SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4 FEATURE「スポーツは人を育てる」


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考える力試合練習試合練習試合考える力考える力考える力から聞いてくることもほとんどありません。その意味で、考える力」が不足しているなと感じています。――では、「考える力」をつけさせるために、具体的にどのようなことをされていますか。FEATURE「スポーツは人を育てる」「考える力」の必要性――坂下監督は、講演や執筆されたもののなかで、優れた選手になるためには「考える力」が不可欠であると、常々おっしゃっています。この「考える力」について、詳しく教えていただけますか。坂下:簡単に言えば「常に生活の中で自分がレベルアップするためには何が必要なのかを考えながら工夫する」、ということでしょうか。学生はプロではないので、授業に出席するなど、学生としての責任を果たさなければなりません。でも空いている時間をいかに有効に使うか、工夫することによって一流選手に成長することは可能なはずです。その意味では、食事から睡眠、休養の取り方、集中力など工夫する余地はたくさんあります。でもこれがなかなかうまく出来ない。おそらくこれができない理由は、これまでの生活の中であまり競争というものを経験してこなかったということだと思います。昔は、選ばれなかったり、落とされたりすると、もっと悔しがる学生が多かったように思います。[日常生活でも、常に考え、振り返る時間を持つ]坂下:具体的には、試合や練習でプレーした後に、考えさせ、ノートを付けるように指示しています。ミスしたプレーでも、成功したプレーでも、必ずその結果につながる要因があります。その要因をじっくりと考え、把握しなければなりません。技術的課題、体力的課題、戦術的課題、精神的課題など、その要因を分析し、より良いプレーを行うために解決すべき課題を見つけ、それを克服する練習方法を「考える力」が必要なんです。その分析能力が低い選手は成長しません。――部員心得にもサッカーノートを付けることが挙げられていますね。そのノートをご覧になっていかがですか。坂下:面白いのは、これを継続的にやらせてみると上級生と新入生の書いたものが明らかに違ってきます。最初のうちは、できなかったことばかりを書いている。まるで反省文です。こちらが要求しているものは反省ではありません。出来なかったことはもちろんですが、出来たことも書く。そしてなぜ出来たのか、出来なかったのかを分析して、自分がレベルアップするためには何が足りていて、何が足りないのかを見つけ出して克服することにあります。上級生になると、それが少しずつ分かってくるのか、ノートを見ていると明らかに成長しているなと感じることがあります。伸びる選手の特徴――日常生活の中で、常に考えるクセをつけることが重要なのですね。坂下:私は常々、部員に直接言っているのですが、「誰でも一流になれる」と。ただ一流になるためには、そうなるための努力と自分で「考える力」が必要です。良い選手というものは育てるものではなく、育つものです。その意味で言えば、フィジカル面はともかくメンタル面での鍛え方が足りないなと感じます。思考回路を変える、プラス思考に持っていく、そうしたことを日々の習慣の中でできるようになって欲しい、そうした能力をサッカーを通じて培ってくれればと思います。――実際に、部員を指導してこられた中で、こういう選手は伸びるという特徴のようなものはあるのでしょうか。坂下:何よりも素直であることです。多くの部員を見ていると、高校までのサッカーが全てという選手が存外に多いものです。そうなると、新しいものを吸収しようとか、挑戦しようという姿勢ができていない。そうなると、大学に入ってゼロからスタートというより、むしろマイナスからのスタートになってしまいます。今回、本学のサッカー部の部員で、湘南ベルマーレに登録された村上君(注1)などは、高校時代はセンターバックでしたが、大学では色々なポジションを経験させました。彼はそれを貪(注1)サッカー部に所属する情報マネジメント学部4年の村上聖弥選手がJリーグ特別指定選手(湘南ベルマーレ)に承認されました。これにより、村上選手は本学サッカー部に所属したまま、Jリーグ湘南ベルマーレの試合に出場することが可能となります。4


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