SANNO SPORTS MANAGEMENT 2012年 Vol.5

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2012年 Vol.5 FEATURE「Next Stage」


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05Jリーグに関するインターネット社会調査ー「サポーター観戦行動」と「スポンサー認知」についてー情報マネジメント学部准教授小野田哲弥2012年8月に本研究所初の試みとして、Jリーグのサポーター1,000名を対象にしたインターネット社会調査を実施した※1。その内容は大きく『サポーター観戦行動調査』と『スポンサー認知調査』とに分かれる。前者は、Jリーグサポーターの観戦行動は応援するチームに関わらず共通なのか、あるいは異なるのかの検証を目的に実施したものである。また後者は、各チームの主要スポンサーがそれぞれどの程度認知され、またその認知はチームと紐づいているのかを検証したものである。調査概要本調査において尋ねた質問は表1の10問であり、内容は大きく『サポーター観戦行動調査』と『スポンサー認知調査』の2つに分かれる。回答者の属性は表2に示す通りであり、男女比は約3:2、年齢は30代から50代が多く、20代や60代が少ない。なお、回答者1,000名のうち、Q1において91.9%が「応援しているチームがある」と回答した※2。表1.調査票の内容サポーター観戦行動調査スポンサー認知調査Q1.応援しているJリーグチームQ2.Q1のチームを応援している理由Q3.観戦頻度(ホーム/アウェイ別)Q9.胸スポンサーの希望とその理由Q10.Jリーグ観戦についての価値観や行動Q4.スタジアム名についての認知Q5.胸スポンサー名についての認知Q6.背中スポンサー名についての認知Q7.袖スポンサー名についての認知Q8.パンツスポンサー名についての認知性別世代表2.回答者の基本属性居住地684人(68.4%)316人(31.6%)163人(16.3%)236人(23.6%)292人(29.2%)193人(19.3%)116人(11.6%)北海道・東北関東北陸・甲信越東海近畿中国四国九州・沖縄97人(9.7%)496人(49.6%)51人(5.1%)114人(11.4%)149人(14.9%)34人(3.4%)17人(1.7%)42人(4.2%)男性女性20代30代40代50代60代サポーター観戦行動調査『サポーター観戦行動調査』の報告内容は新聞各紙に取り上げられ、twitterでも当該記事に関する多くの書き込みがなされた。そのような反響があった理由は、Q1(応援していているチーム)とQ2(応援している理由)のクロス集計において、すべてのチームの結果が同一ではなく、チーム別の興味深い違いが抽出されたためだと思われる。例えば本調査におけるサポーター数上位5チームの支持理由も表3のように大きく異なる。浦和レッズについては「地元のチームだから」が67.9%、これに「好きな選手がいるから」「出身地のチームだから」「応援スタイ13表3.サポーター数上位5チームの応援理由上位5件浦和レッズ横浜F・マリノス名古屋グランパスコンサドーレ札幌ガンバ大阪N=109(10.9%)N=68(6.8%)N=66(6.6%)N=61(6.1%)N=60(6.0%)地元のチームだから67.9%地元のチームだから50.0%地元のチームだから74.2%地元のチームだから80.3%地元のチームだから58.3%好きな選手がいるから地身出のチームだから24.8%好きな選手がいるから39.7%監督が好きだから57.6%伝統のあるチームだから32.4%好きな選手がいるから28.8%地身出のチームだから34.4%好きな選手がいるから40.0%貢域地献しているから戦術が好きだから23.6%19.7%応援スタイルが好き22.0%スタジアムが近いから20.6%地身出のチームだから18.2%弱いチームだから地身出のチームだからスタンドでの居心地がよい19.3%家族が応援しているから14.7%強いチームだから9.1%好きな選手がいるから18.0%スタジアムが近いから※特徴的と思われる項目に網掛けを行っている。11.7%ルが好き」「スタンドでの居心地がよい」が続く。特に4・5位の理由からは観客スタンドでの“WeareREDS!”に代表される独特の応援スタイルが高い支持を集めていることがわかる。横浜F・マリノスについては、「地元のチームだから」(50.0%)の値の相対的な低さにホームが神奈川県の特徴が現れており、続く「好きな選手がいるから」までは浦和レッズと共通するが、「伝統のあるチームだから」は、名門・日産自動車サッカー部時代から続く伝統に誇りに抱くファンも多いことを感じさせる。名古屋グランパスは、前出の2チームよりも「地元のチームだから」(74.2%)が高い点に名古屋の地域性が出ており、支持理由2位の「監督が好きだから」は他チームにはない特徴であり、ストイコビッチ監督が多くのファンに愛されている様子が覗える。コンサドーレ札幌は「地元のチームだから」(80.3%)が極めて高いことに加え、理由の2位も「出身地のチームだから」であり、道産子は本州等に移り住んでもコンサドーレを応援し続けていることがわかる。また「地域貢献しているから」はボランティア活動に力を入れるクラブの姿勢がサポーターに届いていることの証明であり、「弱いチームだから」逆に応援したくなるという傾向もコンサドーレ独特である。ガンバ大阪は「好きな選手がいるから」(40.0%)が他チームにはない高さを示していることに加え、「戦術が好きだから」という理由が特異であり、日本代表においても司令塔を務める遠藤保仁選手の存在感の大きさを感じさせる。このように例示は5チームに留まるが、その他のチームに関してもそれぞれのチームカラーをよく表す結果を抽出することできた。スポンサー認知調査他方『スポンサー認知調査』のデータは、SPJ2012(本冊子のp.9~p.10)に参加したゼミ生によって活用され、それが特別賞の受賞という結果に結びついた。J1・J2の全40チームについて「スタジアム」「胸」「背中」「袖」「パンツ」という5つのカテゴリーを合わせて193ものスポンサーについて調査を実施した点が調査


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