SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4 FEATURE「スポーツは人を育てる」


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自分の行動を振り返り、マネジメントできる人間を育てる01誰でも一流になれる産業能率大学サッカー部坂下博之監督インタビュー・文:木村剛坂下博之監督が産業能率大学サッカー部監督に就任して5年が経過した。日本でも数少ないS級コーチライセンスを保持している坂下監督から、この5年間を振り返って、サッカー部の教育での苦労や、学生を指導していく上で心がけていること、実際に学生を指導してきた中で感じたことや学生への思いなど、スポーツを通した教育の現場から、率直な感想を聞いた。5年間を振り返って――坂下監督が、産業能率大学サッカー部の監督に就任されて5年が経ちました。この5年間を振り返って、感想はいかがですか。坂下:一言でいうと、あっという間でした。最初就任した時は、紅白戦もできない状況からのスタートでした。2年目以降には新人が50人くらい入って、今では130人程度の規模になってきました。5年経ってようやく、サッカー部の強化、教育に力を注げる体制が整ったという思いです。――学生を指導するうえで、意識されてきた点はありますか。坂下:当初から、ずっと一貫しているのは、「きっちりとした社会人として行動すること」です。きちんとした大人としての自覚を持ち、自立した人間でなければ、一流の選手にはなれま坂下博之監督さかした・ひろゆき1959年5月生まれ。神奈川県出身。筑波大学時代に、日本学生代表、日本代表に選出される。大学卒業後、フジタ工業サッカー部(現湘南ベルマーレ)、読売サッカークラブ(現東京ヴェルディ)でプレー。現役引退後、亜細亜大学サッカー部監督を経て、2007年より産業能率大学サッカー部監督に就任。2006年4月日本サッカー協会認定のS級コーチ・ライセンスを取得。せん。サッカーが上手くても、グラウンドを整備してくれる人への感謝、自分を応援してくれる家族や仲間に対する感謝、そういうものがないと一流にはなれないと思っています。例えば、当たり前のことですが、基本はまず挨拶です。きちんとした挨拶すら出来なければ、社会人とは言えません。これはかなり浸透してきていて、プロのチームや社会人のチームと試合をすることがよくあるのですが、この点については対戦相手から褒められるようになりました。ただ一つ欲を言えば、こちらから指導をしなくても、当たり前のこととして上級生から下級生に自然に伝わるようになる。上を見て下が育つようになってくると、それが産業能率大学サッカー部の伝統となり、強さにつながってくると思います。その意味ではまだ、道半ばという感じです。――この点はまだ不足しているなと感じている点はありますか。坂下:不足を感じているところを挙げるときりがないのですが、自分で考えて行動することができない子が多いと感じています。これはサッカー部だけでなく今の学生全般について言えることですが、こちらから言われたことのみをやる。それで満足している。本当に一流になりたいのなら、自分で考えて、何が足りないのか、どうすれば壁を超えられるのか、それを考えて自主トレーニングしたり、自己管理を徹底するということができない。こちらとしては、教えてくれと言われれば教える用意はあるのに、「どうすればいいですか?」と学生3


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