SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4 FEATURE「スポーツは人を育てる」


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08メディア影響調査で探るビーチバレーの可能性ーなでしこブームとスポーツ漫画の影響を中心にー情報マネジメント学部准教授小野田哲弥湘南ベルマーレビーチバレーチームゼネラルマネージャー/産業能率大学女子ビーチバレー部ヘッドコーチ日本バレーボール協会ビーチバレー強化委員会副委員長川合庶2011年の日本スポーツ界は、サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」のFIFA女子ワールドカップ(W杯)優勝の話題で持ちきりであった。本稿では、その快挙がもたらした意識変化を実証的に探るとともに、これまでも特定スポーツのブームに火をつけてきた「メディアコンテンツ」の影響について、進捗中の調査結果を報告する。なお本文は「ビーチバレー普及の観点から」を川合が、それ以外を小野田が執筆した。女子サッカー人口が今後拡大!?本研究所では、2011年の2月と9月に、それぞれ全国の男女1万人を対象としたインターネット調査を実施した※1。なでしこジャパンのW杯優勝は2011年7月17日(日本時間7月18日早朝)であるため、両調査結果を比較することで、なでしこフィーバーが与えた影響を実測することができる。娘にさせたいスポーツ「サッカー」が急浮上両調査で調査対象が共通する20代・30代サンプルのデータを抽出して集計したところ、【女の子にさせたいスポーツ】質問に対する「サッカー」の順位に顕著な違いが見られた※2。表1はその上位25種目の変動を示したものである。女性(母親想定層)における「サッカー」は順位も低く有意な増加は見られなかったが、男性(父親想定層)では、2月の5.4%から9月の12.1%へと、2倍以上に跳ね上がったことが確かめられる。表1.20・30代男女の「女の子にさせたいスポーツ」の順位変動男性20代・30代女性20代・30代2011年2月(N=2,214)Rank項目名%2011年9月(N=820)Rank項目名%2011年2月(N=2,839)Rank項目名%2011年9月(N=1,146)Rank項目名%12345678910111113141516171819202122232425水泳・スイミングテニスバレーボールバスケットボールバレエバドミントン新体操ゴルフソフトボール陸上ラクロスチアリーディング弓道サッカー合気道スノーボードフィギュアスケート体操競技空手道卓球フットサルヒップホップダンスアルペンスキー野球なぎなた37.029.614.310.29.59.07.67.17.06.55.65.65.55.44.03.93.83.23.03.02.72.52.42.42.312345678910111213141516161818202122222425水泳・スイミングテニスバレエサッカーバレーボール新体操バスケットボールゴルフ陸上弓道バドミントン体操競技チアリーディング合気道ヒップホップダンスフィギュアスケートスノーボード空手道なぎなた馬術フットサル剣道登山野球ソフトボール51.021.716.712.110.09.88.88.37.96.36.15.95.14.94.14.04.03.53.53.33.02.72.72.42.312345678910111213141516171819202122232425水泳・スイミングバレエテニスバレーボール新体操バスケットボールバドミントンチアリーディングヒップホップダンス弓道合気道陸上空手道フィギュアスケートゴルフスノーボード体操競技馬術ラクロスヨガ剣道バトントワリングソフトボールフラダンスサッカー44.827.826.813.010.710.410.18.27.27.16.65.95.85.55.04.84.54.44.04.03.33.22.92.42.312345678910111213141516161819202122232425水泳・スイミングバレエテニス新体操ヒップホップダンスチアリーディングバレーボール合気道フィギュアスケートヨガバスケットボール弓道スノーボード空手道剣道バドミントンゴルフ陸上馬術体操競技フラダンススキューバダイビングサッカーなぎなたバトントワリング54.541.217.111.010.58.68.07.87.26.86.66.16.05.65.44.94.94.54.33.63.42.92.72.42.317男性サッカー経験者においてより顕著「女の子にサッカーをさせたい」と考える男性(父親想定層)のスポーツキャリアを探ったところ、学生時代にサッカー部に所属、あるいは現在サッカーやフットサルを行っている属性が強く働いていることが判明した※3。つまり、なでしこフィーバーは、特に男性サッカー経験者に対して、娘にサッカーをさせたい大きな動機付けになったといえる。表2は、男性サッカー経験者に限定した場合の「女の子にさせたいスポーツ」トップ10の変化である※4。2月時点でも一般男性よりは高く8.4%を記録しているが、9月では2.5倍以上の21.1%へと大幅に増加していることがわかる。以上から、これまではたとえ自身がサッカー経験者であっても積極的に娘にサッカーをさせたいと考える男性は10人に1人にも満たなかったが、2011年の夏を機に5人に1人以上にまで激増したといえる。もちろん実際に娘にサッカーをさせたかどうかの検証はこれからだが、少なくとも意識変化の面において、いかになでしこジャパンのW杯優勝がエポックメイキングな出来事であったかが理解できる。表2.男性サッカー経験者の「女の子にさせたいスポーツ」の順位変動男性20代・30代サッカー経験者限定2011年2月(N=596)Rank項目名%2011年9月(N=270)Rank項目名%1234567899水泳・スイミングテニスバレーボールバレエバスケットボールバドミントンサッカー新体操ソフトボール陸上36.432.414.411.710.48.98.48.28.18.1123456789水泳・スイミングテニスサッカーバレエバレーボールバスケットボール新体操ゴルフバドミントン10陸上51.524.121.120.710.710.09.68.97.46.7スラムダンク効果は本当か?2011年9月に実施した調査では、昨年度の「ゲートウェイ・マイニング」(何がスポーツを始める際の“きっかけ”となったか)を拡張し、スポーツ関連のメディアコンテンツ(情報バラエティ番組・映画・ドラマ・漫画/アニメ・ゲーム等)とスポーツキャリアとの関連性について探った※5。世代を20代・30代・40代に分けて以下に検証結果を報告する。男女ともに漫画/アニメの影響は絶大スポーツ活動経験は全世代において中学時代に最大値を示すため、スポーツキャリアは中学時の所属運動部に限定し、関連を検証するスポーツ関連メディアも回答率20%以上の主要コンテンツに限定して、その特化係数(両者の重複率は通常の重複率の何倍か)


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