SANNO SPORTS MANAGEMENT 2018年 Vol.11

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2018年 Vol.11 VICTORY「勝利」


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ありがとうございます。正直ホッとしています。決して満足のできるかたちでの残留ではありませんでしたが、与えられた機会を生かしていければと思います。B1とB2はとても違いますから。ーー昨年、お話を伺ったときに、岡本さんはチームに携わってからの5年間を第1フェーズとして捉え、「全ての質の向上を図ること。チームのことも、演出とか、組織体制の整備とか。会社としての条件をしっかり整える。まずそれをきっちりとやって、第2フェーズにつなげていきたい」とおっしゃっていました。計画とは大分異なった結果になってしまったとお考えですか。Bリーグ参入3年で、チームとしても、経営的にもまずベースを作り、次の3年に向けて舵を切っていこうという段階でしたから、1STステップの決算という意味でも残念な結果となってしまいました。ただ、幸運にもB1残留という結果(注:B2の上位2チームがB1ライセンスを持たなかったため横浜の残留が決定)になりましたから、そこに向けてやるべきことをやる、というところですね。ーー今シーズンはステップアップして、中位くらいの成績をめざしていると昨年伺いました。結果を見ると当初想定していない結果になったと思うのですが。横浜ビー・コルセアーズは、個性の強い、インパクトのある選手を集めてきて、それが1つの魅力になっていました。しかし強くなるためには限界もあります。そこで強力な指導者としてトーマス・ウィスマンHCを招聘しました。ビー・コルセアーズが持つ個性の強さと監督が求めるdiscipline(筆者注:規律などの意味)がうまく融合してくれることを期待したのですが、それがうまくいかなかった。ーー途中で大幅な軌道修正を図ったことや考えたことはあったのでしょうか。いいえ。考えはしましたが、あえてそのままにしていました。というのも、今季はこのままやってみた方が良いかなと判断したからです。もちろん外人の入れ替えや、話し合いも行い、多少の軌道修正は行ってきましたが、基本的には今季はこのスタイルでどこまで行けるかやってみようと。ただ、それでも残留プレーオフに回るとは考えていませんでしたけれど(笑)。ーー今回の結果を受けて、横浜ビー・コルセアーズは、エース格の川村選手や湊谷選手、細谷選手の両キャプテンなど、これまでチームを支えてきた選手の解雇に踏み切りました。ファンからすると、人気もあり愛着もあった古参の選手だっただけに衝撃が走りました。ショックだったと思います。しかし現体制で3年間やってきて、3年間残留プレーオフに回ってしまったのは紛れもない事実です。若手中心でやって、長期計画で徐々に良くなるというなら話は別ですが、このまま現体制のままやっていっても明るい未来は描けない。冒険でもあり、大変なことは承知していますが、次のステップに行くためにはやるしかないということで、決断しました。また、B1に残留できるかどうか、結論が出るまでに時間がかかってしまいました。ですが、残留が決まってすぐに来季のことは考えられる状況にはありませんでした。一方で、クラブに多大な貢献をしてくれた実績のある選手を、中途半端な状況で縛っておくのはクラブのエゴであるとの判断から、苦渋の決断をしました。FEATURE「VICTORY勝利」3-2.集客力の向上についてーー一方で、観客動員数は昨年並みを記録しました。これは水曜日(平日)開催が相当増えたことを考慮すると、かなり良かったと思います。またホームの横浜国際プールが初めて満員になるということがありました。それを目標にしてきたので、素直に嬉しかったですね。あのアリーナが満員になるとは予想していなくもなかったのですが、思いがけないことでした。入場できないお客様が出てしまったことは申し訳ありませんでしたが。より多くのお客様に来ていただけるようにしていきたいと思います。ーー集客に関して、心がけていることを教えていただけますか。バスケットだけでなくスポーツ全般について言えることかと思うのですが、怖いというイメージがあると思います。例えばサッカーでも過激で熱烈なファンがいますし、バスケットでも、フリースローの時に大きなブーイングが起こったりしますが、見る人が怖いという場面はあると思います。でも、そういったネガティブなイメージを持たれないように、来て良かった、楽しかったと思えるような状態で帰っていただきたいと考えています。そのために我々は何ができるのか、試行錯誤しながらやっているという感じです。3-3.来シーズンに向けてーー最後に横浜ビー・コルセアーズのブースターやバスケットに興味のある皆さんに向けて、何かメッセージをお願いします。相変わらず横浜ビー・コルセアーズはピンチです(笑)。ですが、ここから必ず上がっていく。すぐには難しいですが、成長を実感していただけるようにしていくことが大事だと思っています。なので、今後とも横浜ビー・コルセアーズにご支援をお願い致します。ーーどうもありがとうございました。来期に向けての編成会議中に、わざわざお時間を作ってくださり、インタビューにご協力頂いた横浜ビー・コルセアーズ岡本尚博CEOに深く感謝の意を表します。<参考・引用文献>(『海賊をプロデュース』,2018,産業能率大学出版部)B-CORSAIRS/T.Osawa13


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