SANNO SPORTS MANAGEMENT 2008年 Vol.1

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2008年 Vol.1 FEATURE「ビーチバレー」


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【期待過剰型】期待度は非常に高かったが、満足度は低く、その差が激しい選手が分類されるのが類型1である。期待度の大きさに連動して視聴度も高くなるのも特徴である。この類型には表外も含めて全員で49選手が該当し、普段からメディア露出が多い野球から19選手、続いてバレーボールから13選手が入っている。個人種目としては、前回アテネ大会の金メダリスト(室伏広治選手、柴田亜衣選手、鈴木桂治選手など)が含まれることから“ディフェンディング・チャンピオン”への期待は否が応にも高まらざるを得ず、結果が伴わなかった際の落胆も一際大きいことが推察される。【期待先行型】類型2は、類型1よりも満足度が若干高い選手が分類される。類型1と比べて期待度や視聴度が低い理由は、大会前のコンディション不良や、中継機会の少なさなどによると思われる。類型2は、類型内の全該当選手47人中最大の比率を占める男子サッカー(15名)と、代表選手3人が全員含まれる男子マラソンによって特徴づけられる。しかも彼らが上位10件に入ってこない点も重要である。かつて両種目には、中田英寿選手や瀬古利彦選手などの“スター選手”が存在した。彼らに匹敵する若手有望株を育成できるかが、当該種目のマネジメント的課題といえる。【予定調和型】類型2よりも明示的に高い満足度の選手が分類されるのが類型3である。これは結果が予想の範囲内だったという世論的評価であろう。この類型の特異性は、男子選手4人に対して女子選手10人が該当する点にある。しかも、出産経験者・アイドル的人気・父親が元メダリストといった、スポーツジェンダー研究において従来から主要テーマとなってきた属性を有する選手が多い。女子選手に対しては、男子選手とは異なる評価軸が存在する可能性を示唆する興味深い結果である。【高期待高満足型】類型4は、認知・期待・視聴・満足がすべて揃って高いために、それらの構成比がほとんど等しくなる選手が分類される。全員が前回アテネ大会の代表選手でもあり、2種目金メダルの北島康介選手を筆頭に、同じ競泳の中村礼子選手、そして女子レスリングの4人の選手は、全員が前回大会と同じ色のメダルを同数獲得している。陸上の2選手は、男子4×100mリレーの銅メダルがオリンピック初のメダル獲得ではあるが、経験豊富な著名選手である点が共通している。類型1~3の有名選手も、金メダル獲得ならばこの類型に分類された可能性が高く、これまでの実績が十分な選手たちの選手マネジメントにおける到達目標が、この類型4といえよう。評価類型4評価類型3評価類型1評価類型21期待過剰型2期待先行型3予定調和型4高期待高満足型5視聴後満足型6視聴後感動型選手性競技種目★選手性競技種目★選手性競技種目★選手性競技種目★選手性競技種目★選手性競技種目★ダルビッシュ有M野球4上原浩治M野球4福原愛F卓球4北島康介M競泳金谷本歩実F柔道金上野由岐子Fソフトボール金室伏広治M陸上フィールド5田中将大M野球4谷亮子F柔道銅末續慎吾M陸上トラック銅冨田洋之M体操銀上野雅恵F柔道金土佐礼子Fマラソン-栗原恵Fバレーボール5小椋久美子Fバドミントン5浜口京子Fレスリング銅塚田真希F柔道銀澤穂希Fサッカー4川上憲伸M野球4為末大M陸上トラック14潮田玲子Fバドミントン5吉田沙保里Fレスリング金中村友梨香Fマラソン13塚原直貴M陸上トラック銅阿部慎之助M野球4稲葉篤紀M野球4三宅宏実F重量挙げ6伊調馨Fレスリング金鹿島丈博M体操銀内柴正人M柔道金竹下佳江Fバレーボール5青木宣親M野球4中西悠子F競泳18伊調千春Fレスリング銀赤羽有紀子F陸上トラック20平野早矢香F卓球4高橋みゆきFバレーボール5成瀬善久M野球4種田恵F競泳8朝原宣治M陸上トラック銅入江陵介M競泳5石井慧M柔道金藤川球児M野球4杉山祥子Fバレーボール5寺内健M飛び込み11中村礼子F競泳銅平岡拓晃M柔道-松田丈志M競泳銅柴田亜衣F競泳27池田久美子F陸上フィールド20小林祐梨子F陸上トラック16金丸雄介M柔道7内村航平M体操銀鈴木桂治M柔道-荒木絵里香Fバレーボール5丹野麻美F陸上トラック15宇津木瑠美Fサッカー4中村美里F柔道銅和田毅M野球4佐野優子Fバレーボール5末永雄太M競泳13小野卓志M柔道-原田早穂Fシンクロ銅宮本慎也M野球4泉浩M柔道-吉田麻也Mサッカー15奥村幸大M競泳7鈴木絵美子Fシンクロ銅福士加代子F陸上トラック11尾方剛Mマラソン13松宮隆行M陸上トラック31上山容弘Mトランポリン9福岡春菜F卓球4岩瀬仁紀M野球4佐藤敦之Mマラソン76青木沙弥佳F陸上トラック15中川真依F飛び込み11高平慎士M陸上トラック銅杉内俊哉M野球4森田智己M競泳10三田真希F競泳7末綱聡子Fバドミントン4川崎宗則M野球4伊藤華英F競泳8金藤理絵F競泳7前田美順Fバドミントン4木村沙織Fバレーボール5本田圭佑Mサッカー15久保倉里美F陸上トラック15太田雄貴Mフェンシング銀矢野輝弘M野球4内田篤人Mサッカー15荒川恵理子Fサッカー4新井貴浩M野球4狩野美雪Fバレーボール5西山麗Fソフトボール金里崎智也M野球4安田理大Mサッカー15山田恵里Fソフトボール金注1)評価類型名の下に表示した図は、当該類型における4変数構成比のイメージ図である。注2)性の列は性別を示し、Mが男子、Fが女子である。注3)★の列は出場種目内での最高順位であり、「-」は欠場/棄権もしくは予選敗退を示す。上位3位までは、メダルの色である「金」「銀」「銅」で表示した。注4)順位は北京オリンピック閉幕時点での順位である。上位選手のドーピング等での失格により、今後順位が変動する可能性もある(例えば、男子ハンマー投げの室伏広治選手は2008年12月11日に銅メダルに繰り上がった)。表1:アスリート分類表D.満足C.視聴B.期待A.認知D.満足C.視聴B.期待A.認知D.満足C.視聴B.期待A.認知D.満足C.視聴B.期待A.認知D.満足C.視聴B.期待A.認知D.満足C.視聴B.期待A.認知16


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