SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2011年 Vol.4 FEATURE「スポーツは人を育てる」


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図3スポーツをほとんどやらない理由(男子)スポーツが苦手だから始めるきっかけがないからほかにやりたいことがあるから一緒にやる仲間がいないからスポーツが嫌いだから勉強や習い事で忙しいからスポーツは疲れるからお金がかかるからスポーツをする場所がないからやりたいと思うスポーツ種目がないからその他スポーツに関する情報を知らないから教えてくれる人がいないからスポーツは面倒だからスポーツはおもしろくないから家族が反対するから身体の調子が悪いから051015(人)スポーツが苦手だから始めるきっかけがないからやりたいと思うスポーツ種目がないから勉強や習い事で忙しいから一緒にやる仲間がいないからほかにやりたいことがあるからお金がかかるからスポーツは疲れるからスポーツをする場所がないからスポーツが嫌いだからスポーツは面倒だからスポーツに関する情報を知らないから教えてくれる人がいないからその他スポーツはおもしろくないから身体の調子が悪いから家族が反対するから051015(人)図4スポーツをほとんどやらない理由(女子)低学年中学年高学年低学年中学年高学年男子女子ぼ半数であるのに対し、女子では、好きと回答したのは男子とほぼ同程度の80.6%であるが、「とても好き(28.5%)」の回答が「まあまあ好き(52.1%)」の約半数にとどまった。一方、嫌いと回答したのは「あまり好きではない(15.9%)」と「好きではない(2.0%)」を合わせた17.9%であった。男女別に見てみると、男子は16.0%(14.5%+1.5%)、女子は18.8%(17.3%+1.5%)が嫌いと回答していた。好きではない2%無回答0%あまり好きではない15.9%とても好き34.8%まあまあ好き47.4%図2スポーツの印象スポーツの実施回数まとめ全体で最も多い回答は、週に1~2回程度やっている(40.8%)」であった。次いで、「週に3~5回程度やっている(23.4%)」、「ほとんどやらない(13.5%)」の順となった。男女別に見ると、男子では「1~2回程度(37.0%)」、3~5回程度(29.5%)」そして「ほぼ毎日(15.3%)」の順に回答が多かったが、女子では「1~2回程度(45.4%)」の次は、ほとんどやらない(17.1%)」そして「3~5回程度(16.3%)」の順であった。スポーツの好きなところスポーツが「とても好き」、「まあまあ好き」の人(n=922)の回答(複数回答可)においては、全体(延べ回答数2169)では、「スポーツで身体を動かすのが好き」が最も多く(n=826)、次いで「スポーツの練習をするのが好き(n=371)」、スポーツの大会・試合に出るのが好き(n=296)」という回答が上位を占めていた。また、男女別に見ても、回答数の上位3項目に変動はなかった。「スポーツを観る」や「スポーツチームや選手を応援する」よりも「スポーツで身体を動かす」ことの方が好きという傾向にあった。スポーツをほとんどやらない理由スポーツを「ほとんどやらない」人(男子62名、女子89名)のみの回答(複数回答可、図3および4)においては、スポーツをほとんどやらない理由を男女別に見てみると、「スポーツが苦手だから」という回答が最も多かった(男子n=23、女子n=26)。学年別に見ると、低学年では、「スポーツが苦手だから」を理由に挙げる件数は少ないが、中学年以降に増加する傾向が見られた。この傾向は、「スポーツが嫌いだから」においても同様である。次に多い理由は、「始めるきっかけがないから」であった。しかも学年が上がるほど、人数が増加する傾向にあった。さらに、「ほかにやりたいことがあるから」、「塾や習い事で忙しいから」という回答も多く見られ、結果的に「一緒にやる仲間がいないから」の人数が増加することが推測される。女子に関しては、「やりたいと思うスポーツ種目がないから」という回答が男子よりも多く見られた(男子n=7、女子n=23)。本調査により、児童の持つスポーツに対する印象は、およそ82%が好意的な回答をしていた。しかし、活動面から見てみると、児童の休日の過ごし方では静的な活動が上位に多く挙げられており、さらに児童がスポーツを行う回数は、「週に1~2回」と「ほとんどやらない」という回答で全体の50%以上を占めていたということからも、児童の印象と比べて実際の活動量は少なくなることが推測される。そこで、スポーツを「ほとんどやらない」児童の回答結果から、児童期のスポーツ活動を活性化させる方策を提案し、まとめとしたい。スポーツを「ほとんどやらない」と回答した児童についてその理由を聞くと、「苦手だから」という回答が最も多かった。さらに学年別に見ると、低学年では少なかったこのような回答が中学年以降に目立っていた。そこで、低学年から自我意識を持ち始める中学年までの児童に対しては、取り組むスポーツへの評価を「できる・できない」だけではなく、例えば練習の効果に対する評価や活動に取り組む姿勢の評価を重視するなど、指導者の対応が必要となろう。次に「ほとんどやらない」理由として多かったのが、始めるきっかけがないから」であり、この回答は学年が上がる程多くなる傾向が見られた。これらの結果からは、児童のスポーツ種目の選択の機会は、低学年であるほど多様であることが推測される。そこで、中・高学年になっても新たなスポーツに挑戦できるようなプログラムの提供やスポーツ教室などの機会の創出が期待される。また可能であれば、同年齢の児童を対象に実施できるとさらに良いと思われる。女子特有の回答として、やりたいと思うスポーツ種目がないから」が挙げられる。笹川スポーツ財団が実施した「子どものスポーツライフ・データ2010」によれば、男子の行うスポーツは体育の領域となっているような種目が多いのに対し、女子はこのような種目に興味や関心を引いていないことを示唆している。確かに本調査の結果でも、今後やりたいと思うスポーツ種目の上位には、「水泳」以外は、「スキー・スノーボード」、「テニス」などの学習指導要領では扱わない種目も見られた。2011年度から体育で必修化された女子に人気のダンスのように、児童のニーズを捉えた体育の授業における種目選択もスポーツ活動の活性化には必要となるものと考えられる。本調査の結果では、女子が今後実施を希望するスポーツの上位は、[追記]「水泳(n=91)」、「スキー・スノーボード(n=85)」そして「テ本研究の調査結果は、本学スポーツマネジメント研究所HPにてニス(n=73)」の順であった(複数回答可)。近日公開される予定です。参考文献子どものスポーツライフ・データ2010-4~9歳のスポーツライフに関する調査報告書-笹川スポーツ財団東京201014


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