SANNO SPORTS MANAGEMENT 2015年 Vol.8

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2015年 Vol.8 FEATURE「スポーツを通じた社会貢献」


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開催日曜日内容・担当10月11日土親子スポーツ体験教室①サッカー担当:ベルマーレアカデミー普及コーチ11組22人11月18日土親子スポーツ体験教室②ビーチバレー担当:ベルマーレビーチバレーチーム9組18人12月19日土親子スポーツ体験教室③ラグビー担当:ベルマーレラグビーセブンスチーム11組25人1月23日土親子スポーツ体験教室④フットサル担当:ベルマーレフットサルクラブ23組52人54組117人参加人数合計泳といった特定の種目だけではなくもっと幅広く体験させてあげることで、子どもがスポーツの種類を知るきっかけになる」という意見が散見される1)。したがって、子どもに運動・スポーツ実践の場所や機会を提供することは、運動スポーツの選択の幅が狭まり、実施も困難となっている現代社会において、子どもの心身の健全な成長に寄与するだけでなく、子どもが運動・スポーツを実践する「きっかけ」としての価値を見出せると考えられる。産業能率大学collaborationwith湘南ベルマーレ・スポーツ教室における取り組み「産業能率大学collaborationwith湘南ベルマーレ・スポーツ教室」(以下、スポーツ教室と略す)は、本学の持つスポーツ施設と湘南ベルマーレの有する指導者や指導ノウハウを活用して、伊勢原市や平塚市を中心とした地域のスポーツ振興に貢献する目的で2008年から開始されている。表1.2015年度親子スポーツ体験教室2015年度は、前述の如く小学生となっても運動・スポーツを継続的に実施する子どもを増やしたいというコンセプトから、幼児とその保護者を対象として、スポーツを通じて身体を動かすことの楽しさを伝えるプログラムを盛り込んだ、「親子スポーツ体験教室」を4回シリーズで開催した(表1)。参加者アンケートの結果から参加者は、5歳児と6歳児が中心であった(図2)。体験教室への参加理由として、「運動や運動あそびが好きだから」が最も多く、次いで「色々なスポーツを(保護者として)体験させたかったから」が多かった(表2)。参加者の満足度は、およそ80%がとても良かったと回答していた(図3)。しかし、ビーチバレーなどでは、運動特性から幼児にとって難易度が高くなる運動・動作があり、子ども達の成長・発達にあった用具を検討するなどの課題も挙げられていた。図2.参加者の年齢表2.スポーツ体験教室への参加理由(複数回答)図3.参加者の満足度運動あそびとスポーツ実施の関係性小学生になっても運動・スポーツを継続する子どもを増やしたいというコンセプトから、幼児を対象とした親子スポーツ体験教室を企画した。ある調査によれば、未就学児、小学校1~4年、小学校5・6年に分けて、最もよく行ったスポーツ系種目を見ると、男子は3区分ともに「サッカー」であった。そして、このサッカー少年たちが同時並行して行う2番目から5番目に行う運動・スポーツは、未就学児から小学校1~4年では「おにごっこ」、ぶらんこ」、「自転車あそび」、「かくれんぼ」といった運動あそび系種目に加えて、小学校1~4年では「ドッジボール」と「水泳(スイミング)」、小学校5・6年では「ドッジボール」、「水泳(スイミング)」、「野球」、「バスケットボール」といったスポーツ系種目挙がってくることが報告されている1)。つまり、この結果は、男子はスポーツ系種目と運動あそび系種目を同時並行で行っており、必ずしも子どもの運動あそびが起点となってスポーツを実施するようになる訳ではないことを示唆している。この報告から言えることは、子どもが成長するにつれてスポーツへの取り組みを高めようとするならば、運動あそびから発展してスポーツ実施へとつながるという一般論を見直し(特に女子ではこの構図は成り立たない)、幼少期からの一貫指導によりスポーツ種目への展開を意識したプログラムの提供について検討する必要があるということであろう。そして、今後にスポーツ教室のプログラムに参加した子どもの、運動あそびやスポーツへの参加行動を継続的に追跡することで、時間を要するかもしれないが、新たに企画した親子スポーツ体験教室の効果を検証できるのではないかと考えている。参考文献1)4~9歳のスポーツライフデータに関する調査報告書子どものスポーツライフデータ2013笹川スポーツ財団(2013)2)伊勢原市の児童におけるスポーツ環境調査報告書産業能率大学スポーツマネジメント研究所(2012)(http://smrc.mi.sanno.ac.jp/magazine/catalog/isehara2012/top.html)12


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