SANNO SPORTS MANAGEMENT 2009年 Vol.2

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2009年 Vol.2 FEATURE「産業能率大学 collaboration with 湘南ベルマーレ」


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層を巻き込んでくれるようなファン層の育成を意味する。イメージとしては、宝塚ファンや阪神ファン、Jリーグの浦和ファンがこれに近い。こうした顧客との長期的な信頼関係の構築を中心に組み立てられているマーケティング手法にリレーションシップ・マーケティングがある。リレーションシップ・マーケティングにおける研究のエッセンスは、顧客に徹底的に尽くすことによって顧客を維持することが自社の長期的な利益に繋がるという点である。→→刻々と変化する顧客満足を的確に把握し、顧客満足度を最大限にまで高め、その満足水準を常に維持する。bjリーグにおいても、その最高度の満足を創出することがコアブースターの育成に繋がる。まず3年間で、コアブースターをまず1000人育成するために顧客満足度を徹底的に高める戦略的示唆を得ることが今回の目標となった。4.調査結果からの示唆今回の調査は、bjリーグでは、初めて行われた継続的な観客調査であった。今回の調査で大きな発見は、3年目ではあるもののプロのバスケットボールの試合を初めて見た人が圧倒的に多かった(63%)という点であり、かつそれらの層が概ね高い満足度にあったという点である。試合後の感想をみるとスピード感、戦略性などについて面白いという意見が数多く寄せられた。エンターテインメント性があり、リピートが期待できることが実証されたことは大きな発見となった。第2の示唆は、顧客ターゲットとして若年層、特に小・中学生層の取り込みが期待できるという点である。日曜日の試合は13時から行われていたこともあり、家族連れの姿も目立った。実際に08-09シーズンではこうした若年層も意識したグッズの開発やフードの開発を進めたところ、有意な成果が認められたとの報告があった。これらの点をさらに深化させることが出来れば、3000人を常に集めるビジネスモデル、それに繋がる1000人のコアブースターの育成は決して夢ではない。bjリーグの今後の展望を考えるとJBLの統合など、まだ不透明なところはある。しかしリーグの形態がどうなろうと、チームを支えてくれるブースターとの関係性が今後も重要なテーマであることに変わりはない。bjリーグは、今期は京都が新規参入、10-11シーズンからは秋田、島根、宮崎の参入が決定するなど、拡大傾向にある。来期以降の加入を検討している地域、団体も少なくない。その意味では、一気に全国的な認知を得て、気軽に楽しむことができるプロスポーツとして定着できる大きな可能性を秘めている。何よりも、バスケットボールの経験人口、スポーツとしての認知度は日本でトップクラスにあり、競技の裾野は決して狭くない。スポーツマネジメント研究にあたって、大きな変動期にあり飛躍が期待されるプロバスケットボールの研究を今後も継続して行っていきたいと考えている。東京アパッチホームゲーム20試合で集計観戦回数の比較(リピート率)どなたと観戦していますか?(08-09シーズン)観客性別年齢構成(08-09シーズン)試合情報の入手経路(08-09シーズン)28.7%59.0%3.7%4.7%4.0%10回以上6~9回目4~5回目2~3回目初めて女性男性20015010050010代人20代30代40代50代60代70代以上家族と友人・恋人仕事関係1人でテレビ新聞・雑誌その他30.8%36.3%17.5%9.7%3.0%2.7%インターネット友人・知人会社・学校その他8%6%3%3%15%10%48%63%26%18%08-09シーズン07-08シーズン14


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