SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4 FEATURE「スポーツは人を育てる」


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[試合観戦における観客満足の対象領域]出所:筆者作成・事前プロモーションによる情報発信・試合会場の設備・強いチーム作りetc.・グッズの販売・フードの販売・応援しやすい仕組みづくり・ショーやイベント・ファンサービス(プレゼントや選手との触れ合い)・BGMやMCetc.試合の質の向上グッズやフードの販売による雰囲気づくり試合を盛り上げる演出び付けているチームやクラブは、試合の事前、事後にも観客に対して、さまざまなアプローチを行っている。例えば、欧米の一部のプロ・チームは、選手や監督などによるサイン会や握手会などのイベントの開催、ウェブサイトなどを通じたさまざまな情報発信、関連グッズの販売、ファン・ミーティングなど徹底した取り組みを実行し、それを観客動員に結び付け、リピーターの囲い込みに成功している。日本のプロ・スポーツにおいても、既にこれらの取り組みは行われているが、散発的なものが多く、連繋した展開は図られていない。何よりもテーマパーク等の他のエンターテイメント産業と比べると精緻さに欠ける。観客を惹き付け、リピーターにするためには単発で終わることなく、連続したストーリーの中で囲い込んでいくことが必要となる。スポーツは人々に感動を与えることのできる強力な力を持っている。単なる満足ではなく、感動や熱狂とも言うべき興奮を与えることが可能な数少ないコンテンツである。その意味でスポーツが持っているポテンシャルは極めて高い。エンタテインメントの一環として、よりスポーツを楽しめるような環境を創り、こうしたスポーツの持つポテンシャルを活かすことのできるサービス・マーケティング上の工夫と展開が求められているのである。のである。次にサービスセクターからみると、いかに観客に試合を観に来させるかが重要なテーマとなる。単に良い試合をすれば観客が増えるというものではない。特にスポーツをエンタテインメントとして捉えてみると、遊園地やテーマパークにも負けないリピーターを獲得することが必要であり、観客を何度も観に来させる工夫、そして観に来てくれた観客の満足度を高め、もう一度見に行こうという気持ちにさせるマーケティングが不可欠となる。観客満足度の構成要素では実際に試合を観戦しに来てもらうためには、いかなるマーケティング手段を講じるべきなのであろうか。この点について、ここでは観客の満足度という視点から考えてみよう。スポーツにおける観客の満足度を形成する要素としては主に以下の3つの要素が考えられる。第1の対象領域は「試合の質の向上」である。これは端的に言えば、強いチームを作り、スタジアムやアリーナなど試合会場の整備することがテーマとなる。観客は自分が応援するチームの勝利を、気持ち良く観たいことは言うまでもない。第2の対象領域は、「試合を盛り上げる演出」である。これは試合の最中に行われる、試合以外のイベントやファンサービス全般を指す。また試合会場の照明や音楽などもここに含まれる。第3の対象領域は「グッズやフードの販売による雰囲気づくり」である。観客であるといっても、一部のコアなファンを除けば応援の仕方は分からないし、道具も持っていない。そこで、楽しく応援するグッズや、選手に関連するグッズを販売し、チームとの連帯感やサポーターの一体感を演出することで楽しさは増幅されることになる。但し、ここで重要な点は、観客満足は試合会場だけで形成され、高まるものではないということである。実際に大きな観客動員に結16


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