SANNO SPORTS MANAGEMENT 2009年 Vol.2

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2009年 Vol.2 FEATURE「産業能率大学 collaboration with 湘南ベルマーレ」


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*1)調査サンプルは、16歳から40歳までの男女10,000人を世代・性別の均等割付によって抽出した。質問内容は大きく二つに分けられ、自身のスポーツ経験」(学生時代の部活動、現在行っているスポーツ、および将来行いたいスポーツ)と「子供にやってほしいスポーツ」から成る。後者については、自分に子供がいると仮定して、男の子・女の子それぞれの場合について、やってほしいスポーツを5種目まで挙げてもらった。調査実施期間は2009年8月21日から31日までの11日間である。*2)相関ルールは、データマイニングの代表的技法の一つであり、購買履歴データを基にしたリコメンデーションなどに利用されている。データマイニングは不確かなデータから有益な知見を導く目的に用いられるため、子供にやってほしいと考える親の人数がまだ不安定なビーチバレーを分析対象とするのにも適合的だと考えられた。なお【表1】において、Supportは前提条件が全体に占める比率、Confidenceは前提条件と結果との重複率、Liftはその値が1.00より大きいほど有意であることを示す。*3)調査サンプルは、男性および女性をそれぞれ“競技型”“観戦型”に分けた4層から125名ずつ抽出した計500サンプルである。競技型はバレーボール経験者、観戦型はテレビ中継でのバレーボール愛好者である。主な調査内容は、バレーボールとビーチバレーそれぞれに対するイメージ調査、およびビーチバレーに対するポジティブ意見とネガティブ意見についてであった。調査実施期間は2010年1月27日から29日までの3日間である。*4)SD法(SemanticDifferentialMethod:形容詞対尺度構成法)は心理学分野の代表的測定法の一つであり、想起概念の規定や、複数の対象間のイメージ比較などに用いられる。*5)形態素とは単語の最小単位である。形態素解析はテキストマイニングの基本であり、たとえば「私は学校へ行く」を、形態素「私」「は」「学校」「へ」「行く」に分ける工程をさす。ポジティブ記述ネガティブ記述順位形態素度数順位形態素度数1楽しい781日焼け402健康352砂363スポーツ163体力35良い164汚れる265できる145焼ける256子供136水着227経験127無理21運動128バレーボール209興味119場所15面白い11暑い1511鍛える911年齢913好き912近く8開放813室内614遊び7ビーチバレー6挑戦715まみれ516砂5砂浜5足腰5紫外線518ビーチバレー418心配419簡単3遠い4能力3若い4体力3洗濯4教える322マイナー3競技3露出3元気3恥ずかしい3人数3ユニフォーム3バレーボールビーチバレー肯定的イメージ昔からあって馴染みのあるメジャーな競技自由で開放的な競技中立的イメージ室内で行う集団的な競技暑い砂浜の上で行う個人的な競技否定的イメージ寒い体育館の中で行う閉鎖的で束縛的な競技馴染みが薄くマイナーで汚れる競技表4:《バレーボール》《ビーチバレー》間の対照的なイメージ表5:ビーチバレーに対する《ポジティブ記述》《ネガティブ記述》に登場する形態素上位25件分析3ビーチバレーに対するポジティブ/ネガティブ意見分析2と同じ500サンプルに対して「ご自身はビーチバレーをやってみたいですか?」および「お子さんにビーチバレーをやってほしいですか?」と尋ね、YES/NOそれぞれの場合において、その理由を自由記述してもらった質問の解析結果をもとに、ビーチバレーの魅力と、ビーチバレー普及の阻害要因について調べた。<形態素解析>によって、それぞれ出現頻度の高い自立語(名詞・動詞・形容詞)の上位25件を抽出したものが【表5】である*5)。YESと回答した際の理由、すなわちビーチバレーに対する《ポジティブ記述》からわかることは、分析2においても抽出された「開放的で楽しそう」というイメージが、ここでも代表的な魅力として認知されている点であり、加えて、「健康に良さそう」「子供と一緒にできそう」「人数が少なくてもできそう」などが新たなポイントとして指摘できる。他方、NOと回答した際の理由、すなわちビーチバレーに対する《ネガティブ記述》からわかることは、分析2とも共通する「陽にあたるため日焼けが気になる」「砂だらけになって汚れる」という要素であり、新たな知見としては「若い人の競技で年齢的に無理」や「ユニフォームが水着で恥ずかしい」などが挙げられる。その他、「ビーチバレーができる場所が近くにない」という意見も多い。そしてこれらの背景から「どちらか行うのであれば室内のバレーボールの方を」と考える向きも小さくないことが窺えた。現場の活動につながる示唆ベルマーレ主催の親子スポーツ教室などを通じて、これまでも子供たちにビーチバレーを体験してもらう場を提供してきた。その中で、子供たちを教室に連れて来る親御さんにはバレーボール経験者が多いということを肌で感じていたが、このようにデータとして示されたことで、その感覚は確信へと変わった。また、意外でありながら納得できたのは「サーフィン」との関連である。実際に本学の部員に聞いたところ、父親の趣味がサーフィンという学生が2人もいて興味深かった。このような分析1の結果を踏まえれば、重点的な普及拠点を、ママさんバレーの会場や、サーフィンとビーチバレーが一緒に楽しめる砂浜へと絞り込むことができ、より効率的な普及活動が展開できるように思う。続く分析2では、ビーチバレーへの否定的なイメージとして「馴染みが薄くマイナーな競技」というものが挙がっていた。これはかねてより課題に挙げ、その克服を目指してきたものだが、まだまだ達成には努力が必要であることを再認識した。そしてその目標達成のためには、肯定的に抱かれている「自由で開放的な競技」としての良い側面を、より一層アピールしていかなければならないとも感じた。分析3の結果については、ネガティブな要素をポジティブな要素に変える工夫をしていきたい。度を越えるのは問題だが、欧米人のバカンスが典型のように、適度に陽に当たることはむしろ健康に良いと捉えられているはずである。また、強い日差しをイメージされる競技だからこそ、日焼け止め商品を展開する化粧品メーカーなどにとっては絶好のPRの場となるはずである。現在も大会に協賛いただいている企業があるが、さらなるスポンサー拡充へと繋げていきたい。砂や泥で汚れるのは屋外競技の宿命であり、致し方のない部分である。だが、そのまま海に入って砂を流したり、ウエアを着たままシャワーを浴びられる分、ビーチバレーの洗濯は比較的容易であることを訴えたい。そして、プロツアー以外では水着も強制ではなく、インドアに近い4人制では年配者も十分に競技を楽しめることを伝え、幅広い人々の健康維持目的にも向いているという理解を、一般的に浸透させていきたいと考えている。18


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