SANNO SPORTS MANAGEMENT 2018年 Vol.11

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2018年 Vol.11 VICTORY「勝利」


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07強さとチーム人件費の関係について〜Jリーグ・Bリーグ決算書からの考察〜1.プロ・スポーツにおける強いチームづくりとはスポーツは筋書きのないドラマであり、それゆえに多くの人を感動させる力を持っている。応援しているチームが勝つと、我が事のように喜ぶのは万国共通の光景である。スポーツが勝負事である以上、そのチームにはより多くの勝利が求められる。そしてその可能性を高めるのは、チーム編成にかかっている。優秀な監督、コーチ陣、有力な選手が揃うと勝つ可能性はより高まる。優秀な監督、選手はもちろん高額の報酬を受け取る。資金に余裕のあるチームは優秀な選手、スタッフを揃え試合に臨むことになる。これは当然のことで、野球でいえば、メジャーリーグのニューヨーク・ヤンキース、NPBの読売巨人軍、サッカーでいえば、レアル・マドリードなどがあげられる。金満チームなどと言われるが、プロで勝負している以上、可能な限りそこに投資をするのは当然のことと言ってよい。またそうした選手の待遇改善が、当該競技の選手の底上げやファン層の拡大につながっていく。プロになっても年俸が低い、オリンピック種目ではない、そもそもプロが存在しないようなマイナースポーツの選手になりたい人は多くないだろう。強くなりたい、したいチームがその競技全体を盛り上げていく。ただ、ここで強調しておきたいのは、スポーツでは、強さ=結果ということが至上ということを言っているのではない。後述するが、結果はあくまで結果であって、強くなろうとしている姿勢をファンに見せることが重要だということだ。強いチームにも正面から挑み、勝利を勝ち取る姿はそれだけでファンを引き付けるものだ。経営学部教授木村剛図表1.Jリーグのチーム人件費と成績の関係2.データでみる人件費と強さの関係一般に製造業などの場合、より大きな売り上げを目指すなら、研究開発やプロモ―ションなどに積極的な投資が必要となる。プロ・スポーツでもこれは同様で、チームの人件費により大きな投資が出来るチームが優位となるのは当然のことである。だからこそ低予算のチームが、強いチームを倒すことは世間の耳目を集める。では本当に、チーム人件費が高額であれば成績もそれに呼応してついてくるのであろうか。その点について確認するために、1400万円で、最も高い神戸で31億400万円、最も低い甲府が8億8300万円となっている。最も多い神戸と最下位の甲府の差は約3.4倍であった。全体的な結果を見ると、やはりJリーグ平均より多いクラブの成績は上位になっている。投資の費用対効果を考えると当然のことで、むしろこうならないとおかしい。ちなみにここで言う比率とは人件費と最終成績の関係性を表しており、1を超え、大きな数値になるほど投資に見合った結果が得られたということになる。簡単に言えばコスト・パフォーマンスがクラブ決算書が公開されているJリーグ(サッカー)とBリーグ高かったということである。この数値が最も良かったのは優勝し(バスケットボール)について、データをまとめてみた。た川崎フロンターレで、最も悪かったのが最もチーム人件費が最図表1はJリーグの2017年度決算書から作成したものである。も高額だった神戸という結果となった。多くのスポンサー企業のチーム人件費の高い神戸から最も低い甲府まで全18クラブ協力を仰ぎ、補強費を強化していくことは各クラブの共通の課題あり、J1の平均値も算出した。Jリーグ(J1)平均は19億といえるが、急な補強は難しい。ドラフト制度やFA制度などと18


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