SANNO SPORTS MANAGEMENT 2018年 Vol.11

SANNO SPORTS MANAGEMENT 2018年 Vol.11 VICTORY「勝利」


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122018年J1リーグクラブ監督のパフォーマンス分析情報マネジメント学部教授西野努スポーツビジネスにおいて、チームのパフォーマンスや監督のパフォーマンス評価は、最終順位という結果以外に明確な指標がない。この点が今後業界として取り組まなければならない課題の一つである。今回、スポーツマネジメント研究所では、2018シーズンのJ1リーグ各監督個人のパフォーマンスを勝ち点とチーム人件費という観点から分析してみた。このデータからは、チームを降格という結果で終わらせ、Vファーレン長崎を退任した高木琢也監督が、最もコスト効率が良い監督という事になる(勝ち点1獲得するのに、約2700万円)。この観点からは、与えられた、時には限られた戦力をいかにチームとして機能させてパフォーマンスさせているか、そのチームマネジメントに長けているかがうかがえる。あくまでも仮説だが、Vファーレン長崎が抱えていた問題は、高木監督の指揮能力ではなく、チーム人件費だという見方ができる。この分析はあくまでも2018シーズンだけを切り取って分析したものであり、監督個人のパフォーマンスを正確に分析するには、その他の多くの指標や継続的なデータ収集が必要となる。ここで伝えたいのは、このようなデータを積み重ねることで、クラブが意思決定をする際に有効なデータになっていくということと、このようなデータを経営側がどのように扱い、活かしていくかが、クラブにおける経営判断の質を上げていくことにつながるということである。〜1試合あたりの獲得勝ち点数1.2がボーダーライン〜監督別に1試合あたりの獲得勝ち点数を調べてみると、1.2という勝ち点が監督続投・J1残留を決める一つの基準になることがこの表から見て取れる。上位3名は、シーズン終了間際、もしくは、次期監督就任までにつなぎとして数試合指揮を執った監督になるため、参考的な情報ということになるが、チーム単位ではなく、監督個別のパフォーマンス分析としては興味深い結果が見られる。各クラブは、1試合平均勝ち点1.2を境に、監督を解任するか、もしくは、1.2を下回ると降格することになる。監督を続投させるか、解任し、新しい監督をシーズン中に迎えるかの一つの指標となり得る数字である。〜コスト効率の高い高木監督〜次に、チーム人件費を考慮し、監督別に、勝ち点1あたり獲得に必要なチーム人件費をランキングにしてみた。言葉を換えると、チームに投じられた予算をどれだけ効率的に勝ち点へ結びつけているかを表すデータとなる。26


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