私の視点 2022
新時代のマーケティングとは?
2023年
SANNOマーケティング学科の
学びを調査!
私の視点 2022 Vol.2
新時代のマーケティングとは?
2023年SANNOマーケティング学科の学びを調査!
2023年、SANNOのマーケティング学科が変わる――。変化の激しい時代に、今求められるマーケティング思考や必要な能力を身につけるため、新カリキュラムや超実践型の学びがはじまります。今回は、そんな大変革のキーパーソン、経営学部 杉田一真教授にインタビュー。SANNOで学ぶ、マーケティングの魅力に迫ります。
変化の激しい今、求められるマーケティングの力
―「マーケティング」という言葉を、最近よく耳にするようになりました。
杉田先生:「マーケティング」とは、企業が市場(market)から得られる情報に基づいて、戦略を立てて、商品やサービスが消費者から継続的に支持されるしくみをつくることです。企業は、商品やサービスを企画する際、ターゲットとなる消費者はどこにいて、どのようなニーズを持って、どのように商品を選択するのかといった行動や心理面から仮説を立てていきます。
―時代の変化に応じて、マーケティングの手法なども変わってきているのでしょうか?
杉田先生:今、マーケティングを取り巻く世界は大きく変化しています。その要因は2つ。一つは、技術革新によって取得できるマーケティングデータが多様かつ大量になったこと。これまでは、消費者が何を買ったかはレジのPOSシステム(*)などでデータが取れていましたが、今後はカメラなどを使って消費者が何を手にとって、何を棚に戻したか、手にとったときに何秒、どこを眺めていたかというプロセスデータも取得できるようになりました。
POSシステム(*)…Point Of Sales。物品販売の売上実績を単品単位で記録し集計するシステムのこと。
―そんなデータまで取れるんですね!
杉田先生:そういうデータも含めて分析し、マーケティング戦略を立てる時代が来ています。もう一つの要因は、消費者の情報収集行動の変化です。今まで消費者は、テレビや新聞広告などで商品やサービスを知って、そこで購買の意思決定をしてきましたが、最近では特に若い人はテレビを見ません。雑誌もなかなか売れない時代になりました。
―はい。YouTubeやSNSばかり見てますね。
杉田先生:そうすると、これまで企業はたくさんのお金をかけてテレビCMや雑誌広告を出していましたが、それではもはや消費者には認知してもらえない。ネットやSNSに広告に見えないような形で情報を流すと、今度は「ステマ(*)だ」と言われてしまう。マーケティングの視点から考えると、今はかなり苦悩の時代だと言えます。だからこそ、今新たなマーケティングの力が必要になってきているんです。
ステマ(*)…ステルスマーケティング。消費者に宣伝であることをわからないよう、商品やサービスを紹介する手法のこと
―今のマーケティング業界で求められている力ってなんでしょうか。
杉田先生:まずは「データ活用力」です。大量に得られたデータを、読み解いていく力。その力がないと、移り変わりの激しいトレンドを読み切ることはできません。
データの見方や分析の仕方といった基礎的な部分をきちんと学んでいれば、商品・サービスに適したアプローチ方法を見定めることができます。加えて、「即応性」も大切ですね。
―即応性とは?
杉田先生:トレンドの変化をいかに素早くキャッチして、解決策を提示していくか、そのスピードのことです。半年や一年をかけてテレビCMを作るのではなく、今日のマーケティングデータを分析して、翌日にはSNSに投稿する。そんなサイクルが必要です。
―なるほど、スピードが求められるんですね。
杉田先生:もう一つ求められていることは、「消費者心理に関する洞察力」です。得られたデータを一般的な視点から分析しても、他の企業と同じような結論しか出ません。単にデータを眺めていても見えない部分にこそ差別化ポイントがあるのです。それを探るために大切になるのが、消費者心理。インタビュー調査によって、消費者が時に本人さえも気付いていない深いニーズを発見し、そこから新しい仮説を生み出すことが必要です。
超実践型のカリキュラムで、リアルな学びを
―「2023年、マーケティング学科が変わる」ということですが、なぜ今なのでしょうか?
杉田先生:SANNOのマーケティング学科は2013年に開設されました。それから10年、マーケティングを取り巻く世界は大きく変わりました。ここでマーケティング学科をアップデートして、マーケティングの世界を先導する人材を育成しなければという問題意識から、改編をスタートしました。
「データ活用スキル」と「マーケティング心理学」。この二つを軸に、マーケティング演習やブランディング、デジタルマーケティング、商品企画など、学生の興味関心に沿って学びを深めていきます。
―具体的には、どんなところが変わるんでしょうか?
杉田先生:大きくは「カリキュラム」「学び方」「入学者選抜方式」の3つです。
まず「カリキュラム」は、これまで実店舗での販売や広告宣伝を通したマーケティングが学びの中心だったのですが、今後はデジタルマーケティングやデータに基づくマーケティング、広報・PR戦略などが学べるようなカリキュラムにしていきます。
―「学び方」はどのように変わるのでしょうか?
