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調査報告書

2021年度 新入社員の会社生活調査

 学校法人産業能率大学 総合研究所は、今年入社した新入社員の就職活動、働く意欲や新社会人としての意識、将来の目標などに関するアンケートを実施し「2021年度 新入社員の会社生活調査」としてまとめました。
 この「新入社員の会社生活調査」は、1990年度から継続して実施しており、今年度で32回目となります。調査は3月29日から4月9日まで、本学が開催した「新入社員セミナー」(対面型)に参加した新入社員を対象に実施し、144人(男性70人・女性74人)から有効回答を得ました。

注目データ

▼就職活動を振り返ると“大変だった”⇒84%

 2020年4月に発出された緊急事態宣言は、今年度の新入社員の就職活動を直撃しました。こうしたことから就職活動を振り返ると、「かなり大変だった」と「思ったより大変だった」を合わせた“大変だった”の合計は84.0%で、これまで最高だった就職氷河期の1995年度を超えて過去最高となりました。(下図)

就職活動を振り返るグラフ

▼面接はオンラインより対面がいい⇒63%

 採用面接をオンラインで実施することについては、63.4%が「対面の方がやりやすい」と回答し、「オンラインの方がやりやすい」(17.6%)を大幅に上回りました。(下図)

採用面接グラフ

▼コロナ禍での入社後の不安・不満「OJTなどの教育が受けられない」⇒16%

 コロナ禍の中、入社後に最も不安・不満を感じることは「電車通勤による感染リスク」(38.0%)がトップでしたが、2位には「OJTなどの教育が受けられず仕事を覚えるのに時間がかかる」(16.1%)が入り、社会人としてのスタートダッシュを切る大事な時期での教育不足に不安をのぞかせました。(下図)

入社後に最も不安・不満を感じることグラフ

総括

 いまだに収束の兆しが見えない新型コロナウイルスによる影響が就職活動にも影を落とした様子がうかがえます。
 今年度の新入社員に就職活動状況について尋ねたところ、「かなり大変だった」と「思ったより大変だった」を合わせると84%が“大変だった”と回答し、これまで最高だった就職氷河期の1995年度(77%)を超えて、過去最高となりました。
 この背景には、「説明会などの中止や延期」(55%)や「他の学生の動向が不明」(51%)といったコロナ禍の影響が見受けられます。
 また、多くの企業でオンライン面接が実施されましたが、オンラインと対面で、どちらがやりやすいかを訊くと「対面」(63%)が「オンライン」(18%)を大きく上回っています。
 さらにコロナ禍が続くことで、入社後に最も不安や不満を感じることを訊くと、「感染リスクから通勤電車が怖い」(38%)が一番多く挙げられました。続いて「ОJTなどの教育が受けられず仕事を覚えるのに時間がかかる」(16%)となっています。

 新型コロナウイルスの感染予防対策として推奨されているテレワークや時差通勤については、新入社員も高い関心を寄せています。
 会社にテレワークや時差出勤の制度があった場合に利用したいかを尋ねたところ、テレワークについて「利用したい」と「どちらかといえば利用したい」を合わせて78%が“利用したい”と回答しました。その理由として「通勤電車の密を避けられるから」が54%で一番多くなっています。また、時差出勤についても両回答を合わせて84%が利用したいとしています。
 副業については73%が“利用したい”と回答。その理由として「将来のための貯蓄」が64%となり、2位の「趣味」、「生活費」(同率31%)を大きく引き離しています。

 将来のキャリアをどう考えているかは“(役職に就かない)エキスパート志向”が過去最高の54%で“管理職志向”(37%)を大きく上回りました。また、最終的に目標とする役職・地位には「関心がない」とする回答も16年ぶりに51%と半数を超えました。
 さらに1か月間に許容できる残業時間を尋ねたところ、「1~10時間」が23%、「11~20時間」が36%となり、いずれも過去最高となりました。この結果、「0時間」(2%)を含めた“20時間まで”許容するとの回答が初めて6割を超えました。

 将来支給される公的年金(国民年金・厚生年金等)を老後の収入として期待しているかについて尋ねたところ、「期待していない」(38%)と「どちらかといえば期待していない」(27%)を合わせて65%が“期待していない”と回答しました。前出の副業を利用したいとする最大の理由が「将来の貯蓄のため」であったことからも、将来への不安感が垣間見えます。

調査報告書は、下記より無料でダウンロードいただけます。(フォームの入力不要)

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