SANNO SPORTS MANAGEMENT 2015年 Vol.8

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2015年 Vol.8 FEATURE「スポーツを通じた社会貢献」


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いろんな不安要素を抱えることになるので、絶対チームは強くなりません。だから我々はチームを強くするために、まずビジネスを立て直すということを、この4年間やってきました。赤字を大幅に解消!そして次に見えてきた課題昨年で大体年間約3億円の赤字になりました。短期間に大幅に経営改善できたという自負はあるのですが、昨年で180万人くらいのお客様にご来場いただいて、横浜スタジアムのキャパシティで平日含めて90%の稼働率にまで成長しました。それでも年間3億円の赤字なのです。そこでTOB(株式公開買い付け)という形でスタジアムとの一体経営実現に踏み切りました。これから、より魅力的なスタジアム作りを行って、球団、球場一体となった健全経営の上で、さらに強いチーム作りが実現できればと考えています。チームの成長を考えたGM制またGM制を引いて、継続的に成長し続けてチーム作りを行える体制を作っています。監督が代わるとチームが変わるというのをよく聞きますが、そのたびに全部1から作り直すのではチームは継続的に強くなりません。我々は、中畑清前監督が作った4年間を継承しているので、ラミレス監督になったからといって1から作り直すというわけではないのです。数年先のチーム状況を常に考えながら、GMを中心にした継続的なチームつくりを行うことが重要だと考えています。強いチームを作るためのお金の有効な使い方とは?今ベイスターズの選手年俸は、12球団の中で最も少額です。だから弱いというのはある意味当たり前です。では親会社が「じゃあと10億円出しましょう」といって、それで数億円の選手を何人か獲れるかもしれません(それも難しいのですが)。でも、奇跡の優勝を目指すのではなく、継続的に強いチームを作るためには、それでは意味がありません。生え抜きの選手の年俸が着実に少しずつ上がっていくことが我々の理想です、それで優勝すれば、その時に今やっているマーケティングが全てうまく回ると思います。5年、10年の強いチームを作るという成長の過程なので、もちろん常に優勝は目指しますが、今はその過程も一緒に楽しんでもらえればと思います。——「なるほど、経営力の大切さ、あらためてよく理解できました。チームを強くするための根幹としてとても重要な要因ですね。」もう一つ大事なことは、競技者人口の拡大です。今、野球をやっている子どもが非常に少なくて、キャッチボールできる場所すら少なくなっているのが現状です。20年後、野球の未来がどうなっているのか、非常に危惧しています。そのために我々が今できることを色々やっていかなければならないと思います。その一環として横浜スタジアムのグラウンドを無料開放してキャッチボールを楽しんでもらう試みなども徐々に初めています。子どもたち対して、野球へのアプローチをしなければ未来がない。それは危機感を覚えてます。2.地域とのつながりとファンサービスに大切なこと——「続きまして、次のテーマに移りたいと思います。<地域とのつながりやファンサービスにおいて心がけること>について皆様教えてください。」株式会社横浜DeNAベイスターズ広報・PR部長楠本淳氏PR会社で企業広報活動に従事。2011年、DeNAベイスターズ誕生時より、現職。若さと大迫力のホームランそれから、さきほどベルマーレの坂本さんも“若さ”とおっしゃられていましたが、ベイスターズもとても若い球団です。今年から監督になったラミレス監督は40代前半の監督ですし、筒香嘉智選手という、日本を代表する若いスラッガーなど、若くて思いきりのいい選手が多く在籍しています。さらに横浜スタジアムは比較的狭い球場なので、ホームランが非常に多いです。投手陣には悩ましいのですが、うちは打撃が魅力のチームでもあるので、ホームランがより多く見られるというのがまた魅力です。勝ち負けの向こう側にあるファンの一体感と感動勝ち負けにこだわらないプレーの質、プロのアスリートとしてはそこを見てもらうのは非常に重要です。そして、その球場で体験できる全てが魅力的であるべきだとも考えています。ベイスターズは勝ち負けだけのためにお金を払っていただきたいとは思っておらず、スタジアムで体験できるプロのアスリートのプレー、応援の一体感、感動、そして、飲食や演出までも含めて、その空気を楽しむにはベイスターズというのはとても魅力的にできていると思います。選手も感じている「近さ」の大切さそれから、ビー・コルセアーズの植田さんがおっしゃっていた「近さ」というのは、ベイスターズでも同じような考えを持っています。試合前に必ず選手がグラウンドに出て、スタンドの方にサインをするとか、試合後はその日のヒーローになった選手が必ずハイタッチをしてベンチに帰ってくるとか、ファンとの距離がとても近い。選手もその大切さが自分たちに帰ってくることを知っているので、積極的にサービスをしてくれますし、その結果としてお客さんが増えている。そこもベイスターズの魅力と言うか強みになっていると思います。——「ありがとうございます、では次に“これらプロ野球の発展”に大切なことを教えてください。」1つは経営力だと思います。チームを強くするために、なぜ経営力が重要なのか我々は、チームは、ビジネスが上手く回らないと絶対に強くならないと思っています。DeNAが親会社になった2011年、球団は毎年約30億円ぐらいの赤字経営でした。年間30億円の赤字ということは、FAで選手は残ってくれないし、フランチャイズの移転とか、親会社が代わるとか、5


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