【2017年度】第2回報告「世界一安全な国?」

持続可能な農業経営を考え、実験する環境を作り上げる

佐川 史織 (経営学部 マーケティング学科 )
【派遣先】 ①カナダ ②オーストラリア
【派遣期間】 ①2017年4月3日~10月31日 ②2017年11月1日~12月31日
【活動テーマ】 持続可能な農業経営を考え、実験する環境を作り上げる
【活動概要】 カナダのケロウナにある語学学校に通い、現地で通用する英語を学び、ケロウナのワイナリーにて、複合型農家ならではの生産者による経営の工夫を探す。オーストラリアでWWOOF(※)を活用し、WWOOFでの農業体験の実態把握とともに、農家ならではの経営の工夫を探す。
(※)World Wide Opportunities on Organic Farms「世界に広がる有機農場での機会」の頭文字

第2回報告「世界一安全な国?」

カナダ渡航中の7月から10月にかけて、ケロウナで複数のワイナリーのぶどう園の手入れを請け負っている会社でお世話になっていました。今回は、その同じ職場の方達と仕事終わりの帰り道であった出来事から感じたことをお話したいと思います。

ある日、仕事を終えて職場の方の車に乗せてもらった帰宅途中、信号待ちに差し掛かった時に車内にいた一人が突然「あの車、車検が切れている」と、私達の前方を走っていた車を見て言いました。カナダの車検はナンバープレートに記載するようになっており、その時ちょうど目に留まったようでした。そのことに気づいた彼らは、その事実を放置せず、次の信号でその車の横につけ、運転手さんに車検が切れていることを伝えてあげていました。もし、誰もそのことに気づかず私だけが発見していたとしても、同じような行動には移せずスルーしてしまったのではないかと思います。
そのやりとりを見て、私はふと、以前に見たある動画のことを思い出しました。その動画の内容は、日本を訪れたある外国人旅行者が日本の路上に財布やリュック、自転車などを意図的に置きっ放しにし、通行人がそれらの物に関心を示すかどうか、その様子を実験的に収めたものでした。その動画の中では、置き去りにした荷物は多くの人が行き来する中で誰にも持ち去られることもなく、最後までその場に残っていました。日本は「世界一安全な国」、「財布を落としても持ち主の元に返ってくるほど治安が良い」という話を聞くこともありますが、私が見たその動画は「世界一安全な国」と言われる日本を映すだけでなく、「他人に関心のない国」という面も映していたのではないか、と職場の方達の行動と自分が取ったであろう行動との違いから、そのようなことを感じました。

今回のことから、ただ単に目の前で起こった新しいことを心に留めてしまうのではなく、これまで自分が見聞き、あるいは体験してきたものを、角度を変えて見てみると新たな気づきが得られて面白いと感じました。

私は、これまで体験したことがないもっと多くのことに触れて、その体験によって得たことを様々な角度から見る力、多様な視点から解釈できる力を伸ばしていきたいです。