SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4 FEATURE「スポーツは人を育てる」


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18のような多様性にもアプローチし、スポーツ振興の可能性を探っていきたい。表5.低回答率ながら高い特化係数を示したコンテンツとスポーツキャリアの例スポーツキャリア活動スポーツ陸上硬式野球サッカー硬式テニス時期高校高校高校高校中学校バスケットボールスポーツキャリア活動スポーツバレエバレーボールバレエ水泳・スイミング軟式テニス時期高校高校中学校中学校中学校重複率(%)特化係数60.027.345.027.337.816.70311.6257.4007.0913.994重複率(%)特化係数26.346.226.125.031.421.19416.66315.1745.4533.281%3.62.36.13.89.5%1.22.81.74.69.6%1.01.11.01.12.3%1.81.22.21.11.7スポーツ関連メディアコンテンツ名奈緒子甲子園シリーズVIVA!CALCIO少年よラケットを抱けHarlemBeat媒体ジャンル漫画/アニメテレビゲーム漫画/アニメ漫画/アニメ漫画/アニメスポーツ関連メディアコンテンツ名SWAN-白鳥-リベロ革命!!アラベスクDIVE!!みんなのテニス媒体ジャンル漫画/アニメ漫画/アニメ漫画/アニメ漫画/アニメテレビゲーム世代20代40代30代30代30代世代20代20代20代20代30代男性女性ビーチバレー普及の観点からバレーボール関係者はよく冗談交じりで「『アタックNo.1』のおかげで昔はバレーが流行ったが、最近は『SLAMDUNK』のせいで有望な選手がバスケに流れてしまう」と嘆いたりするが、あながち間違った話ではないことが裏付けられる結果であった。しかし、以前バレーボール人口が多かったのは、漫画やアニメの影響だけでなく、全日本バレーボールチームが国際的に強く、オリンピックでも金メダルを狙える位置にあったことが根底にある。そのような“強いスポーツ”は人々の共感を呼び、子供たちの憧れとなる。その点とまさに通底するのが昨年のなでしこジャパンのワールドカップ優勝であり、娘にサッカーをさせたい父親が増える要因となったことも大いに納得できる。また、小学生のスポーツ参加は親が関わらないと難しく、昨今ではフルタイムで働く女性も一般的なため、育児をする父親(イクメン)が増え、息子とだけでなく娘とも一緒にスポーツを楽しむ未来が訪れることが望ましい。特にサッカーは、日本サッカー協会が推進してきた『Jリーグ百年構想』の下、男性はすでに競技人口が多く、女子も小学生ならば男子に交じってサッカー部にも参加できるため、なでしこブームが一過性に終わらないだけの土壌が築かれている。ビーチバレーも長期的視野に立ち、ブームが訪れた際に対応しうる環境づくりを着実に進めなければならない。現在その一環として日本バレーボール協会と日本ビーチバレー連盟で進めているのが、国民体育大会(国体)で廃止された9人制バレーボールに替わるビーチバレーの正式種目化である(現在は公開競技)。ビーチバレーが国体の正式種目となれば、各都道府県にコートが常設され、コーチも配属されるなど環境面の強化が期待できる。『SLAMDUNK』ブームが来る前から小学校にはバスケットボールのゴールが常備されていたし、2012年度からの中学校における武道とダンスの必修化が当該スポーツ市場を活性化しつつある。このようにスポーツ振興は、行政からの支援が不可欠な分野であるため、今後は政策面での研究も課題の一つとしたい。※12月調査は16歳から40歳までを、9月調査は19歳から49歳までをそれぞれ調査対象とした。※2質問文は「実際にお子様がいらっしゃるかどうかに関わらず、小さなお子様がいらっしゃることを想定してお答えください。ご自身の子どもに、やってほしいスポーツはありますか?「男の子」「女の子」の場合について、それぞれ5つ以内でチェックしてください」であり、79種目を用意した。なお「本人の意思に任せる」「やってほしいスポーツはない」の回答者は除いて集計した。※3※4※5「女の子にサッカーをさせたい」という回答の特化係数(一般回答者の何倍の回答率か)は、20代男性においては中学サッカー部所属者で4.7倍、高校サッカー部所属者で6.7倍、現在サッカーをしている回答者で6.5倍であった。30代男性においては中学サッカー部所属者で3.5倍、高校サッカー部所属者で5.8倍、現在サッカーをしている回答者で8.4倍、現在フットサルをしている回答者で6.1倍などであった。サッカー経験者の定義は、【幼少・学生期の運動クラブへの所属】質問において、幼児期・小学校低学年・小学校中学年・小学校高学年・中学・高校のいずれかで「サッカー」を選択、あるいは【現在行っているスポーツ】質問において「サッカー」を選択した回答者である。スポーツ関連のメディアコンテンツはインターネットの利点を活かし、情報バラエティ番組85件、海外映画142件、ドラマ/邦画137件、漫画/アニメ615件、テレビゲーム287件の合計1,266件という厖大なアイテムリストを作成して調査を実施した。