SANNO SPORTS MANAGEMENT 2016年 Vol.9

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2016年 Vol.9 FEATURE「スポーツを魅せる」


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06性格分析を用いたプロ野球ファン心理研究「スポーツ企画プロジェクト」とは、本学と横浜DeNAベイスターズとのコラボレーション授業であり、「産業能率大学スペシャルゲーム」と題してプロ野球イースタン・リーグ公式戦における集客とイベント運営を学生自らの手でマネジメントするものである。2016年のスポーツ企画プロジェクトでは昨年に引き続き、性格分析を用いたコンテンツをプロデュースすることとなった。その機会を通じて、ファン心理の分析を行うと共に、コミュニケーション能力の向上や人間理解の深化を目的とし、学生による性格分析とフィードバックカウンセリングを実践した。本稿では、その取り組みと結果を報告する。情報マネジメント学部准教授椎野睦1.経緯と背景産業能率大学スペシャルゲーム10年目となる今回は、芝生の外野席を開放してイベントを中心に開催することから「ガーデン」をテーマとして開催された。本企画は球場内コンコースにおいて質問紙法性格検査であるエゴグラム(Egogram)を用いて、学生による性格分析とフィードバックカウンセリングを希望された来場者に実施した。芦原らによって作成されたものであり、5因子50項目から成り立っている。これは標準化されており、医療機関を中心に様々なシーンで使用されている(桂ら,1999)。エゴグラムでは、自我を5つの状態に分類し、その自我状態のあり方によって性格を分析するものである。5つの自我状態は、①CriticalParent(道徳感・責任感・理想・良心・使命感・批判・倫理観などの心的機能を果す、厳しい親の心)、②NurturingParent(保護的・優しさ・共感・同情・救援・保護・受容など、子どもの成長を促進するようなやさしい親の心)、③Adult(合理性・論理性・客観性・計画性等、感情に支配されない客観的な大人の心)、④FreeChild(自由奔放・天真爛漫・素直・創造的・積極的・感情表現が豊か等、感情的で快感を求める自由な子どもの心)、⑤AdaptedChild(順応性・協調性・適応性・服従・忍耐等、依存的で消極的な従順な子どもの心)の5つに分けられる。それぞれの自我状態の高低を分析することで、総合的に性格を解釈する(以下①〜⑤の自我状態をそれぞれCP、NP、A、FC、ACとする)。3.スター選手との相性分析とファン同士の交流促進また『横浜DeNAベイスターズオフィシャルイヤーマガジン2015』(株式会社横浜DeNAベイスターズ,2015)において、選手たちが自身の性格を解説している箇所を参照し、各選手の優位な自我を分析し、そして、来場してエゴグラムを受けていただいた方の性格がどの選手と相性が良いか、類似しているか等をフィードバックし、コアファンに満足していただけるためのイベントを実施した。さらに、エゴグラムが52.性格検査―エゴグラム(Egogram)―エゴグラムとは、1950年代にアメリカの精神科医E.Berneと弟子のJ.Dusayが考案した理論をもとに作成された自我状態を測定できる性格分析(質問紙法)であり、簡易精神分析ともいわれている。今回使用したSGE(SelfGlowingupEgogram)は、中部労災病院心療内科部長の15


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