SANNO SPORTS MANAGEMENT 2014年 Vol.7

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2014年 Vol.7 FEATURE「歩みの先へ」


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FEATURE「歩みの先へ」――根本的に変えたというところは?加藤:そこで、少しスピードを落としてもより正確性を重視していこうと考え方を変えました。選手にはそれまでの現状について示したうえで、これではだめだと。だからこれからはこういう戦い方をして行こう、ということをピッチの中やミーティングで根気強く説明していきました。――通用すると考えていた「走る」こと、そして通用する武器である速さを捨てて、正確性を大事にしていこうというのはとや改善したところについて、「今これ出来たよね」とか「こても大きな決断だったと思うのですが。こが良くなったね」ということをピッチの中で確認していくと、選手も今やっていることが間違いではないこと、自分で加藤:考えていたのは、土台を固めてから次に進みたいということは今一つ判然としないことでも、それが認めてもらえると今でした。次に進むためには、一歩下がって正確性を高める。やっていることを肯定して次に進むことができます。それをそれが出来るようになったら、速さを高める。あくまで目標繰り返し、焦らずにやってきたことでしょうか。それを信じは変わっていませんでしたから考え方にブレはありませんでて続けているうちに、後期の中盤くらいには、ある程度の手した。ごたえをつかむことができました。――そうした考え方は、選手にどのように浸透させていかれたのでしょうか。今シーズンの目標加藤:負けていた時も強く感じていたのは、スタッフはもちろんで――最後に今シーズンの目標をお聞かせ下さい。すが、選手自身が「成長しようという意欲」を持ち続けてい加藤:昨シーズンと同じく残留が1つの目標にはなると思いますたことです。ミーティングの中でも、トレーニングをしていが、監督としては、その質について見ていきたいと思っているときも、そしてピッチの中で1つ1つうまくいったことを確ます。結果は同じでも、1つ1つのプレーが向上しているか認して次に進みました。だから選手も、今やっていることはどうか。また、現在うちのチームには110名の部員がいま正しいのだと信じて続けられたのではないかと思います。ピッすが、当然試合に出られないメンバーが90名いることになチの中で自信につながってくる。そうすると不思議なもので、ります。この90名が何をするかを考えさせることが重要で練習を続けていくと、急に伸びてくる選手もいたりするんです。す。全員で戦うことに意味がある。それを実行できるかどう敗戦の中で続けたことかがチーム力につながっていくと思います。それが目標です。――今シーズンのご活躍を期待しております。ありがとうござい――具体的に練習方法などは変えられたのでしょうか。ました。加藤:もちろん練習の質は変えました。以前は全員で一緒にトレーニングをしていましたが、昇格してからは、練習を絞り込んで行うようにしました。というのも、練習でやることが細かくなったからです。ただ大事にしていたのは、個人個人が「持っている能力を100%使いこなしているか」という点です。――敗戦が続いていると、当然チームの雰囲気は良くないのではないかと思います。その中でどのような点を心掛けて、選手に向き合っていたのでしょうか。加藤:雰囲気は確かに良くなかったですが、出来るようになったこと、向上したところを1つひとつ確認するようにしました。選手も試行錯誤の中で練習していますから、向上したところインタビュー後記一言でいえば、とにかく真面目な監督でした。こちらが質問すると、1つ1つ言葉を慎重に選び、考え考え話して下さる姿がとても印象的でした。最後に「1番リラックスできる時間は?」とお聞きすると、「家族といるときと愛犬のトイプードルと散歩しているとき」と照れくさそうに教えてくれました。今シーズンのご活躍をお祈りしています。加藤望かとう・のぞむ産業能率大学サッカー部監督。東海大学卒業後、日立製作所サッカー部(現柏レイソル)にて2004年まで活躍。2005年に湘南ベルマーレに移籍、2009年Jリーグ功労選手賞。2009年より湘南ベルマーレコーチを経て、2013年4月産業能率大学サッカー部監督に就任。6


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