SANNO SPORTS MANAGEMENT 2014年 Vol.7

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2014年 Vol.7 FEATURE「歩みの先へ」


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インタビューを快諾してくださり、貴重な情報提供をいただいた関係各所の皆様の多大なるご尽力の賜物である。【表1】に掲載させていただき、紙面を通して改めて厚く御礼を申し上げたい。表1.ビーチ再生」に関する取材の記録(肩書は当時)No.実施日ご所属部署・肩書ご担当者様12345678月21日(木)茅ヶ崎市役所農業水産課矢野哲也様8月27日(水)平塚市役所みどり公園・水辺課佐藤智紀様8月29日(水)藤沢土木事務所なぎさ港湾課佐々木常光様9月4日(火)藤沢市役所観光課9月7日(日)NPO法人SavetheBeach理事長9月30日(火)日本ビーチバレー連盟10月20日(月)子市役所副理事長観光課竹上直輝様西村晃一様川合庶様池田祐一様政策提言:ヴィジョンを支える施策「地引網」日本のビーチ政策に精通した上述関係者の支援により、ビーチ再生に重要な論点を「養浜」「景観」「衛生」「行事」「多様性」などに集約し、著名な『Jリーグ百年構想』をモチーフにした【表2】の将来ヴィジョン『ビーチ再生100年構想』を掲げることができた。表2.ビーチ再生100年構想ビーチ再生100年構想(参考)Jリーグ百年構想海への畏敬の念と海の恵みに感謝することを忘れず、美しい景観を後世に残す。あなたの町に、緑の芝生におおわれた広場やスポーツ施設をつくること。日本のビーチを、様々なレジャーやスポーツを楽しむことのできる、憩いの場にする。サッカーに限らず、あなたがやりたい競技を楽しめるスポーツクラブをつくること。「観る」「食べる」「参加する」。ビーチを通して世代を超えた触れ合いの輪を広げる。「観る」「する」「参加する」。スポーツを通して世代を超えた触れ合いの場を広げること。そして、具体的な施策として提案したのがニュースポーツ「地引網」の普及である。地引網は幅広い世代が気軽に参加でき地域の絆が深まるだけでなく、獲った魚を調理することにより生命の尊さを学ぶこともできる。毎年恒例で行えば、環境モニタリングにもなり、地域で連携して年々ゴミの量を減らし、水質を改善する動機づけにもなる。小野田ゼミチームが強調したのは教育行政での支援、とりわけ小学生が親子で参加する林間学校/臨海学校での地引網導入であった。なぜなら、海上や砂の上で様々なスポーツを体験し、身体を動かすことの楽しさを知れるだけでなく、海洋汚染や防災意識について学ぶ絶好の機会となるためだ。そうして親から子へとビーチ再生意識が受け継がれていけば、100年後の日本では、きっと綺麗な砂浜で盛んにスポーツが行われているに違いない。地球温暖化によって昼間の運動が制限され、海水面上昇によって砂浜が消滅し、水質汚濁によってマリンスポーツの実施が危ぶまれるなど、環境問題がスポーツの実施を左右する時代へと突入している。ビーチスポーツは海と日差しを抜きに存在しえないからこそ、他の競技以上に環境に対して敏感な意識を生む。津波の恐怖に晒された地震大国であり、京都議定書(1997年)のホスト国、さらには2020年の五輪開催国である日本が、スポーツ、環境そして文化で世界を先導することを目指した政策提言、それが「ビーチ再生」である。審査委員長の玉木正之氏とともに優秀賞受賞の記念撮影本学の特長が活きた受賞川合庶スポーツマネジメント研究所客員研究員公益財団法人日本バレーボール協会ビーチバレーボール事業本部強化部長湘南ベルマーレビーチバレーチームゼネラルマネージャー産業能率大学女子ビーチバレー部ヘッドコーチ長年ビーチに携わってきた者として、今回の受賞をたいへん喜ばしく感じている。協力を惜しまなかった関係者の多くも、学生たちの着眼点に共鳴し、問題意識を世の中に周知してくれたことに感謝しているのではあるまいか。具体的な施策として提案された「地引網」は、何が掛かるかわからない“天然のガチャガチャ”のような魅力も秘めている。普及に力を入れる平塚市のお手伝いをすることもあるが、参加する子どもたちは皆ワクワクして目を輝かせている。教育的価値の高い健全なニュースポーツであり、日本全国に拡がることを願っている。ちなみに受賞メンバーの一人である清水友菜は、U-21日本代表にも選ばれた本学女子ビーチバレー部のキャプテンだ。普通であれば競技にだけ専念させるところだが、文武両道を目指す産業能率大学の方針のおかげで、競技以外でも賞を手にすることができた。彼女にとって、かけがえのない財産となったに違いない。実際、学業にも力を入れる大学生選手は人間として成長し、自然とその真摯さが伝わって支援者が増える。「セカンドキャリア」をはじめアスリートの競技後の人生を考える上でも、SportPolicyforJapanの活動は素晴らしい意義を持っている。※1全国1000人アンケートは、2014年7月11日に、20代から60代の各世代男女同数の均等割付を行ったネット調査会社モニターに対して実施した。主な質問の肯定率は以下の通り。島国日本にとって自然海岸は貴重な財産だと思う⇒89.9%、砂浜を裸足で歩くことは健康に良いことだと思う⇒70.8%、子どもにとって海水浴は大切な人生経験だと思う⇒82.5%。※2SPJ2014に参加した16大学は50音順で次の通り。桜美林大学、大阪体育大学、神奈川大学、札幌大学、産業能率大学、順天堂大学、尚美学園大学、大東文化大学、筑波大学、桐蔭横浜大学、東海大学、東北学院大学、徳島大学、一橋大学、福山大学、早稲田大学。※3SPJ2014の最優秀賞は、徳島大学ウェルネスコースの「Jクラブを活用したプロシューマー創出戦略~学生ボランティア体験プログラムを通して~」が受賞した。小野田ゼミと同じく優秀賞を受賞したのは、一橋大学岡本ゼミBの「明日から始められる次世代型自転車通勤」であった。18


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