SANNO SPORTS MANAGEMENT 2009年 Vol.2

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2009年 Vol.2 FEATURE「産業能率大学 collaboration with 湘南ベルマーレ」


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我が国におけるビーチバレー選手の先駆者の一人である川合と、データマイニングを専門にする小野田の2名が、ビーチバレーのさらなる発展を目的として取り組む共同研究の2009年度成果について報告する。執筆者は、『アンケート調査の分析結果』が小野田、『現場の活動につながる示唆』が川合である。前提条件パスの向き結果回答者時期スポーツ種目Support(%)対象スポーツ種目Confidence(%)Lift父親想定層小学生バレーボール1.0子供(女の子)ビーチバレー10.04.278現在サーフィン0.8ビーチバレー10.84.625将来バレー0.5ビーチバレー11.14.754母親想定層小学生バレーボール7.4ビーチバレー3.22.304中学生バレーボール8.9ビーチバレー2.71.918現在バレーボール1.2ビーチバレー6.84.843将来サーフィン2.1ビーチバレー5.84.161将来ビーチバレー0.5ビーチバレー16.711.905順位バレーボールビーチバレー該当イメージ該当の絶対値非該当イメージ該当イメージ該当の絶対値非該当イメージ1集団的な1.182個人的な暑い1.362寒い2スピード感のある1.174ゆったりした陽にあたる1.286陽にあたらない3健全な1.114不健全な開放的な1.120閉鎖的な4まじめな0.866ふまじめな汚れる1.002汚れない5なじみのある0.846なじみのない自由な0.876束縛的な6興奮する0.838落ち着く大胆な0.818慎重な7楽しい0.762苦しい健全な0.814不健全な8緊張した0.698リラックスした楽しい0.686苦しい9汚れない0.656汚れる流行の0.604昔からある10メジャーな0.620汚れる興奮する0.598落ち着く順位バレーボール的なイメージイメージ差の絶対値ビーチバレー的なイメージ1集団的な1.738個人的な2陽にあたらない1.676陽にあたる3汚れない1.658汚れる4なじみのある1.188なじみのない5昔からある1.122流行の6閉鎖的な0.946開放的な7メジャーな0.890マイナーな8寒い0.766暑い9束縛的な0.754自由な10緊張した0.706リラックスした表1:相関ルールにおける主要パス表2:《バレーボール》《ビーチバレー》それぞれに対する該当イメージの上位10件表3:《バレーボール》《ビーチバレー》間で差異が大きいイメージの上位10件アンケート調査の分析結果分析1わが子にビーチバレーをさせたい親のスポーツキャリアビーチバレーは新興スポーツのため、既存の経験者はそう多くはいない。つまり、子供たちの世代が今後どれだけ愛好してくれるかに、ビーチバレーの将来がかかっているといっても過言ではないのである。しかし、幼い子供たちが自らの判断でビーチバレーを始めるだろうか。おそらく親の意向が強く影響するに違いない。そこで、どのような親であれば、より好意的にわが子にビーチバレーをさせたいと考えるかについて、1万人に対する調査を実施した*1)。その結果からまずわかったことは、子供の性別による決定的な違いであった。男の子にビーチバレーをやってほしいと考える親は、父親想定層で0.1%、母親想定層で0.4%と、ほぼ例外的である。しかし対女の子で見ると、父親想定層の2.3%、母親想定層の1.4%もがビーチバレーをさせたいと考えていたからである。ゆえに、一定の回答のあった「女の子にビーチバレーをさせたい」と考える父親・母親想定層のスポーツ経験との関連を<相関ルール>という分析技法を用いて明らかにした*2)。その結果としての主なパスが【表1】である。親子一緒にビーチバレーをしたいというのは自明な結果であるが、それ以外で父親・母親両想定層に共通して見られる特徴は、小学生時代のバレーボール経験であり、母親想定層に関しては中学時代のバレーボール部所属や、現在もバレーボールを行っていることが強い影響を及ぼしていた。この解析において得られた意外な結果は、両想定層に共通して現れた《サーフィン》の存在である。現在サーフィンを行っている父親想定層、将来サーフィンをやりたいと考えている母親想定層から、それぞれ有意なパスを確認することができたからである。分析2バレーボールとビーチバレーとのイメージギャップ現在プロで活躍するビーチバレー選手のほとんどが、インドアの元バレーボール選手であることはよく知られている。加えて分析1の結果からは、一般的な人々においても、ビーチバレーがバレーボールという競技とは切っても切れない関係にあることが裏付けられた。よって二つめの調査は、バレーボールに対して高関与度の500サンプルに限定して実施した*3)。25対の対立概念から成る<SD法>によって、「かなり」を±2点、「やや」を±1点として平均値を算出し、絶対値の大きい側を「該当イメージ」として、両競技それぞれに該当する主要なイメージ上位10件を表示したのが【表2】である*4)。概して、《バレーボール》は「なじみのある健全な集団競技であり、スピード感があって興奮するし楽しい競技」として、《ビーチバレー》は「暑い(夏に)太陽の下で行う開放的で自由な競技であり、健全さと大胆さを兼ね備えているが、(砂で)汚れる競技」として捉えられていることがわかる。なお、両者の差異を明示化すべく、同一概念での差分を取り、その絶対値の大きい順に10件を表示したのが【表3】である。そしてこの結果を基に、対照的に指摘できる肯定的・中立的・否定的イメージをまとめたものが【表4】になる。ビーチバレーの普及に向けた「調査」と「現場」との連携小野田哲弥情報マネジメント学部准教授川合庶日本バレーボール協会ビーチバレー強化委員会副委員長湘南ベルマーレビーチバレーチームゼネラルマネージャー/産業能率大学女子ビーチバレー部ヘッドコーチ0917


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