私の視点 2022
湘南オリーブが
地域の可能性を切り拓く
「地域ブランド創造プロジェクト」
の現在地
〜 SANNO在学生がインタビュー 〜
私の視点 2022 Vol.4
湘南オリーブが地域の可能性を切り拓く
「地域ブランド創造プロジェクト」の現在地
2022年度、新規開講した授業「地域ブランド創造プロジェクト」。SANNOと地元企業2社、そして二宮町の4者がオリーブを題材に産官学提携で取り組みを行なっています。今回はプロジェクトに参加する情報マネジメント学部 2年の波々伯部ほうかべ 渚さんが提携企業である株式会社ファームビレッジ湘南代表取締役の眞壁 潔さんにインタビュー。湘南オリーブのこれまでの歩みやプロジェクトの今後についてお話を伺いました。
地域の新たな活力になる、湘南オリーブの栽培
波々伯部

情報マネジメント学部 現代マネジメント学科2年の波々伯部渚です。よろしくお願いします。

眞壁

株式会社ファームビレッジ湘南の眞壁潔です。よろしく。

波々伯部

今日は中井町松本の農園にお邪魔しているのですが、とても広いですね。

眞壁

関東最大規模の約75,000㎡の敷地面積です。ここでは現在約3,000本のオリーブの木を育てています。

波々伯部

そもそもなぜ御社でオリーブ栽培を始めたのでしょうか。

眞壁

私が会長職を務めている湘南ベルマーレというサッカーチームで、2014年度の開幕前に二宮町へ挨拶に行った際に、当時の町長から相談をもらったのがきっかけです。

波々伯部

二宮町は以前からオリーブで町おこしをしていますよね。

眞壁

はい。湘南・西湘エリアは、相模湾からの海風と日照時間に恵まれた丘陵地なのでオリーブ栽培にとても適しているんです。

波々伯部

プロジェクトに参加するまで湘南でオリーブ栽培ができるとは知らなかったです。なぜSANNOがプロジェクトを共にすることになったのでしょうか。

眞壁

二宮町から話をもらい、私の家業である造園会社の子会社「ファームビレッジ湘南」で2014年から栽培をスタートしました。おかげさまでこの数年、やっと栽培が安定してきて、次は「どう売っていくか」という段階。我々だけではなく、若い方々の発想や自由なアイデアを取り入れたいと思いSANNOさんにお声がけをしました。

波々伯部

今年度から参加させていただいていますが、知れば知るほど地域のブランドを育てていく楽しさを実感しています。

眞壁

波々伯部さんはなぜプロジェクトに参加してみようと思ったの?

波々伯部

もともとSANNOに入学した理由はイベントに関わる仕事がしたいという想いからでした。でもいろんな授業を受ける中で、もっと新しいことに挑戦してみたいと思い、地域ブランド創造プロジェクトへ手を上げました。

眞壁

「湘南オリーブ」はこれからさらに生産・ブランド価値・販売を根付かせていかなければいけませんから、きっと幅広く新しい挑戦ができますよ。

波々伯部

はい、毎回の授業がとても刺激的です!

学びと実践を積み重ねる
眞壁

今、授業ではどんなことを学んでいるんですか?

波々伯部

前期はプロジェクトの概要や計画を知るところから。私たち学生に課されているミッションや、地域とどのように連携していくのかなど。あとは実際に二宮町の農園に足を運んで栽培や収穫もお手伝いさせてもらいました。

眞壁

何か気づきはありましたか?

波々伯部

想像していた以上にオリーブ栽培は手間暇がかかるんだなと。

眞壁

その通り。栽培を促進するにしても、高齢化が進んでいる地域ではなかなか体力面で踏み出せない農家さんも多いですね。

波々伯部

授業の中で、耕作放棄地という地域の課題も知りました。

眞壁

実際にこのエリアでは高齢化が進んでいますから、かつての農地が手付かずのまま放置されてしまっている例はよく聞きます。湘南ベルマーレの選手の実家でも、祖母の土地が手付かずになっているという相談を受けたことがあります。

波々伯部

このプロジェクトは、若い人たちの力でもっと地域の課題解決を目指すということにもつながりますよね。

眞壁

学生さんのアイデアはどんどん欲しいですね。前期の授業では、オリーブを使ったメニュー開発も行っていましたよね?

波々伯部

7チームに分かれ前菜とスイーツのメニュー開発とプレゼンテーション、試食発表会をしました。私のチームは、佐賀の「須古寿司」をイメージしたオリーブ寿司とチーズケーキにオリーブを使った2種のジャムを添えたものを考えました。

眞壁

へえ、どうして「佐賀」に?

波々伯部

地域ブランドを考えるプロジェクトなので、どこか地域の特色を活かしたメニューができないかと思い九州からアイデアを得ました。ターゲットの設定からアイデア出し、プレゼンテーションまでとても楽しかったです。

眞壁

オリーブを使った郷土料理はオリーブ栽培先進地の小豆島でも開発が進んでいます。名物料理やお土産はブランド力の強化になりますからね。それで、結果はどうでした?

