「ファンを作る経営ファンド」の研究に企業が注目

研究内容が評価され、サイボウズ(株)の副社長とオインラインイベントで対談

井上 志音 経営学部4年 神奈川県立生田東高等学校出身

提唱した「ファンを作る経営ファンド」が企業から共感の声

私たち倉田ゼミが提唱した「ファンを作る経営ファンド」の考え方にサイボウズ株式会社のIR担当の方が共感してくださり、10月に開催されたオンラインイベント「サイボウズ株主Meetup」にて、山田副社長と対談をさせていただきました。その後も興味を持ってくださった企業や機関投資家の方からお問い合わせをいただくなど、反響の大きさに驚いています。
「サイボウズ株主Meetup」の様子

企業経営に必要なのは「インフルエンサー」と同じファンの創造と拡大

そもそも「ファンを作る経営ファンド」を考えるきっかけとなったのは、専門ゼミの活動の一環で参加した株式学習コンテスト「日経ストックリーグ」(日本経済新聞社主催)でした。
現在、企業は短期的利益に惑わされない「ストック重視」の資産形成を重視する傾向にあると私たちは考えています。その経営手法では、企業の価値観を支持するファンを創造し、拡大することが重要です。そこで、企業は、SNS等で情報を発信しファンに影響を与える「インフルエンサー」と同じことが求められているのでは?と仮定し、次のような研究を行いました。

1.「インフルエンサー」として活動しているゼミのメンバーがいたことから、その活動内容を分析。
2.「インフルエンサー」の活動のベースとなる①信頼、②共感、③愛着の3つの指標で企業を分析。
 ①信頼…安心できる経営・財務状況を評価。
 ②共感…企業のWEBサイト等の紹介文に、ストック重視経営のキーワードの頻出度をスコア化。
 ③愛着…企業の関係構築の意識を抜き打ち調査により評価。

オフィスチェアに関する質問で、企業の関係構築の意識を調べる!?

3つの指標で最も難しい評価方法である「愛着=企業の関係構築の意識調査」では、2019年12月に「企業で使用しているオフィスチェア」に関する質問のメールを120社に送りました。なぜ、オフィスチェア?と疑問に思う方も多いと思います。実は、「繁忙期に、直接利害関係のない学生の質問に返答するか?働きやすさにも大きく影響するオフィスチェアについて、コストだけでなく従業員に配慮して選定しているか?」といった観点で企業の対応の質を評価することが狙いだったのです。
このような過程を経て選定した銘柄13社で「ファンを作る経営ファンド」を運用することを提唱し、「日経ストックリーグ」では全国1,726チーム(大学781チーム)から上位5%にあたる入選を果たしました。
この「ファンを作る経営ファンド」では、サイボウズ株式会社も選定させていただきました。③の愛着では、オフィスチェアの質問に対し、経営戦略本部の田中さんから「大変興味深いのですが、1~3 月は決算で多忙なため今回は差し控えさせていただきます。(一部省略) 」 との回答をいただきました。学生への配慮が感じさせられる文面、回答できない理由が明記されていることなど、誠意が伝わる返答と評価させていただきました。
後日、オフィスチェアの質問の趣旨をご説明したところ、研究内容や「ファンを作る経営ファンド」という考え方に興味を持ってくださり、前述のイベントにゲストとして招待していただくことになりました。

4年間の挑戦の集大成。全てが今につながっている。

思えば、今回の「ファンを作る経営ファンド」の提言内容やその後の企業の方々との交流の機会を得たことは、私の4年間の集大成になったと感じます。
1年次の基礎ゼミで石垣島の雇用創出に関するPBLで社会課題の複雑さを学んだことから始まり、経営学の積極的な学習を積み重ねたこと、専門ゼミで持続可能な社会と経済活動の両立という課題に向き合ったこと、サークルで組織として最大の成果を発揮するために工夫したことなど、産業能率大学で挑戦してきたこと全てが今回の研究に活きていました。
卒業後はデジタルマーケティングを手掛ける企業の経営企画職に内定しています。この4年間で得たことを糧に、社会・経済に価値を創出する事業の推進、そのための強固な企業基盤づくりに携わっていきたいと考えています。

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