SANNO SPORTS MANAGEMENT 2018年 Vol.11

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2018年 Vol.11 VICTORY「勝利」


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03FEATURE「VICTORY勝利」MANAGEMENTFORREALインタビュー・文:椎野睦今年球団設立70周年を迎え、また4000勝を達成した横浜DeNAベイスターズ。本稿では「勝利」を経営の視点からどのように考えているのかを中心に、近年の球団経営について尋ねました。を後押しするのがコーチです。営業担当がスポンサー企業と契約を結ぶことも大切な要素であるけれども、チームの勝利に直接結び付けることはむずかしい。私たちにできることは多くのお客様に足を運んでもらい楽しんでもらう。チームを後押ししてもらう。営業やグッズ、飲食などを通して売れ上げを高め、球団経営を安定させる。広報でいうとファンの皆様とチームをうまく結びつけるためにしっかりそこの間のパイプに目詰まりをおこさないように循環させることが必要であり、そこからファンの皆さんや地域の皆さんや企業の皆さんとコミュニケーションをとっていく。そういうものの積み重ねがチームという存在にも良い影響が出てくるのではないかと思っています。ーー逆に勝つことで困ることや苦労することってありますか?ありませんね。業務的に優勝パレードや祝勝会の準備など新しい業務が出てきたりするので頑張る必要がありますが、それがマイナスに働くことはまったくありません。ーー昨年は久しぶりにBクラスでした。やはり数字に影響はありましたか?影響がないということはありません。クライマックスシリーズに出れない場合と出れる場合、日本シリーズに出れない場合と出れる場合は色々と変わってきます。ーー「勝利」というものは簡単に操作できないものであると思います。「勝利」が遠いときの戦略や工夫はどのようにされていますか?お客様ないしはファンのみなさんはいくつかのステージに分かれると思います。①②③④年代的なメインターゲットはアクティブサラリーマン層(20代後半から30代)ですが、上記のファン層を想定すると、④を③にすることを優先順位たかくやってきました。勝敗に依存した形だと③や④はなかなか満足度があがらないものです。毎試合9株式会社横浜DeNAベイスターズブランド統括本部広報部河村康博様ーー4000勝おめでとうございます。今号は「VICTORY(勝利)」ということがテーマなのですが、「勝利」というものを横浜DeNAベイスターズのマネジメントサイドはどのようにとらえてきたか、そしてそれをビジネスマネジメントにおける戦略としてどのようにとらえてきたかおしえてください。まず前提としていくつかあります。私たちはプロ野球球団なので、明確に「勝利」やその先にある「優勝」を求めているのが大前提です。ときどき「勝たなくてもビジネスがうまくいっていればいいんでしょ?」みたいな声を聴いたりしますが決してそんなことはありません。やはり勝たなければ得られないことってすごく大きいです。そこを目指して、チームを中心としながら会社一丸となって動いているのは確かです。ただ、球団というものを成すときに大きく要素が2つあって、それはもしかしたら他の企業と違うところかもしれませんが、チームという勝ちを求める人たちと、いわゆる事業で会社を成す人たち(会社の利益や売り上げを作っていく部署)がいます。たとえばメーカーさんなど事業というものが中心となって営業がいて広報がいて人事がいてというような会社とは、スポーツである以上、やはりチームというものが大きくウエイトを占めるのはたしかです。その2つが車の両輪のようにうまく回ることが横浜DeNAベイスターズという組織を回していくためには必要不可欠で、片方だけがうまくいっても片方がうまく回らなければ真っすぐ前には進めない、両方がいいバランスで動いていくということが組織を前に進めるものだと思っています。私たち事業側でチームを勝たせられることはやはり少ない。プレーするのは選手であり、采配をとるのは監督であり、それ


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