波々伯部

残念ながら2位に終わりました。だけど、地元レストランのシェフの方からフィードバックをいただくことができ、学びが多かったです。

モノだけではない体験も地域活性化のカギ
波々伯部

後期から具体的なオリーブの販売施策や展開を考えていくのですが、オリーブはオイルや新漬け以外にも何か展開ができるものなのでしょうか。

眞壁

今はオリーブオイルの生産がメインですが、これからは化粧品などの展開も広げていきたいですね。

波々伯部

化粧品にもなるんですね。

眞壁

製造・生産業などでは歩留ぶどまりといって原材料から得られる想定生産量に対する製品出荷量の比率が大きく利益に関係しているんです。たとえば、オリーブオイルは収穫量に対して7%ぐらいしか摂れない。後の93%はゴミになってしまう。そうすると歩留が下がる、要するに単価が高くなってしまうんです。

波々伯部

そういう関係性があるんですね。

眞壁

だから化粧品などもっと歩留の良いものへ展開を考えていかないとビジネスとして成長していきません。今、うちでも実験的にオリーブの葉を乾燥させたものをブレンドした保湿クリームを作っているんです。

波々伯部

実だけじゃなく葉も活用するんですね。

眞壁

世界を見るとオリーブの活用はもっと進んでいるんですよ。例えば、不要になったオリーブの木で家具を作ったり。

波々伯部

世界の事例も参考になります。今年の秋から農泊にも取り組まれているということも聞いたのですが。

眞壁

オリーブの収穫は全て手摘みなので秋から冬にかけては本当に忙しい。人手がいくらあっても足りないという状態です。そこで、一般の方をその時期に受け入れて、オリーブの実の収穫を手伝ってもらいながら農園にキャンプ泊してもらえる観光体験を提供していきたいなと。

波々伯部

商品そのものだけじゃなく体験も打ち出すことができますよね。

眞壁

湘南は関東周辺からのアクセスもいいので日帰りもできる。街を盛り上げていく一つのコンテンツにもなるんじゃないでしょうか。

波々伯部

どんどんビジネスが広がっていきそうです!

地域とのつながりがブランドをより強くする
波々伯部

最後に、眞壁さんが私たち学生に期待することはなんでしょうか。

眞壁

長年農業に携わる人たちでは思いつかないような、若い感性に期待していますね。経験者は「これは売れない」という視点でつい見てしまいますが、学生の皆さんが考えた方が自由な発想といろんなチャレンジができますから。

波々伯部

これから本格的にプロモーションなどを考えていくので楽しみです。

眞壁

企画をしていく中で障壁になることは多々出てくると思いますが、ぜひそれも学んで、疑問が湧いたらどんどん発言していってください。私たちが声を上げるよりもきっと若い人の声が世の中を動かしていくと思います。

波々伯部

今「企画」「販売」「事務」と3部署に分かれて活動しているのですが、なかなか地元の販売販路を広げるのに苦労をしていてビジネスの大変さを痛感しています。

眞壁

湘南ベルマーレでも地域とつながることを大切に活動してきました。地域とのつながりはただ単にビジネスとしての広がりだけでなく、そこから生まれるコミュニティの重要性がある。形は違えど、湘南オリーブにもその可能性はあると僕は思っています。ぜひ、地域との連携も頑張っていってください。

波々伯部

はい!今度、収穫をお手伝いしたオリーブの新漬けを湘南ベルマーレのイベント、スペシャルデーでも販売させてもらう予定です。

眞壁

どんな反応が見られるか、楽しみですね。

波々伯部

実は今回の新漬けの瓶に貼り付けるラベルのデザインを担当させてもらいました。その反応も気になります!

眞壁

素晴らしいですね。

波々伯部

今日はプロジェクトの今後のヒントになるお話など眞壁さんからお伺いできて、本当によかったです。

眞壁

どんどんアイデアを出し合い盛り上げていきましょう。今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。

波々伯部

ありがとうございました。

プロフィール
眞壁 潔 KIYOSHI MAKABE
株式会社ファームビレッジ湘南 代表取締役/株式会社湘南べルマーレ 代表取締役会長
大学卒業後、湘南造園株式会社入社。1999年から平塚を本拠とする湘南ベルマーレの存続危機に際し「ベルマーレ存続検討委員会」のメンバーとなりクラブの存続に尽力。その後、株式会社湘南べルマーレの代表取締役として市民とクラブの交流をさまざまな活動を通して行うなど改革を先導する。2014年からは同社会長に就任。
波々伯部 渚 NAGISA HOUKABE
産業能率大学 情報マネジメント学部現代マネジメント学科 2年
高校時代にSANNOのカリキュラムや主体的に学ぶ在学生の姿に惹かれ、入学。1年次の地域創生にかかわる授業がきっかけとなり、地域ブランド創造プロジェクトを履修。プロジェクトではオリーブ畑の調査研究や、湘南オリーブを活用したレストランメニュー開発など、幅広い取り組みを経験する。プロジェクトで収穫したオリーブを商品化した「バモリーブ」(新漬け)のラベルデザインを担当。将来は得意分野を活かしながら社会で活躍すること目指し、実践的な学びのなかで日々経験を積み重ねている。
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