SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4 FEATURE「スポーツは人を育てる」


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ビーチバレーと自己管理産業能率大学女子ビーチバレー部4年溝江明香インタビュー・文:小野田哲弥02鍛えられる自主性――「スポーツは人を育てる」というテーマでお聞きしたいのですが、まず小さい頃で思い当たる経験はありますか?溝江:それは挨拶です。小学校の時にバレーボールを始めて、最初に習ったのは挨拶でした。挨拶は、仲間や先生、大人たちとの関係を築く基本になるので、そこを小さなうちから学んだことで、自然と集団行動が習慣づけられたと思います。――では、大学に入ってから本格的に始めたビーチバレーについてはどうですか?溝江:インドア(バレーボール)との一番大きな違いは、ゲームメイクの責任を自分で負わなければならなくなることですね。インドアでは、監督がメンバーを決めて試合の組み立てをしますが、ビーチバレーはそもそも試合中に監督は口出しできないというルールがあるので、自分の意見をしっかり持って、すべてをペアと2人で決めなければなりません。それから、パートナーも誰かが決めてくれるわけではなく、自分で探すのが基本です。自分が練習しなかったら良い人とも組めないし、上達したければ自らコーチを頼んだり、練習場所を選んだりしなきゃいけない。自分が強くなりたいから自発的にやる。そういう意味で、自主性がものすごく求められるスポーツだと思います。好不調の原因を把握――2011年はJBVツアーでの安定した活躍が光り、MVPに選出されましたね。新人賞を獲得した2010シーズンと比較して、メンタル面での成長として挙げられるものはありますか?溝江:以前はなんで調子の良い時と悪い時とがあるのか、自分ではわかりませんでした。ですが、だんだんとその理由を説明できるようになってきたのは大きいと思います。そのおかげで自分をよりコントロールしやすくなり、安定したパフォーマンスを出せることに繋がっていると思います。――その理由づけですが、どうしてできるようになってきたのですか?溝江:常に冷静に自分を客観視するように努めているからだと思います。ですがまだ、嫌なことがあるとモヤっとしたり、楽しかったらテンションが上がったりする気分屋なので、もっと感情の起伏を少なくしたいですね。――感情の浮き沈みがあるのは、人として普通のことではないですか?溝江:オフの期間は問題ないと思います。ですが、今の目標はなんといってもロンドン五輪出場なので、感情の起伏によってプレーに影響が出てしまうことは避けたいんです。特に国際大会レベルになると、そういったわずかなスキに付け込まれてしまうので。すべてはロンドン五輪のために――最後に、今年のロンドン五輪出場に向けた抱負をお願いします。溝江:すべてが五輪出場に向けた準備だと意識して、普段から生活したいと思います。練習することは試合に勝つための準備だし、練習のコンディションを作るためにジムに行くのも準備。ジムで満足のいくトレーニングができるように、ちゃんと食事を摂るのも準備。負けてしまった理由を自分の中で消化して、気分を切り替えるのも準備。そして、自分をリセットするために仲の良い友達と会って喋ったり、睡眠を十分に取ったりする息抜きも、大切な準備の一環だと思っています。――ロンドン五輪への出場を信じています。また、これからもビーチバレーを通して、人間としてもさらに成長していってください。溝江:ありがとうございます。頑張ります!溝江明香選手みぞえ・さやか1990年7月16日、東京都生まれ。2009年に都立駒場高校を卒業し、産業能率大学に入学。同年JBVツアー(全日本ツアー)に参戦し、翌2010年には新人賞を獲得。2010シーズンからペアを組む田中姿子選手(エコ計画)と、JVBツアー2010・2011で2年連続グランドチャンピオン。JVBツアー2011では年間最優秀女子選手(MVP)にも輝いた、日本女子ビーチバレー界期待の星。6


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