ずしも軌を一にしていない。トリッキーではあるが、必ずしも学校教育に頼らない主体的・探究的に学べる態度・能力が、学校教育を通して育成されることが求められている。

授業ワークショップセッション

session1

A教室 「どうする新課程の国語 板書に立ち返って考える対話的授業のあり方~構造的板書の手法からICTと併用まで~」
新学習指導要領にもあるように主体的で対話的な深い学びを授業で求められることが多くなってきました。また、生徒の言語活動を活発に行い、さらにICTの利活用も進んでいます。そんな中、授業における板書の意義を見直してみたいと思います。構造的板書、立体的板書といわれる板書計画とはどんなものなのか、対話をひきだす板書のあり方、ファシリテーションと板書の相性、など、「板書」を中心に深い思考を促す授業デザインについて考えていきます。
B教室 「学習過程を意識した授業づくりを体験しよう~数学を例として~」
資質・能力」ベースで書かれている新学習指導要領で鍵となるのは教科の見方・考え方で、資質・能力を育成していくためには、学びの過程の果たす役割が極めて重要です。数学では数学的に問題解決する過程が重要で、学習過程のイメージ図が学習指導要領で示されました。本講座では数学A「場合の数・確率」の単元で、学習過程を意識した授業を体験します。学習過程は2つ示されているので、授業も2つ実施します。授業を体験することを通じて、学習過程を意識した授業づくりについてともに深めることができればと思います。

session2

A教室 「どうする地学!~ICTを活用した授業デザインのアイデア~」
ICTの活用を目的ではなく、手段として活用する授業デザイン
B教室 「生徒はどのように学ぶのか —歴史科目の授業デザインを考える—」
授業を作る際に、私たちは何について留意をしているでしょうか?歴史の授業の場合、生徒は歴史について「何も知らない」状態で学んでいるわけではありません。生徒の既有知識を知らずして、授業をつくることはできません。そして、生徒の既有知識は、歴史の授業の理解を促進することもあれば、妨げることもあります。生徒の持つ歴史のナラティブに焦点をあてて、生徒のナラティブを再構築する授業を考えてみたいと思います。
※講座内でGoogle Formsを使用します。ご参加の方は、事前にGoogleのアカウントのご用意をお願いいたします

session3

A教室 「ICT×探究 ~どうする『探究』理想と現実!?❤︎~」
現場を軸足に、必要な進路指導・キャリア教育の理論と実践を体験していただきながら紹介します。キャリア理論を活用した多様な価値観への理解・GISの活用による地域理解・取り組みの評価・ナラティブアプローチなど、「実践」を前進・深化させる手法を身につけパフォーマンス向上を目指します。同僚性の中で「臨床の智」を高めているLeaning Design Communityのスタンスで進行いたします。参加される方にも実践報告をお持ちいただき交換もしたい(任意)と思います。
B教室 「進路多様校での探究学習導入のステップ」
進路多様な学校で一から探究学習を学習指導要領に則って計画実行した、宮崎県立宮崎東高等学校定時制課程夜間部での取組をステップを踏んで説明します。(探究学習の課題設定に関するグループワークあり)