SANNO SPORTS MANAGEMENT 2016年 Vol.9

FEATURE「スポーツを魅せる」4.伝統について©YDBーーー新しいもの、クリエイティブな発想、次の野球ということを考えていくわけですが、伝統ということについてはどのようにお考えですか?もともと2011年に新しい会社・球団が立ち上がった時に、コーポレートアイデンティティとして、「継承と革新」ということを挙げさせてもらいました。革新は新しい球団だからできることが沢山ある。僕らは新しい会社・球団になって5年ですが、その前は長い歴史があるわけです。球団として、スタジアムとして、古き良き伝統はきちんと継承していこうという思いです。横浜スタジアムという場所はルー・ゲーリックや、ベーブ・ルースがプレーしていたとか、日本で初めてのナイター試合が行われたとか、沢山歴史があるわけです。もちろん古いだけで残って悪いものは改修して新しくすればいい。しかし良いものはそのまま残したいと思います。それは大洋球団にしてもベイスターズにしてもそうです。往年の名選手をイベントに招いたり、そのグッズを販売したりというのもその一環です。それは新しいファンの皆さんと昔からのファンの皆様の両方を大切にしたいという思いからでもあります。5.最後にこれからの横浜DeNAベイスターズの魅力を教えてください。まずなんといっても、チームの成績に期待して欲しいです。「いつ」と明言するのはむずかしいですが、優勝も期待できると思います。また選手1人ずつが立ってきていますし、応援に応える活躍をする選手が増えてきましたので、選手ごとの活躍も楽しみにしてもらえたらと思います。それから、野球以外の色々なエンターテインメントをこれからも用意しますので、野球がわからない人でも、あまり肩肘張らずに一度、来てもらえると魅力を体験してもらえると思います。あとはより一層魅力的な街になるように、皆さんの日々の生活に魅力的なものが提供できるようにやっていきたいと思っています。私たちだけではできないことも沢山あるので、皆さんとコミュニケーションを図り、ご一緒できるものは沢山ご一緒しながら、より良い街と文化を創っていければと思います。6したがって「+B」のBはベイスターズのBではなく、野球(Baseball)のBです。野球をより違和感なく楽しんでもらうために、野球に興味がない人でも日常の生活に野球の要素をちょっと加えたライフスタイルを楽しんでもらいたいというテーマがあります。これまで横浜スタジアムにて展開していたLifestyleshop「+B」は「THEBAYS」に移転しました。移転理由としては、ベイスターズファンだけでなく、野球ファンや野球に興味のない方にも楽しんでいただける店舗である「+B」は「THEBAYS」のコンセプトとよりマッチすると考えたためです。.「スポーツを通して街と文化を創る」ということ3横浜という街は特徴的です。海沿いに人が多く賑わいがあります(赤レンガ、大さん橋、みなとみらい等)。海沿いの賑わいから横浜スタジアムや横浜文化体育館のある方に縦の軸をスポーツで引き、賑わいをつくっていきたいと思っています。想であり、その中核施設(拠点)に「THEBAYS」をと考えています。野球はどちらかというと観るスポーツというイメージが強いのですが、「観る」と「やる」の両方を実現できる施設と文化を創りたい。新しいスポーツの形やあり方を創造していきたいと思っています。ーーーTOBのときに示されたスタジアムの絵は、まさにそれを表していた絵ということでしょうか?そうですね、実際にあの絵の通りにスタジアムを改修する、ボールパークが横浜という街や賑わいとつながっていくことを示していました。今は28,966人しか入らないスタジアムですが、2020年には6,000席くらいキャパシティを増やせる改修を目指しています。ーーードームは考えないのですか?(本ページ右上イラスト)考えていないです。それは明確です。ドームによる屋根があることのメリットとデメリットありますが、僕らは屋根がないことによるメリットをとりたいと思っています。野球というスポーツはもともと空の下でやるスポーツですし、お客さんにとっても天気のいい日は星空の下で野球を観るというのがいい。やっぱりビールもそっちの方が美味しいし。それがある種、野球の原風景だと思うのです。またそれが結果論的には他球団との差別化にもなります。海風があったり、潮の香りがあったり、花火があったり、街とのシンクロもその方が大きいと思います。ドームにしてしまうと街との親和性がどうしてもとれなくなってしまうので、そこが横浜スポーツタウン構想でも提唱していますが、街とどう近づいていけるか、街に情報を発信し、街から情報を得られる関係でいたい。ドームにした方がコントロールできることが増えるので、たとえば雨天時の観客の減少なども抑えることができると思いますが、でもやっぱりコントロールできないところでの魅力というのはすごく大きいですね。