SANNO SPORTS MANAGEMENT 2009年 Vol.2

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2009年 Vol.2 FEATURE「産業能率大学 collaboration with 湘南ベルマーレ」


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眞壁:うちのトップチームのマネージャー(米谷崇氏)は、御校サッカー部の卒業生ですが、昇格決定の瞬間、歓喜の輪の中に入っていたのは嬉しかったですね。原田:ご存知のように、本学は実学教育を最大のテーマにしているわけですが、考え方だけ教えても、学生の目はなかなか輝かないんですよ。スポーツには、マネジメントの題材が本当にたくさんあり、学生にも理解しやすくて、がんばれば成果もはやく見えてきますよね。ですから、学生も充実感や達成感を味わえますし、一番いい環境を提供してくださったと思っています。眞壁:いまコラボレーション事業でさせていただいている『産業能率大学collaborationwith湘南ベルマーレスポーツ教室』は、総合型地域スポーツクラブを想定しているんですが、働ける場所の提供を更に広げていきたいですね。御校で勉強した学生が卒業して、たとえば平日の昼間に使われていないグラウンドを有効活用するように提案する。そうすると、そこで働けるだけじゃなくて、地域の人たちが喜び、さらに行政の管理費が下がる、誰もが得をする。こういった形が、一番理想だと思うんです。原田:就職の話をしますと、卒業生がスポーツ関係の仕事で活躍してくれることももちろん期待していますが、現実の問題を通じて、自分の頭で考えて、解決策を見出して…そういった経験は、別の業界に就職しても将来必ず役立つと広く捉えているんです。ですから、マネジメントの専門大学である本学にとって、湘南ベルマーレさんとの提携は非常にありがたいですし、是非このいい関係を、さらに深めていけたらと思います。ビジネスモデルの構築に向けて原田:湘南ベルマーレさんは、これまで地域に密着した様々な取り組みを他に先んじて進めてこられたわけですが、これをもっと世の中に知ってもらいたいですよね。「スポーツを通じて豊かさをつくりだす」というコンセプトは素晴らしいと思います。なんせ今、日本国民は豊かさを実感できなくなってますからね。眞壁:その豊かさの一つに「スポーツ」があります。サッカーの仕事に就いてつくづく思うのは、日本人は緑のグラウンドを自由に走ったことがほとんどないということです。だから子供はもちろんですが、親をグラウンドに入れてあげても、大喜びされるんです。親としても「一週間に1回サッカーを応援に行かなければいけない」とか、「手伝いに行かなければいけない」とか、それが負担ではなく、待ち遠しく一週間を過ごせるみたいな、そういう世界になっていかないといけないですよね。原田:やっぱり、そこに住んでいる人たちの気持ちの持ち方ですよね。最近はプロの選手でも試合に行く際「楽しんで来ます」と言いますが、あれはものすごく大事なことだと思います。スポーツは楽しくなければ、本来ダメなわけですよ。そういう意味では、外に飛び出して行って太陽の下でやるビーチバレーは、まさにそういったエンターテイメントの要素がありますよね。眞壁:そうですね。夏になれば湘南海岸はビーチバレーだらけですから。川合俊一氏がやり出した頃は、荒れ果てた海岸で4、5人しかやっていなかったのが、今ではクラブハウスもできて、もう朝6時から場所取りをするくらいに賑わっていますから。原田:神奈川県の、特に湘南エリアは、最高じゃないですか?海のスポーツはもちろんのこと丹沢山系もあって、山のスポーツもできるわけですから。眞壁:行政は財政が厳しくて大変だと言っていますが、こういった有効利用できる財産が、実はいっぱいあるわけですよ。それを若干のルール変更によって再生できれば、学生たちも活躍できるし、色々なところに、新しいスポーツビジネスの題材があるように思います。原田:プロスポーツの収益構造が複合化していく中で、経営の苦しみはあると思いますが、工夫をしてやっていけるような土壌ができあがってきていますよね。それは我々の関心事であるマネジメントの問題ですから、どのように企業体として存続していくかということを含めて、お互いに知恵を絞れば、湘南ベルマーレならではのビジネスモデルができるんじゃないでしょうか。眞壁:これからも成果を出しながらコラボレーションを続けて、日本初の試みであるこの提携事業が、本当に素晴らしいものであるという評価を高めていくことが、我々も唯一の恩返しだと思っていますので、J1に昇格する来期以降も、全力でやっていきたいと思います。原田:こちらこそ、今後とも是非よろしくお願いします。構成・SANNOSPORTSMANAGEMENT編集部4FEATURE「産業能率大学collaborationwith湘南ベルマーレ」


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