PBLのポイントは、企業のニーズに応えること

多様な視点を持つこと、根拠の提示が、説得力につながります

渡邉莉子 経営学部マーケティング学科 3年 神奈川県私立湘南工科大学附属高等学校出身

企業からのメッセージが消費者に正しく届いているか?

私が所属する松尾ゼミでは、ジュエリー会社「ザ・キッス」とタイアップしたPBL(Project Based Learning)を行っています。「ザ・キッス」様から与えられたテーマは、“ペアリング”に対する若者のニーズを調査するとともに、拡販のための戦略を考えることでした。商品のメインターゲットは、10代後半から20代前半の若者、まさに私たちです。

プロジェクトを始めるにあたり、テキストマイニングを行いました。テキストマイニングとは、大量のビッグデータからある特定の単語や文章に関連する言葉を抽出し、その言葉から考えられることを整理・分析する手法です。まずは“ペアリング”を販売する企業の広告フレーズに頻出する言葉を拾っていきました。次に、企業が訴えたいポイントが正しく消費者に伝わっているか?そしてそれらが購入動機につながっているか?を、検証するために私たちゼミ生がイメージしている “ペアリング”にまつわるキーワードを挙げていきました。調査を進めるうちに、企業が発するメッセージと消費者の感覚との間にギャップがあることがわかってきました。
たとえば、商品広告では「二人」や「特別な日」という単語が多く使われていましたが、ゼミ生からは「憧れ」など肯定的な意見がある一方で、「少しハードルが高い」といった魅力は感じているものの購入に踏み込めないといった意見や、「使えるお金には限りがあるので、それなら二人で旅行に行きたい」といった二人の関係性を深める手段として、ペアジュエリー以外にも選択肢を考えていることがわかりました。
テキストマイニング

消費者のインサイト(本音)を深く掘り下げることで見えてきた若者の新しい価値観

テキストマイニングの結果を見ると、“ペアリング”市場の拡大は難しそうだ、という印象がありました。しかし、この結果だけで諦めてしまっては、課題解決にはなりません。販売拡大の可能性を探るために、第二ステップとして学生インタビューを行いました。目的は、言葉や購入動機(または買わない理由)の背景にある本心や無意識を明らかにすることでした。

インタビューでは、「なぜそう思ったか」という理由を徹底的に掘り下げて聞きました。なぜなら、「買う(あるいは買わない)」という行動の背景にあるさまざまな理由を知ることが、販売戦略の鍵を握っていると思ったからです。ある学生は、「二人きりの時にペアリングを着けるならいいが、それ以外では照れ臭くさい」というのが買わない理由でした。また、ある学生からは、「もらえるのは嬉しいが、自分では買わない」という意見がありました。買う(買わない)という行動の背景には、全く違った理由があるのです。
インタビューから見えてきたのは、指輪への興味はあるものの、メインターゲットとなる層はモノよりもコト(思い出)を重視していること、また“ペア”に対するこだわりが薄いということでした。だとすれば、購入動機につながる新たな理由が作れれば、購買者を増やせるかもしれない。そう思い、私たちのグループでは指輪自体ではなく、パッケージに着目することにしました。自分たちでオリジナルのパッケージが作れるサービスを付けることで、個性を出すというプランです。このプランに対して企業の方々からは面白い着眼点と評価をいただきました。

このPBLを通じて調査の大切さを実感しました。一つの視点だけでは、見えなかった解決策が複数の調査を掛け合わせていくことで新たな視点やアプローチの仕方に気付き、様々なアイデアがうまれました。また消費者のインサイトを掘り下げた調査を行ったことで、消費者のニーズや価値観はその時々で変化しており、ニーズをしっかりとキャッチしていく重要性を実践を通じて学ぶことができました。
プレゼン資料