SANNO SPORTS MANAGEMENT 2016年 Vol.9

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2016年 Vol.9 FEATURE「スポーツを魅せる」


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04独自データで振り返るスポーツ2016-DeNA躍動、タカマツペア金、三大関の綱取り-情報マネジメント学部准教授小野田哲弥本研究所では、2種類の「全国1万人Webアンケート」を恒例で実施している。一つは、様々なジャンルを対象に毎年5月に行う選好調査であり、もう一つはオリンピックの開催ごとに実施している大会前と大会後の意識調査である。2016年度のスポーツ界は、本学が提携する横浜DeNAベイスターズが初のクライマックスシリーズ進出を果たした。また、リオデジャネイロ・オリンピック(リオ五輪)で日本代表が過去最多のメダル(注1)を獲得し、大相撲では平成29年初場所後に稀勢の里関の横綱昇進が決まるなど、例年以上に話題性の多い1年であった。それらを本研究所実施の独自調査データをもとに振り返る。県内人気No.1球団に上りつめたDeNA昨年度の報告(注2)においても述べた通り、親会社が代わった2012年度以降のベイスターズ人気の伸びは凄まじく、観客動員数の増加率では、「カープ女子」で知られる広島東洋カープさえも凌ぐ。だが東京都に隣接する神奈川県において、さすがに「球界の盟主」こと、読売ジャイアンツの人気をも上回るとは誰も予想できなかったに違いない。球団が2015年度末に神奈川県内のすべての子どもたちを対象に実施した72万個のキャップ配布などが功を奏し、2016年5月に実施した本研究所のアンケートにおいて、県内(N=743)で初めて首位を獲得した(図1)。若年世代では埼玉県と千葉県も地元球団の西武とロッテがトップとなってきているものの(注3)、全世代の総合値で巨人を上回った首都圏球団は横浜DeNAベイスターズが初である。横浜ベイスターズ時代の2007年に業務提携を交わして以来、コラボレーション授業『スポーツ企画プロジェクト』を展開してきた本学としても、この結果には感慨深いものがある。当該授業の担当教員の一人である筆者も、この球団人気を追い風に、当該授業もより特色あるアクティブラーニングとして発展させていきたいとの思いを新たにしているところである。「予言する消費者」モデルへの確信あるジャンルの専門家を「目利き」と捉えてインタビューを実施、あるいはアーリーアダプターの志向性を参考にするなどして、その後の普及を予測するマーケティングモデルは以前から存在していたが、ビッグデータ時代が到来した今日、より定量的かつ高精度の予測を期待する声が高まっている。その系譜を「予言する消費者」研究(注4)と呼ぶならば、本研究所で五輪のたびにリリースしている「ブレイク予測」もそれに属する。大会前に「知る人ぞ知る有望選手」を公表するこの試みは、2014年ソチ五輪時の経験をもとに改良が図られた(注5)。その改良とは、データの安定性を確保するために、知名度(認知率)を閾値として用いることにある。11図1.都道府県別人気No.1プロ野球団(2016年5月実施「全国1万人Webアンケート」をもとに作成)


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