SANNO SPORTS MANAGEMENT 2015年 Vol.8

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2015年 Vol.8 FEATURE「スポーツを通じた社会貢献」


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•「ホームアリーナの入場可能数5,000人」、「年間試合数の8割のホームゲームを実施できるホームアリーナの確保」「年間売上2.5億円」という条件を中心に総合的に判断B1•「ホームアリーナの入場可能数3,000人」「年間試合数の原則8割のホームゲームを実施できるホームアリーナの確保」「年間売上1億円」という条件を中心に総合的に判断B2•アマチュアクラブ、2部の基準を満たしてはいるが相対評価の結果2部とならなかったクラブ、2部の基準を満たしていないクラブが対象B3【Bリーグプレスリリースより作成】人収容のアリーナで、5000人の集客を継続的に達成できるかということである。bjリーグの公式発表によれば、平均の観客数は1500名前後である。体育館、アリーナのキャパの問題でもあるが、今期の3倍以上の観客確保というのは大きなハードルであると考えられる。初年度はともかく、徐々に観客が減少していくことになれば、チームの経営に大きな影響を与える。入れ替え戦も予定されており、この問題の根は意外と深いかもしれない。第二点は、5000人の観客を受け入れるとして、それに対応できるマネジメントができるかということである。もちろん、ここにはセキュリティやサービスの問題も含まれる。先にも述べたように、bjリーグで見ると、1試合の平均観客数は1500人前後である。仮にほぼ満員のお客様が来場するとして、今シーズンの3倍超の観客数となる。この時、現状のスタッフで、サービスを行うには限界がある。人も増やさなければならないし、物販も大きく変わってくるだろう。何よりも、他のイベント主催者やアリーナの関係者にインタビューしてみると、3000人を超えてくると運営自体が大きく変わってくるという。こうした大勢の観客を相手にするノウハウに乏しいのは、各チームの懸念材料となるだろう。特に新リーグ開幕年は、初めて観戦にいらっしゃる方も多い。その最初の印象でバスケットって楽しいという印象を持ってもらえるかどうかが、今後のリーグ運営のカギを握っている。第三点は、B2以下のチームの運営である。B2はB1を目指すということで一定の盛り上がりは期待できるが、B3のクラブの経営は困難であろう。Bリーグ全体での認知がまだ進まない段階で、B3の試合をどのくらいの観客が見に行くのであろうか。地域を巻き込んで、周到な戦略を練らない限り、クラブ存続の危機にもなりかねない。バスケット人口の底上げには不可欠なカテゴリーではあるが、クラブ経営とのバランスをいかに図っていくかが課題の1つといえる。B2以下のクラブについては、今後も注視していきたい。4.今後の研究の方向性繰り返しになるが、今回の新リーグはバスケットボール界が全力を挙げて成功させなければならない。試行錯誤があるのは当たり前だが、1つのエンターテインメントとして、他のプロスポーツにもひけをとらないスポーツとして国民生活に密着させていくことが必要である。これまで、本研究では、bjリーグを中心としてプロバスケットの魅力向上に向けた観客調査やアリーナ・ビジネスの研究を進めてきた。これまで行ってきたアンケートの結果でもっとも印象的なのは、初めて見た方や、誘われて見に来た観客の大半が「想像していたよりもずっと面白かった」「また見に来たい」などといった、肯定的な意見が多く寄せられていたことである。一度、見に来ればファンになってくれる可能性は決して低くない。しかし、安定した集客のためには、他のプロスポーツやエンターテインメントをベンチマークし、観客の満足度を高めるようなソフト面での向上は不可欠である。このチャンスを逃すと、日本のプロバスケットはまた、浮上のチャンスを逸してしまうことになる。このリーグの発展に少しでも資するような調査を、今後も継続して進めていきたいと考えている。14図表2.B1リーグ参加クラブBリーグは、「JAPAN2024タスクフォース会議」が提示した基準により、3部(B1,B2,B3)に分類された。この基準が図表3に示したものである。トップのB1の条件を見ると、5000人収容可能なホームアリーナの確保が条件となっている。これは、B1を目指す各クラブにとって大きなハードルとなったことは想像に難くない。特に、地価の問題もある大都市圏で、5000人収容のアリーナは数えるほどしかない。日本バスケットの聖地ともいわれる代々木第二体育館でも最大約4200人、最新の設備を誇る仙台のゼビオアリーナでも約4000人である。逆に、さいたまスーパーアリーナともなると37000名収容、横浜アリーナ約17000人、bjリーグFINALSが行われる有明コロシアムも約10000人と大き過ぎ、実は5000人程度を収容するアリーナというのは難しい。加えて年間売上2.5億円というのも、収容人員がこれまでとは異なるので明確なことは言えないが、これまでの実績から類推するとかなり高いハードルであることは間違いない。図表3.Bリーグ選考基準(抜粋)Bリーグは、ソフトバンクがメインスポンサーについたこともあり、次第に大きな注目を集め、メディアへの露出も高まっている。サッカーのJリーグが開幕した時のことを考えても、ここ数年の活動に日本プロバスケットの浮沈がかかっている。Bリーグの開幕が、千載一遇のチャンスであることは言うまでもない。3.Bリーグ今後の課題このように期待の大きいBリーグであるが、現時点でいくつかの懸念材料、課題も見えてきている。個人的な意見でもあるが、大きく分けて3つの問題があるように思われる。第一点は5000


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