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調査報告書

2019年度 新入社員の会社生活調査

 学校法人産業能率大学 総合研究所(東京都世田谷区)は、新入社員の働く意欲や新社会人としての意識、将来の目標などに関するアンケートを実施し「2019年度 新入社員の会社生活調査」としてまとめました。
 
 調査は3月28日から4月10日まで、本学の産能マネジメントスクールが開催する「新入社員セミナー」に参加した104社442人の新入社員を対象に実施し、429人(男性281人・女性148人)から有効回答を得ました。
 本調査は1990年度から「新入社員の会社生活調査」として継続して実施しています。

注目データ

▼業務時間外での勉強は“会社から援助があれば”⇒約71%

 業務時間外でセミナーや通信研修、学校、自習などの勉強をしたいかを尋ねました。その結果、「会社が費用を全額負担してくれるなら勉強したい」が38.6%、次いで「会社から費用の一部援助があれば勉強したい」が32.7%となり、会社からの援助があれば勉強したいとする新入社員は、合わせて71.3%となっています。「費用は全額自己負担でも勉強したい」とする積極派も13.6%に上り、「勉強したいと思わない」とする新入社員は15.1%にとどまりました。(下図)

業務時間外で勉強をしたいかグラフ

▼副業制度があれば“利用したい”⇒64%

 働き方改革の柱の一つとして、副業を制度として認める施策の拡大があります。会社に副業の制度があった場合の利用意向を聞きました。その結果、「利用したい」が31.5%、「どちらかといえば利用したい」の32.5%を合わせると64.0%が“利用したい”としています。昨年度に比べ7.4ポイント増加しました。(下図)
 また、同様にテレワークと時差出勤について尋ねたところ、テレワークについては「利用したい」が35.2%、「どちらかといえば利用したい」が31.1%で、合わせると66.3%が“利用したい”としています。時差出勤については「利用したい」が53.8%、「どちらかといえば利用したい」が29.6%で、合わせると83.4%が“利用したい”としています。対昨年度比では、テレワークが0.5ポイント、時差出勤が3.5ポイントの増加となっています。

副業制度を利用したいかグラフ

▼1か月に許容できる「残業時間」は“1~10時間”が過去最高

 1か月間にどの程度の残業時間なら許容できるかを尋ねると、21時間以上は軒並み減少する一方で、「1~10時間」が昨年度を大きく上回り過去最高の18.3%となりました。一方、41時間から60時間までの回答は合計で8.0%と昨年度(12.3%)から4.3ポイント減少しています。働き方改革が唱えられる昨今ですが、新入社員は残業を避けたいという意識が強くなっています。(下図)

1か月間に許容できる残業時間グラフ

▼ 「転勤せずに同じ場所で働き続けたい」 ⇒約36%

 転勤について尋ねると、「一度も転勤せずに同じ場所で働き続けたい」とする回答が36.4%で、昨年度よりも9.4ポイントと大幅に増加しました。(下図)

転勤についてグラフ

全体総括

 働き方改革が叫ばれる昨今、1か月間の残業時間について何時間なら許容できるかと尋ねたところ、“1~10時間”とする回答が昨年よりも増えて過去最高となりました。(問8)

時間に余裕ができると、仕事以外の時間の使い方が重要になります。そこで今年度の新入社員に、業務時間外に勉強したいかを初めて尋ねました。“勉強したい”とする新入社員は全体で約85%となり、学習意欲が高いことがわかりました。自分磨きの意識は高いようです。学習のための費用負担については、「全額自己負担でも勉強したい」とするのは13.6%で、残りの約71%は会社からの援助を求めています。(問11)

また、働き方改革の一環として関心が高まっている「副業」について、会社に副業が可能な制度があった場合に利用したいかを尋ねました。その結果、64.0%が“利用したい”(「利用したい」+「どちらかといえば利用したい」)と回答し、昨年度から7.4ポイント増加しました。昨年は“副業元年”とも言われ、従業員の副業を認める動きが広がる可能性が指摘されています。新入社員も副業に期待している様子がうかがえます。
同様に利用したいかを尋ねた「テレワーク」と「時差出勤」は、それぞれ約60%、約83%と望む声が多く、いずれも昨年度よりも高くなっています。ここでも働き方に対する多様なニーズが見てとれます。(問10)

転勤についての質問では、「一度も転勤せずに同じ場所で働き続けたい」が昨年度から約10ポイント増の36.4%と過去最高なりました。一方、「転居の有無、期間に関係なく転勤してもよい」は、昨年度から2ポイント減の21.6%と過去最低なりました。(問9)

「LINEなどのメッセージアプリを業務でも使用したいか」については、「使用したい」が昨年度から11.5ポイント増の62.2%となり、ビジネスシーンでの利用希望が増加しています。ちなみに調査項目には入っていませんが、新入社員セミナーの中にビジネス文書について学ぶ研修がありますが、Eメールを一度も使ったことがない受講者が少なからず存在します。今どきの新入社員にとっての連絡手段は、メールではなくメッセージアプリとなっているようです。(問20)
また、「あなたは上司からSNSで友達申請があったらどう思いますか」では、「嬉しい」が昨年度を5ポイント上回って15.8%となり、こちらでもネットを介したコミュニケーションの拡大が進んでいます。(問21)

調査報告書の全文をPDFファイルで提供しています。

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