SANNO SPORTS MANAGEMENT 2013年 Vol.6

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2013年 Vol.6 FEATURE「発展への課題」


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当な数値といえる。しかし、今後はこの層をリピーターにしていかなくてはならない。この点については定性データの分析を踏まえながら、詳細な検討が必要となる。「どなたと」観戦に来たかについては、友人という回答が最も多く45%、次いで家族が37%であり、この2つで80%以上を占めている。「会場が便利か」という問に関しては、「そう思う」が62%と過半数を超えている。前述の自宅からの所要時間と合わせて考えても、会場には大きな不満はないと考えてよい。このセクション最後の設問は「チケットの購入しやすさ」であるが、購入しやすいが52%とはなっているものの、半数はやや不満を持っていることが伺える。チームでは、コンビニなどでのチケット購入や、試合会場での販売など工夫を凝らしてはいるものの、まだ告知が不足している感は否めない。実際に追加調査で、現場でチケットを購入している方にインタビューを行ってみても、事前にチケットを手に入れるやり方がわからない、という意見が複数聞かれた。よりわかりやすく、思いついたときにエントリーしやすい工夫が必要なのかも知れない。観戦回数4回6%3回7%2回26%1回56%5回5%14回0%どなたとお一人で13%仕事関係4%友人44%その他4%ご家族で35%会場が便利どちらとも28%そう思わない10%チケットの購入しやすさそう思う62%どちらとも41%そう思わない7%そう思う52%そう思うどちらともそう思わない③試合内容に関する調査図3.試合観戦に関するデータ群試合観戦に対する調査と関連して、試合内容についてもいくつか聞いている。これはコンテンツとしての試合の魅力度向上を図る為に聞いているもので、主に演出やチームの魅力に関する点について調査した。まず「試合のスタイル」については、気に入っている」が47%だが、「どちらとも言えない」も50%と多い。試合のスタイルは、バスケットは主に戦術面においてHC(ヘッドコーチ)のカラーが色濃く反映されるものである。横浜は、bjリーグでもトップクラスの守備を誇るチームであり、そのスタイルがまだ深くは浸透していないのかも知れない。以下、「好きな選手がいる」と「好きな演出がある」といった2つの設問においては、いずれも「そう思う」と「どちらとも言えない」が半々くらいの結果となった。これはコンテンツとしての特色が希薄であることを示している。コアブースターを育成していく為には、この数値を高めるために、よりファンとの交流を高める工夫をしたり、ファンが横浜を育てるという実感をもたせることが出来るような工夫が求められている。一点、「ショーの魅力度」に関しては、若干ではあるが肯定的な意見が多い(57%)。これはチアのB–ROSEへの評価が比較的高いことを示していると捉えることが出来る。試合スタイルそう思わない3%どちらとも50%そう思う47%好きな演出があるどちらとも46%そう思わない5%そう思う49%好きな選手がいるそう思わない4%どちらとも45%そう思う51%ショーが魅力的どちらとも39%そう思わない4%そう思う57%そう思うどちらともそう思わない図4.試合内容に関するデータ群④グッズ及びフードに関する質問について最後に、会場で販売しているグッズやフードに関する満足度についての調査結果である。グッズやフードの売上は、チームの人気のバロメーターであると同時に、試合観戦を盛り上げるアイテムとなったり、チームのカラーを観客にアピールする重要な機会でもある。まずグッズについては、種類、価格に関する調査結果を見ると、残念ながら「どちらとも言えない」が最も多い。追加のインタビュー調査では「B-CRAP」という応援グッズの評価が高いことがわかったが、実際に会場に来ている10代、20代の若年層には、魅力的なグッズであってもやや価格が高めで購入しにくいのかもしれない。フーズに関しても、いずれの質問においても「どちらとも言えない」が最も多く、決して満足していない観客の姿が浮かび上がる。現実の問題としては、会場によっては様々な規制があり、自由な販売が難しいようであるが、野球などの他のスポーツや海外のスポーツを見ると、選手が携わったグッズやフードの販売や、名物となっている食べ物(その会場でしか食べられない等)の販売、選手との記念撮影のクジが入っているものなど、まだまだ工夫の余地はある。こうした点の強化については、観客満足度に強く影響を与える可能性があるものなので、根本的な取り組みの見直しが必要となろう。グッズの種類の豊富さどちらとも43%そう思わない8%そう思う49%フードメニューの豊富さどちらとも49%そう思わない19%そう思う32%グッズの価格どちらとも55%そう思わない7%そう思う38%フードメニューの価格どちらとも49%そう思わない9%そう思う42%ご家族で友人仕事関係お一人でその他選手に関連したグッズが欲しいどちらとも51%そう思わない4%そう思う45%フードの量は適当かどちらとも48%そう思わない6%そう思う46%そう思うどちらともそう思わない今後の課題と展望図5.グッズ及びフードについてのデータ群さて今回、本稿では、昨シーズン実施したアンケート調査の結果について、その詳細を紹介した。次々と新規のスポーツが生まれ、新しいエンターテインメントが開発される厳しい観客獲得競争の中で、バスケットボールが生き残っていく為には、今観戦してくれている観客を橋頭堡として、観客との長期的で良好な関係性を構築していくことが求められている。たった2、3年シーズンの調査で結論を出すことは難しいが、継続した調査を実施し、即効性のある施策を模索する一方で、1つ1つ観客の要望にこたえつつ、観客との確固とした長期的な関係性を構築していく事が、10年後のプロバスケットの将来をつくっていくものと思われる。今後の課題としては、こうしたアンケート調査を継続させつつ、この結果をチームにフィードバックして、それを少しでも施策に活かしていくことが求められている。また調査としては、継続して同じデータを取っているものも多いので、ある程度データが蓄積されてきた段階で、時系列の変化という視点からの分析を行ってみるべきであると考えている。いずれにしても、この中長期的なコラボレーションの中で、チームと協力しながら、バスケットボールというコンテンツの魅力を向上させ、ビジネスモデルの構築に資する研究を継続していきたいと考えている。ご家族で友人仕事関係お一人でその他ご家族で友人仕事関係お一人でその他14


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