杉田先生:変化の激しい時代では、旧来型の教科書や理論書に基づく授業だけでは、「卒業した時にはすでに時代遅れ」になっているおそれもあります。マーケティングの最先端を学ぶためには、まさに今ビジネスの最前線で実務に携わっているプロに教えてもらうことが有効です。マーケティング学科の新規開講科目「マーケティング・イニシアティブ」では、SANNOの得意とするPBL(*)をさらに一歩前に進めていきます。
PBL(*)…SANNOが取り組む、Project Based Learning(課題解決型学習)
―どのように変わるのですか?
杉田先生:教室を飛び出して実際に企業を訪問して調査したり、企画を考えたり、データを分析したりします。まるで会社で、実際のプロジェクトに携わるようなリアルな感覚で学ぶことができます。ただ、学生だけでプロジェクトを進行していくのは大変ですから、ここに卒業生が参加していきます。実際に社会で日々課題に向き合っている先輩たちと一緒にプロジェクトに取り組むことで、学生たちの目線は一気に引き上げられていきます。
―とても、やりがいがあっておもしろそうですね。
杉田先生:そのほかに「入学者選抜方式」でも新たにMI(マーケティング・イニシアティブ)方式を導入します。マーケティングを通して社会課題を見つめ、社会へ貢献したいという人材を積極的に選抜していきます。
現場で学ぶから得られる、新たな気づきを
―「インタビュー調査」はどんなプロセスで行うんでしょうか?
杉田先生:商品開発の授業の中では、どのような方向で企画していくのか探るために、まずインタビュー調査を行います。その調査結果を受けて企画をまとめ、プロトタイプ(*)を作り、もう一度インタビュー(ユーザビリティ調査)を実施します。一つのプロジェクトの中で、何度もインタビューを重ねます。
プロジェクトにもよりますが、おおよそ1回あたり3〜4名の方に30分から1時間ほどインタビューを行い、グループ全体で20名程度の調査を実施します。
プロトタイプ(*)…試作品
―インタビューというと難しそうなのですが…。
杉田先生:もちろん、インタビューの流れや情報を引き出すトレーニングを1年生の段階から学んでもらったうえで取り組みますので安心してください。学生たちは、回を重ねるごとに私の予想を超えてとても上手になっていきます。
―学生からは、実践的な学びについてどんな声がありますか?
杉田先生:マーケティング・イニシアティブでは、ビジネスの最前線で活躍する卒業生とプロジェクトを進めていくことで、新しい考えやリアルなマーケティングの現場に触れることができるため、「新たな気づきがありました」という声をたくさんもらいます。リアルに“プロジェクトが動く感覚”を体感できるのは、学生にとって大きな刺激になるようです。
―卒業生からも反応はありますか?
杉田先生:卒業生たちが「自分たちが大学1年生だった頃に比べて、今の1年生ははるかにたくましい」と言ってくれたのは印象的でした。他方、現役生のポテンシャルや学ぶ姿勢は、卒業生にも刺激を与えていました。先生と学生という関係性だけではなく、そこに卒業生が加わって、「教え合い、学び合いのトライアングル」ができた瞬間、学びの深さが格段に違ってきました。
―まさに、SANNOだからこそできる授業ですね。
杉田先生:SANNOの実践的な授業は、学生たちにとって大変な部分も多いと思いますが、私は大変じゃないと意味がないと思っています。今、入学してくる学生の力はどんどん上がってきています。きっとすぐにこれまでのカリキュラムでは満足できない学生が出てきます。だからこそ、SANNOはもう一段高いレベルで学生たちを鼓舞する必要があります。学生の意欲に応じて、もっともっと成長する機会を提供していきたいんです。
マーケティングを入り口に、多様な業界で活躍
―卒業後はどんな進路が望めるんでしょうか。
杉田先生:入学時はマーケティング職を希望する学生が多いのですが、マーケティングマインドやマーケティング的思考を必要とするのは、決してマーケティング職だけではありません。結果として、卒業生たちは多種多様な職種に就いています。
―いろんな場面でマーケティングの力が活かせるということですね。
杉田先生:今は、どの部署でもマーケティング的な思考が必要とされる時代です。そういう意味でマーケティングを学ぶ価値は高まっていると思います。
―最後に、高校生へ向けてメッセージをお願いします。
杉田先生:とにかく今は変化が激しく、答えがなかなか見つからない時代です。せっかく開発した新商品も数%しか当たらないと言われています。100回挑戦しても90回以上失敗する覚悟が必要な厳しい時代です。こんな時は、「やり抜く力」がとても重要です。知りたいという探究心をスタートに、最後はやり抜く力が問われます。
そういったタフさや折れない心をいかに作るかが、今後の社会を生き抜く鍵だと思います。ぜひ、SANNOのマーケティング学科で基礎から応用まで幅広い知識とスキルを身につけ、これからのマーケティング業界を引っ張っていける人材になってください。
―ありがとうございました。
プロフィール
杉田 一真 KAZUMA SUGITA
産業能率大学 経営学部教授
大学卒業後、経営コンサルタントを経て、嘉悦大学経営経済学部専任講師。慶應義塾大学院政策・メディア研究科特任講師。現在、産業能率大学経営学部教授。
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