SANNO SPORTS MANAGEMENT 2016年 Vol.9

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2016年 Vol.9 FEATURE「スポーツを魅せる」


>> P.17

つの自我状態から性格を理解することができるという性質を活用し、各自我状態にフィットした5色のアクセサリーを用意し、エゴグラムを受けられた人に配布した。それによりファン同士が一目にどのような性格か理解することができ、ファン同士の交流を促進するイベントを実施した。アクセサリーは「ベイスターズ」「湘南」ということから「貝」を使用した。そしてナイトゲームだったので、夜間でも目立つように貝に蛍光塗料とキラキラした装飾を施した(すべて学生手作り)。4.結果と考察エゴグラム(性格分析)は、以下の4種類を用いて実施した。①成人用エゴグラム(高校生以上):TEG(東京大学式エゴグラム)②中学生用エゴグラム:AN-Egogram(小児ANエゴグラム)③小学校高学年用エゴグラム:AN-Egogram(小児ANエゴグラム)④小学校低学年用エゴグラム:AN-Egogram(小児ANエゴグラム)やファーム選手をあたたかく見守ろうとする気持ちや同伴者(たとえば同伴の子どもなど)への思いやりの気持ちが強いと考えられる。特に大人(20代以降)と子ども(10歳未満)のAの高低差が大きいことは大変興味深いところである。また大人は、相対的なACの低さから、我慢をしたり、従順に場のルールや流れに従う傾向が低いことも特徴として伺われた。つまり、「大人っぽい子供(現実的で論理的な子供)」と「子どもっぽい大人(非論理的・非合理的で、従順に我慢することが得意ではなく、自分が楽しんだり、他者のためになる行動を起こしたりする大人が多いという可能性が示唆された。Figure1.各年代の自我状態平均値各年代ごとの参加者と性別の内訳はTable1およびTable2の通りである。5.まとめと展望今回の産業能率大学スペシャルゲームは、平塚球場(バッティングパレス相石スタジアムひらつか)で開催された横浜DeNAベイスターズのイースタン・リーグ公式戦においてシーズン最多観客動員数を記録した。そして本イベントも、その後のアンケート調査で高評価をいただいた。昨年に引き続き、今年度もプロ野球ファン心理の構造を分析したが、質問紙法による性格検査の限界を今後も考えていきたい。今回は質問紙法と並行して投影法形式の性格検査も行ったが、1回あたりの検査時間がとても長く、実施件数が極めて低かったので掲載を割愛した。今後は、様々な角度からファンの性格を把握し、プロスポーツ業界の発展に寄与する研究を行うことができればと考えている。<参考・引用文献>桂戴作・芦原睦・村上正人1999自己成長エゴグラムのすべてチーム医療横浜DeNAベイスターズ2015横浜DeNAベイスターズ2016オフィシャルイヤーマガジンメタ・ブレーン年代10歳未満10代20代30代40代50代60代合計性格検査小学年(低)小学生(高)中学生成人合計Table1.年代別参加者数男10308133055女869792142Table2.性格検査別参加者数男719101955女8113343合計1836178125197合計1520115298※TEG実施女性1名が年代の回答を拒否Figure1には、各年代の自我状態(平均値)を示す。各年代の特徴を概観してみると、まず10歳未満および10代の自我状態が全体的に同様のパターンを示していることが伺われる。Aが一番高く、次いでNP、そして相対的にCPとACが低い傾向に伺われる。これは論理的で合理的であり、感情的というよりは冷静に観戦に来ている性格であることが伺われる。一方、20代と30代以降の大人の参加者が同様のパターンを示していることが伺われる。NPとFCが相対的に高く、Aが一番低い。これは論理性や合理性、損得ということよりも自身が野球観戦を楽しもうとする気持ち16


<< | < | > | >>