SANNO SPORTS MANAGEMENT 2015年 Vol.8

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2015年 Vol.8 FEATURE「スポーツを通じた社会貢献」


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4.42.13.85.11.53.52214.613.921.414.318.238.333.430.837.728.630.235.249.951.435.755.648.10204060801002011年(n=613)2013年(n=623)2015年(n=574)2011年(n=644)2013年(n=588)2015年(n=549)非実施群低頻度群中頻度群高頻度群03大学とプロスポーツチームのスポーツ連携-産業能率大学collaborationwith湘南ベルマーレ・スポーツ教室における社会的課題の改善に向けた取り組み-情報マネジメント学部教授中川直樹/情報マネジメント学部教授渡邉隆嗣2012年3月に文部科学省が幼児期運動指針を策定してから4年が経過したが、その成果はまだまだ目に見える程とは言い難い。幼児への運動指導の効果は、発達段階や生活環境などの対象特性はもちろんのこと、運動指導を行う指導者のアプローチ(プログラムを含む)によって影響を受ける部分が大きい。2015年度から産業能率大学collaborationwith湘南ベルマーレ・スポーツ教室においても、子どもが小学生以降に生涯にわたって運動やスポーツを楽しむ基盤を育成できるようなプログラムを開始した。子どもの運動実施頻度の2極化笹川スポーツ財団の調査結果1)によれば、4歳から9歳の子どもの週7日以上の高頻度運動・スポーツ(おにごっこやかけっこなどの運動遊びを含む)実施率は、男子51.4、女子48.1%であるという。その一方で、年1回以上週3回未満の低実施群は男子13.9%、女子18.2%であり、さらに女子では非実施群と合わせると21.7%となり、2013年の調査よりも運動不足の子どもが5.9%増加していることが報告されている(図1)。現在の子どもは、将来の大人であり、子ども時代にからだを動かす習慣を身につけられないでいると将来の健康や体力にも影響を与える可能性が示唆されている。事実、2014年の文部科学省の報告によれば、中学2年生の女子は運動・スポーツをしないと回答した者の割合が顕著に高くなっている(大都市で17.7%、中核都市で17.2%)。〈男子〉〈女子〉図1.運動・スポーツ実施頻度群の年次推移(性別)1)なぜ子どもに運動・スポーツが必要か子どもは運動・スポーツによって心肺機能を中心とした呼吸循環器系、骨格筋系、神経系および内分泌系を発達させ、筋力やパワー、スピードや持久力、そして柔軟性などを高めていく。特に幼児期は非常に可塑性に富んでいるのでワンパターンの運動ではなく多様な運動をすることによって脳をはじめ体内のさまざまな神経回路を発達させやすい。また、子どもの運動・スポーツは11身体発達に影響するだけではない。子どもは運動・スポーツを通じて自らを取り巻く他者や道具、環境と相互的な関係を体験する。運動やスポーツはコミュニケーション能力をはじめとする社会性の発達や認知的発達にも関係しているのである。しかし、子どもの運動・スポーツの必要性、重要性は認識されつつも、その理解度が運動・スポーツへの実践に直結していないという現実が前述の調査結果からも垣間見えてくる。では、なぜ子どもの運動離れや運動不足が広がっているのであろうか。その理由の1つには、子どもを取り巻く生活環境の変化が挙げられている。塾や習い事に時間を割かれ、自由に外で遊ぶ時間と仲間が減り、安全で自由な遊び場を確保することも容易ではない。また、娯楽性の高い携帯ゲームなどの出現も少なからず影響している。さらに、子どもの日常生活においては、自家用車やエレベーター、エスカレーターの使用機会の増加および家電製品の充実がからだを動かす機会を奪い、運動習慣定着の阻害要因であると言われている。さらには、家庭における親子の関わり方も、子どもの運動・スポーツ実施に関係することが報告されている1)。例えば、運動・スポーツに関する会話を「よくしている」家庭の子どもの運動実施頻度は、「まったくしていない」家庭よりも高い。そして、運動・スポーツの会話を「よくしている」、「時々している」子どもに、誰と話しているのかをたずねると、全体では「父親と母親の両方が」最も多く、次いで「主に母親」、主に父親」の順であった。さらに性別でみると、男女ともに「父親と母親の両方」が最も多いが、次いで男子では「主に父親」、女子では「主に母親」という回答であった。したがって、家庭において共通の話題となり得る運動・スポーツへの両親の接し方によっても、子どもの運動・スポーツ実施率を高められることをこの報告は示唆している。運動・スポーツ実施の場所や機会提供の価値小学生を対象とした調査結果を見ると、運動・スポーツをしない理由として、「する場所や機会がない」という回答が目立つ1)。また、「やりたいと思うスポーツ種目がないから」という回答は女子に多い2)。しかし、運動・スポーツの実施意欲に関しては、男女ともに50%以上の子どもが「もっとしたい」と回答している1)。さらに、保護者からの意見として、「野球やサッカー、水


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