Annual Report Vol.2


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紙幅の都合上、以下、自由が丘に絞ってその理由について考察する。来街頻度が変化した理由について列挙すると、増加した理由としては、「引っ越してきたから、住んでいるから」「仕事で来ているため」「塾に通っているから、通わせているから」「食事のため、カフェがあるから」「犬のトリミングのため」といったものが多く見られた。また減った理由としては、「なんとなく」「定期圏外になった」「二子玉川と武蔵小杉にお店が増えた。」「自由が丘はお店が点在している。」「混雑していて歩きにくいから」「若者が多くなり行きづらくなったから」というものが散見された。5.考察及び今後の課題本調査は、自由が丘への来街者を対象におこなったものである。二子玉川や武蔵小杉などの近年の隆盛により、自由が丘に来なくなってしまった人は、最初から調査の対象外にしていたことになる。調査の厳密性の点からいえば、自由が丘だけでなく、二子玉川や武蔵小杉などにおいても同様の調査をおこない、その結果を分析する必要がある。また近年の傾向として、東急東横線の沿線全体で吸引力が増している現状が明らかになったが、その理由は東急東横線や東京メトロ副都心線等の相互乗り入れによる効果なのか、その他の理由も存在するのか、さらに研究を深めてまいりたい。最後に、2015年度の調査では来街者を対象におこなったが、こうした来街者を迎えている商店の人など、経営者等の立場から見た場合はどのような変化が確認できるかなども分析する必要がある。いわゆるサプライサイドからの分析である。このように、今後も様々な視点から分析することで、変化に応じた、柔軟な街づくりへのための知見を抽出していきたいと考える。2015年度は、前述の商店街データ見える化プロジェクトチームを中心として活動した。そこで得られた成果は、自由が丘の街の振興に寄与するためにおこなわれてきたものである。そのため、それまでに得られた成果を街に還元するため、自由が丘商店街振興組合、ユニアデックス株式会社および本学の3者主催による成果報告会を2016年3月11日におこなった。本報告会は、『お客様(来街者)の声に基づく街づくり〜お客様の声から見える自由が丘の姿とこれからの商店街を語る〜』と題して、あおぞら銀行フィナンシャルオアシス自由が丘1階ホールにて開催した。来場客は、自由が丘商店街振興組合加入者を中心として31名の方に参加頂いた。成果報告会のパンフレット報告会では、本学学長(現本学副学長)である宮内ミナミ教授が開会の挨拶から開始した。その後、プロジェクトチームで実施してきた3つの調査について発表をおこなった。1つは、「セザンジュ活動紹介とその活動から見えてくる自由が丘の街の現在」である。本学経営学部准教授(現教授)であり、コンテンツビジネス研究所「地域活性化に関する研究活動」チームリーダーである武内千草が報告した。これは、昨年度から分析を進めている自由が丘街案内人セザンジュの業務対応表及び業務日誌データの分析からセザンジュが商店街において果たしている役割と自由が丘の街の理解を明確にする試みである。2014年から上記データの整備から始まり、昨年度報告書には「2014地域活性化に関する調査研究報告」として中間報告した。今回の報告では、それまでのデータをさらに拡充し、分析の精度をアップしたものである。自由が丘における成果報告会08Content Business Research Center Annual Report Vol. 2


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