SANNO SPORTS MANAGEMENT 2018年 Vol.11

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2018年 Vol.11 VICTORY「勝利」


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ーー最後に、読者の皆様へ一言お願いします。私たちは様々な形でスポーツ・野球・ベイスターズと関わってくださる方たちがいるとおもっています。そういう人たちに支えてもらって私たちは存在しているとも思っています。「スポーツ=公共財」であり、誰のものでもある意味ないと思っています。おそらく皆さんのもので、その皆さんのものを私たちは「お預かりして運営している」という建付けでしかないと思っています。それぞれに合った関わり方でコミュニケーションをとっていければと思います。スポーツと関わることがこれからの世の中や日々の生活を豊かにすることは自信をもって確かだと思っています。観戦でも実際に自らすることでも。スポーツというものを自分の生活を豊かにするために活用してもらってもらえればと思いますし、その中にベイスターズや野球というものを少しでも入れてもらえると嬉しいなと思います。11©YDBーーそれは先程のピラミッドでいうところの「④を③に」ということになるのでしょうか?そうですね。ひょっとしたら、ベイスターズなんか見向きもしなかったというような⑤の人たちにも響くかもしれません。そういう可能性を秘めています。買い物とか特別なプロポーズとか、様々な活用をしてもらえると良いですね。ーー「②を①に」や「③を②に」といったことは考えていますか?その辺は求めているものが上述とは異なるので、チームが強くなることが必要です。たとえば海外球団との連携などに積極的に取り組んでいます(豪州のキャンベラ・キャバルリーや米国のアリゾナ・ダイヤモンドバックス)。オーストラリアはシーズンが日本と逆なので、日本のオフシーズンに派遣しています。オフの時期の使い方は選手に委ねられています。その選択肢を増やすことも球団としてできることであると考えています。プロ野球の規定で決まっていることもあるので簡単にその時期に試合やりましょうということはできません。そういう中で海外と連携をすることで新しい価値が生まれると考えています。またこのような海外という選択肢は今まで指名を受けた選手が行っていました。ですが、私たちは選手の自主性に委ねています。選手それぞれの課題は異なりますし、怪我等のリスクや責任もありますが、リスクは考慮した上でこのような場を用意しました。そのように自ら考え取り組むことが結果的に良い影響を及ぼしていると感じています。ーー経営陣がチームの勝利やレベルアップのためにできることをやる、それが②や①の層への満足度向上へとつながるわけですね。そうですね。チームの組織をレベルアップする、チームの価値を高める、データ分析をする。もちろん実際プレーするのは選手であり、その選手をまとめるのは監督なのですが、そういう人たちの役に立てることは何なのかをいつも考えて取り組んでいます。一方で事業側は、より多くのお客さんに来てもらって、より多くの人に満足してもらって、そこでお金を生み出して、それを最終的にチームに還元して、そしてチームが強くなるという良い循環を回すために取り組んでいます。またシーズンオフに上映するドキュメンタリー作品だったり、試合のない月曜日を基本に特別コラムの掲載など行なっています。それも①や②の方に向けたという色が強いように思います。チームを成す要素は表層的なところで言うと「勝敗」「打った」「抑えた」というところですが、実はその裏にあるストーリーもすごく沢山あります。通常では見られないそのようなストーリーをお見せすること、「勝敗」を成すためにどのような道筋を歩んできたのかをお見せすることによって、より満足していただけるのではないかと思います。


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