のトップ5を世代別に掲載した。男性の結果が表3、女性の結果が表4である。男性はもともとスポーツ好きの割合が高いことも影響し、漫画/アニメのみならず、情報バラエティ番組・海外映画・ゲームなどにも強い関連性を示すコンテンツが存在した。他方、女性における主要コンテンツは漫画/アニメに限られ、種目が合致しないケースも散見される。しかし、40代の『アタックNo.1』と『エースをねらえ!』、30代の『SLAMDUNK』、20代の『テニスの王子様』など、最上位のコンテンツと部活動経験との間には、同一種目間の密接な連動性が確認できた。今後の調査課題今回の調査では、いわゆる「鶏が先か、卵が先か」の前後関係までは把握できていない。ゆえに例えば表3における『SLAMDUNK』に関して、男性20代では漫画/アニメが「バスケットボール」の経験に影響を与えた可能性が高いが、男性40代については『週刊少年ジャンプ』での連載開始時(1990)、高校生以上(19~28歳)であったことから、中学時代に「バスケットボール」部に所属していた男性が、あとから当該コンテンツに接したと考えるのが自然である。次回行う調査では、特定のメディアコンテンツがスポーツを始めた直接的なきっかけとなったかについても実証できるよう設計したい。表3.男性の中学時所属運動部と主要スポーツ関連メディアとの関連性スポーツ関連メディア媒体ジャンル情報バラエティ番組コンテンツ名やべっちFCキャプテン翼ウイニングイレブンSLAMDUNK実況パワフルプロ野球漫画/アニメテレビゲーム漫画/アニメテレビゲームスポーツ関連メディアコンテンツ名やべっちFC熱闘甲子園プロ野球ニュースSLAMDUNKメジャーリーグ(1989)媒体ジャンル情報バラエティ番組情報バラエティ番組情報バラエティ番組漫画/アニメ海外映画スポーツ関連メディアコンテンツ名SLAMDUNKプロ野球ニュースエースをねらえ!キャプテン翼キャプテン媒体ジャンル漫画/アニメ情報バラエティ番組漫画/アニメ漫画/アニメ漫画/アニメ中学時代所属運動部サッカーサッカーサッカーバスケットボール軟式野球中学時代所属運動部サッカー軟式野球軟式野球バスケットボール軟式野球中学時代所属運動部バスケットボール軟式野球軟式テニスサッカー軟式野球%23.621.320.830.533.7%24.020.026.236.922.7%20.531.522.636.231.0%8.88.88.87.39.5%10.210.810.89.510.8%8.69.27.57.19.2表4.女性の中学時所属運動部と主要スポーツ関連メディアとの関連性スポーツ関連の漫画/アニメ関連スポーツコンテンツ名テニスー野球拳法バスケットボールテニスの王子様該当作品なしタッチSLAMDUNKらんま1/2コンテンツ名SLAMDUNKYAWARA!該当作品なしキン肉マンプロゴルファー猿スポーツ関連の漫画/アニメ関連スポーツバスケットボール柔道ープロレスゴルフスポーツ関連の漫画/アニメ関連スポーツバレーボールコンテンツ名アタックNo.1エースをねらえ!巨人の星あしたのジョー該当作品なしテニス野球ボクシングー中学時代所属運動部軟式テニス所属なし軟式テニス軟式テニス所属なし中学時代所属運動部バスケットボール軟式テニス所属なしバレーボール軟式テニス中学時代所属運動部バレーボール軟式テニスバレーボール軟式テニス所属なし%25.728.324.633.323.2%32.426.023.922.020.5%36.043.232.526.521.3%9.248.89.29.248.8%7.89.641.28.29.6%8.111.68.111.641.4重複率(%)22.221.519.614.616.4重複率(%)20.317.917.414.416.2重複率(%)12.613.611.010.413.2重複率(%)11.956.110.510.349.0重複率(%)11.813.051.410.211.9重複率(%)10.614.610.013.346.3特化係数2.5152.4292.2212.0121.726特化係数1.9871.6581.6121.5191.503特化係数1.4791.4771.4731.4661.434特化係数1.2971.1491.1411.1251.003特化係数1.5041.3541.2481.2451.243特化係数1.3181.2511.2381.1401.118Rank12345Rank12345Rank12345Rank12345Rank12345Rank12345男性20代男性30代男性40代女性20代女性30代女性40代表5は、回答率は低いものの、通常の3倍を超える極めて強固な関連性を示したメディアとスポーツキャリアの組み合わせの一例である。現代は、かつての『巨人の星』や『あしたのジョー』のようなメガヒットコンテンツが生まれにくいメディア環境にあるといわれるが、表3においても若い世代ほど特化係数の高いケースが目立っているように、“かゆい所に手が届く”コアターゲットを狙ったコンテンツの進化も著しい。上述の時系列把握に加え、今後はそ


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