SANNO SPORTS MANAGEMENT 2013年 Vol.6

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2013年 Vol.6 FEATURE「発展への課題」


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02求められるより高い意識ーSANNO女子ビーチバレー部の課題ー文責:小野田哲弥2013年9月、2020年の夏季オリンピック・パラリンピックの開催都市が東京に決まった。産業能率大学女子ビーチバレー部が実質的な活動を開始したのは2008年である。2014年はそれから6年後、また2020年の東京五輪開催まであと6年という折り返し地点にある。次ページの表にあるように、本学の女子ビーチバレー部は目覚ましい発展を遂げている。日本最高峰のビーチバレーツアーであったJVBツアーのMVP(最優秀選手)を、溝江明香(2011年)・石田アンジェラ(2013年)と2選手も輩出、さらに高校時代のユース日本代表経験者を新入部員に迎え、年々選手層も厚みを増している。ビーチバレーコート開設記念式典の挨拶で日本ビーチバレー連盟の川合俊一会長が「ビーチバレーといえば産業能率大学と言われるようになってほしい」と語ったが、その期待に着実に近づいている。しかしながら「五輪でメダル獲得」という究極の目標に向けては、道まだ半ばである。2014年4月に本学を卒業した石田アンジェラと残された3・4年生の部員たち、そして日々指導に当たる川合庶ヘッドコーチに更なる発展のための課題を聞いた。完全燃焼の4年間選手に比べ、いかにSANNO女子ビーチバレー部が恵まれているか、その自覚が足りないと嘆く。世界と戦って勝ち、自分たちの力「ビーチバレーは引退して、アメリカに渡って新たな夢にチャレンで国民全体の注目を呼び込むくらいの意気込みを、SANNOの後ジします」その発言に最初は耳を疑った。しかし石田選手の話を直輩たちには持ってほしいようだ。接聴けば、きっと多くの人が納得できるに違いない。それほどまでに世界を知り、また後輩たちのポテンシャルに期待を寄せる石田だ彼女の4年間は密度が濃く、また達成感の大きなものであったからだ。からこそ、練習の一分一秒を無駄にせず、一挙手一投足にまで集中1学年上の溝江明香選手(現アットホーム)とは違い、石田は「オ力を高めれば、彼女が驚嘆させられた海外選手同様に、後輩たちもリンピック出場」という大きな目標を抱えて入学したわけではない。自分を超えてくれるという確信があるに違いない。「ビーチバレーを好きになるところから始めました」と本人が語るように、恵まれた身長(185cm)によってスカウトされ、その負託に応えるべく活動を開始したに過ぎない。慢心を戒め、伝統を引き継ぐしかし練習に取り組む石田の真摯な姿勢は、予想を上回る勢いで溝江選手の同期には、学生にして初めて日本ビーチバレー連盟公彼女自身を成長させた。そして2013年5月に最高潮を迎える。日認大会「2011ビーチバレーSANNOオープン」の大会運営責任本のトッププロが集うJBVツアー第1戦において優勝、日本一の者を務めた中村彩羅がいた。その伝統を受け継ぐのが2013年度部称号を手にしたのだ。その瞬間、文字通り彼女は燃え尽きた。「も長を務めた村田である。卒業後は一般企業への就職を目指す彼女は、う十分やった。これ以上望むものは何もない」JBVツアーでの優その裏方の経験を「部員全員が一致団結できる貴重な機会で、ビー勝がそれ一度きりなのは、モチベーションの低下が最大の理由だっチバレー以外にも活きる」と語ってくれた。たと語ってくれた。後輩に寄せる期待他方現3年生の3人は、いずれもユースの日本代表経験があり、溝江・石田の系譜を継ぐ選手たちである。新部長となった清水は「ビーチバレーは自由な競技で、先輩から強制的に教えることはないが」と断った上で「挨拶だけはきちんとできるように徹底したい」初心者から日本女子の頂点にまで登り詰めた石田だが、日本代表と反省を口にした。そこには女子ビーチバレー界の中心を担う自分として世界を転戦するわずか数年の間だけでも海外選手には驚かさたちの驕りへの戒めが含まれている。れることが多かったという。それは自分より背が低く技術も劣る選2014年度の部員数は過去最大の10名を数える。彼女たちの意手が、次に会った時には自分よりもはるかに強くなっていることが識は、純粋な体育会として自身を研鑽したいレベルのものからオ珍しくなかったからだ。その要因を彼女は、練習に対する意識の違リンピック出場を目指すレベルまでと幅広い。鈴木は「意識の違いいだと分析する。によって練習を分けることも必要」と訴え、中丸もその意見に賛同砂浜に多くのネットが林立し、ビーチバレー人口が多い諸外国にする。東京オリンピックまであと6年。その舞台に立つことを夢見比べ、日本が環境的に不利なのは否定しがたい事実である。だがそる彼女たちの眼差しが、いよいよ真剣みを帯びてきた。の一方で、自ら練習や遠征の費用を稼がなければならない国内プロ7


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