SANNO SPORTS MANAGEMENT 2013年 Vol.6

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2013年 Vol.6 FEATURE「発展への課題」


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05bjリーグにおける観客調査ーコアブースター育成に関する研究ー経営学部准教授木村剛産業能率大学スポーツマネジメント研究所では、bjリーグの横浜ビー・コルセアーズとのコラボレーション活動を通じ、2011-12シーズンから観客調査を実施している。これまでも本誌においてその一部を紹介してきたが、今回は様々な調査内容及び調査結果の概要について詳しく紹介する。バスケットボールのような室内型のスポーツでは、観客は多いことにこした事は無いが、野球やサッカーのように一試合で何万人もの観客を集める必要はない。重要なのは、3000人規模の観客をいかに継続的、安定的に集め続けるかという点である。そこで、本研究では、将来の発展を見据え、3年~5年後をめどに、安定した観客数を確保するために一定以上のコアブースターを育成し、シーズン中に何度も試合会場に足を運んでくれるリピーターを育てることを第一の目的として設定した。コアブースターは自身が熱烈に応援するだけでなく、他の人たちにバスケットボールの魅力を伝えてくれる伝道師にもなる。そうしたコアなファンを育成する為には何が効果的な施策となるのか、そのヒントを得る事を目的として調査を実施した。調査概要1)目的コアとなるブースターを育成し、安定した観客数を確保するために、これまで会場に足を運んでくれた観客のニーズを捉え、様々な改善を図ることを通じて顧客満足度を向上させ、会場(アリーナ)の観客を常に一定水準以上保持することを目的とする。2〜3シーズン第1フェーズ第1フェーズコア・ブースター育成を目的とした観客意識調査(シーズン①)•観客の基礎データ収集•特に、観客の印象などについて詳細に調査顧客満足度の向上を目指した施策(シーズン②)•継続したアンケートデータ収集•サービス向上に関する質問項目追加2シーズン第2フェーズ第2フェーズbjリーグにおけるマーケティング戦略の検討(来シーズン以降)•顧客満足向上に向けた取り組み•bj他チームへのインタビュー•他のスポーツとの比較分析図1.調査のフレームワーク2)実施内容調査対象:横浜ビー・コルセアーズのホームゲーム(横浜を中心とした神奈川県内で開催)に来場していた観客調査方法:調査用紙を配布し、観客自ら記入してもらい、その場で回収調査期間:2013年10月~2014年4月(18試合)調査場所:横浜国際プール、横浜文化体育館、平塚総合体育館、スカイアリーナ座間、小田原総合体育館など主な調査項目:①顧客属性(性別、年代、自宅所在地及び自宅から会場までの所要時間、等)②試合観戦に関する調査(観戦回数試合のスタイル、チケットの13購入しやすさ、等)③試合内容に関する調査(試合スタイル、好きな選手、ショーの魅力度等)④グッズ及びフーズに対する要望に関する調査(グッズの種類、フーズの種類等)調査結果ホームゲームでのアンケート調査(対面式)で得られた有効回答数は518であった。アンケートは、複数回回答する人が出ないよう、調査時に確認を行った。以下、①顧客属性、②試合観戦に関連する調査、③試合内容に関する調査、④グッズ及びフーズに関する要望についての調査といった4つの観点から、その結果概要を紹介する。①顧客属性に関するデータ顧客属性については、「性別」「年代」「自宅所在地」「自宅からの所要時間」などについて聞いた。「性別」では、男性が59%、女性が41%となっており、男性の方がやや多い。しかし、野球やサッカーなどと比べてもその差は大きくない。より詳細な調査が必要であるが、バスケットボールは比較的女性の関心が高いスポーツである可能性がある。「年代」では、10代が32%と最も多くなっており、20代が17%、30代が23%、40代が22%となっている。想像されたことではあるが、野球などに比べると年配の方の観客が極端に少ない。試合の期日や時間を考慮すると、今後は団塊の世代などの年配層を取り込む努力が必要になってくるかもしれない。自宅所在地」については当然のことながら「神奈川」が圧倒的に多く86%を占めている。地元密着型のチームを志向しているのであれば、これは容認できる数値であろう。最後に「自宅からの所要時間」について聞いた。これは会場へのアクセスを調査する目的で聞いたものである。会場へのアクセスについては、他のスポーツにおいても観客の要望や不満が多いことがわかっている。今回チームも様々な開催地で試合を行ったが、平均を見ると1時間以内が全体の80%を占めていることがわかった。性別女性41%年代50代3%男性59%60代2%70代1%40代22%30代23%10代32%20代17%都道府県栃木1%島根1%千葉2%静岡1%東京7%神奈川86%自宅からの所要時間90分〜120分4%61分〜90分11%31分〜60分37%その他0%兵庫0%茨城0%埼玉1%秋田1%120分以上4%10〜30分38%10分以内6%図2.顧客属性に関するデータ群10代20代30代40代50代60代70代②試合観戦に関する調査次に、試合観戦に関する設問としては、まず「観戦回数」について聞いた。初めてと回答した人が56%、一度観戦したことがある人が26%と、1、2回目が全体の約80%を占める。この3年間くらいは、初めて見たという人を増やしたい時期でもあり、これは妥


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